UE5で「めちゃくちゃリアルなバーチャル渋谷」を表現したユーザー現る。プレイヤーが自由に探索できる、センター街つきアニメ渋谷

フリーランスアーティストのYan Ru氏は4月18日、Unreal Engine 5使って再現された渋谷の街並みを自由に歩き回れる開発中のプロジェクト『Anime Tokyo』デモを公開した。

フリーランスアーティストのYan Ru氏は4月18日、開発中のプロジェクト『Anime Tokyo』デモを公開した。デモでは、Unreal Engine 5(以下、UE5)使って再現された渋谷の街並みを自由に歩き回れるほか、写真を撮ることなどができる。本作は実行ファイル形式にて、ArtStationにて無料で配布中だ。


UE5は、Epic Gamesにより昨年4月に正式リリースされた次世代ゲームエンジンだ。比較的負荷を軽減しつつ、緻密な環境光描写などを可能にする「Lumen」や、大量の高精細3Dモデルなどの描画を助ける「Nanite」などの新機能を盛り込んでいる。同エンジンによる制作も盛んになっており、開発中新作のエンジンをUE5に移行するとしたスタジオも現れ、ユーザーによる試験的な作品の制作などもおこなわれている(関連記事1関連記事2)。

Yan Ru氏が今回公開した『Anime Tokyo』は、そんなUE5を利用して渋谷を“再現”したもの。といっても、渋谷の完全再現を目的としたものではなく、Yan Ru氏が好きな日本のアニメを散りばめ東京を再構築する「新しい形のゲームアート」というコンセプトで開発されているとのこと。そのため、現実での企業の広告などがアニメや漫画などに関連する画像に置き換えられている。また、通常版と色の飽和度が高い版が用意されており、後者のほうが色彩も相まって幻想的な雰囲気を与える。ゲームやアニメの舞台としての雰囲気が醸し出された“渋谷”となっている。

『Anime Tokyo』にて正面から109を臨んだアングル


Yan Ru氏いわく、『Anime Tokyo』の制作には半年を要したという。ゲームプレイ動画の中ではメイキングも紹介されている。UE5以外には、3DCG作成ツールである「3ds MAX」や画像編集ソフト「Photoshop」などがモデル・テクスチャの作成に利用されている。プレイヤーキャラはQuQuの「Adolescent U」、プレイヤーキャラ以外では「VRoid Hub」で公開されているモデルなどが利用されているとのこと。また、同動画では、実在する渋谷の看板なども丁寧に“バーチャルな渋谷”に落とし込まれている様子が見られる。こだわりの再現をしつつアニメ調の表現としてかたちにしている点が、『Anime Tokyo』の出色の印象にも繋がっているのだろう。

なお、ベースとなった渋谷の街のレイアウトは3DCGストア「NoneCG」から見つけたもので、かなり古いモデルだという。YouTubeには「10年以上前にこのモデルを使って仕事をしたことがあるよ」とコメントするユーザーも。現在の渋谷と比較すると立地など異なる点は存在するかもしれない。しかし、Yan Ru氏の細部に渡る手入れのたまものか、空気感は現実にかなり近い。デモの中でスクランブル交差点やハチ公前などを歩いていると、筆者が実際に渋谷を歩いたときと相違なく、本当に渋谷にいるかのような錯覚を覚えるほどだ。

『Anime Tokyo』

実際の渋谷
Image Credit: graphon


Yan Ru氏は「(商用利用が可能かわからない)多くのアセットを含んでいるので販売する予定はない」とコメントしている。あくまでアート作品として公開しているとのこと。

Yan Ru氏はこの他にもUE5で再現された日本の市街地や、90年代の中国を再現したリアルタイムレンダリングされたショートフィルムなどを制作し、ArtStation上で公開している。興味がある方は氏のArtStationをチェックするとよいだろう。


『Anime Tokyo』はクリエイター向け作品共有サイトArtStationにて、実行ファイル形式で無料配布中。近日中にSteamでも公開される予定だ。



※ The English version of this article is available here

Akira Tabata
Akira Tabata

離島に暮らす雑食ゲーマー。物語性の高いゲームが特に好き。『League of Legends』はシーズン3からプレイ。学生時代を棒に振った。歴史ストラテジーゲームが好物です。

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