体験版が賛否の極太アクションRPG『地罰上らば竜の降る』、ゲームシステムごと見直しへ。戦闘と成長要素を重視したアクションADVに新生


国内のゲーム開発者Hytacka氏は4月16日、「新生地罰」のゲーム概要を公開した。Googleドキュメントを使って公開されており、ブラウザ上から閲覧できる。新しい『地罰上らば竜の降る』は、ジャンルとしてはアクションADVとなり、戦闘や成長要素を重視した内容になるようだ。

「新生地罰」は国内のゲーム開発者Hytacka氏により、『地罰上らば竜の降る』戦闘体験版からゲームシステムを大幅に見直して開発中の作品だ。原型となる『地罰上らば竜の降る』は、同氏によって2020年頃から本格的に開発が進められてきたアクションRPGである。主要なシステムとしては、魔法相当の「契技」などが存在。契技が何度も発動されると、地罰というペナルティが生じるシステムも用意されている。また方向を指定し実行する攻撃/防御行動や、装備を持ち替えながら動くアクションなど、多彩なシステムが存在していた。

『地罰上らば竜の降る』戦闘体験版のスクリーンショット


Hytacka氏は、「世界一面白いアクションRPG」を作ることを自身の人生のメインクエストとして掲げる、国内のゲーム開発者だ。経歴としては、以前はフロム・ソフトウェアに所属し、『DARK SOULS III』のDLC開発にプランナーとして参加していたという。『地罰上らば竜の降る』は、同氏により2020年から本格的な開発がスタートする。2021年には「講談社ゲームクリエイターズラボ」第1期ラボメンバーに選ばれ、同取り組みの支援を受けながら、開発が進行。そして2023年3月に、『地罰上らば竜の降る』戦闘体験版がPC(Steam)向けに一般公開された。体験版公開時には、同氏が「世界一面白いアクションRPG」の制作を目指している点や、同氏の経歴もあり、プレイヤーから注目を集めた。

しかし『地罰上らば竜の降る』戦闘体験版は、プレイヤーの期待に必ずしも応えられる内容ではなかった。Hytacka氏自身による反省会動画によれば、同体験版には説明不足や習熟時間の不足などを含め、多くの問題点があったのだという。そうした問題点もあり、多くのプレイヤーからアクションや操作が難しいといった声や、戦闘システムが多すぎるなどの声が寄せられる。一部のプレイヤーからはポジティブな感想も見受けられたものの、同氏はプレイヤーからのフィードバックを受けて、ゲームシステムの大幅な見直しを決定。体験版公開にあわせて実施されていたクラウドファンディングも中止となり、現在はシステムを見直した「新生地罰」の開発が進められているわけだ(関連記事)。


今回公開されたゲーム概要は、そんな「新生地罰」の内容や開発方針をまとめた資料となる。一部は同氏のライブ配信で以前公開されていたが、その以前のライブ配信時からさらに要素を削ぎ落とし、ブラッシュアップした状態で公開されている。資料「新生地罰ゲーム概要」によると、「新生地罰」は、ジャンルとしてはアクションアドベンチャーゲームとなるようだ。舞台となるのは、かつて竜族が権威を誇った世界。しかし竜たちは天を目指した末に、地罰を受けて没落。竜の時代のあと、人の時代では地から湧き出る力「メイ」を奪い合う戦乱が繰り広げられていた。本作の主人公は、小さな島出身の若者だ。現在主人公の出身地である島は、いがみ合う大国の一つによって制圧されている。主人公は、島を解放するため、占領軍や魔物と戦闘。自由を取り戻そうと、ダンジョンやクエストに挑むことになるようだ。

要素としては、戦闘/成長/探索/ストーリーを含むゲームとなり、特に戦闘や成長を重視。スキルによるキャラクターの成長や、戦っていく中でプレイヤー自身のレベルもあがっていくゲーム体験を目指すそうだ。資料内では、各要素での具体的な変更/改善内容も公開されている。戦闘については、『地罰上らば竜の降る』戦闘体験版の戦闘では、敵がプレイヤーと同じ仕組みで動作していたそうだ。新生版では、同作でPvPを意識し過ぎた点を反省し、敵はプレイヤーと異なる仕組みで制御し、システム側で戦闘の流れをある程度コントロールするという。

また難しかった方向属性の絡む行動については、方向を意識することが前提ではなく、方向を意識できるとより強い/カッコイイものになるようだ。具体的には、まずスタミナの概念が追加される。ガードでは、スタミナの消費によってダメージを無効化し、ガードを構えた瞬間にパリィ判定が発生。方向もあわせて上手くパリィを発動させると、強力なジャストパリィによって、ダメージ増加やスタミナ回復といった恩恵が得られるそうだ。失敗した際のデメリットもないという。

もうひとつの回避では、スタミナを消費する代わりに、無敵フレーム付きのステップをおこなうという。方向を上手くあわせて回避すると、より強力なジャスト回避が発生。ジャスト回避では、ダメージ増加やスタミナ回復といった恩恵が得られるそうだ。ジャストパリィ同様、ジャスト回避にも失敗時のデメリットはないという。『地罰上らば竜の降る』戦闘体験版では、いわゆるパリィやジャスト回避を発生させるには、攻撃の方向を見極めた上で、リスクのあるアクションを使用する必要があった。「新生地罰」では、回避に無敵時間が追加され、ガード行動内にパリィが含まれたことで、防御行動が扱いやすくなっているのだろう。また、ジャスト回避/ジャストパリィの報酬により、方向を見極めた際の報酬は維持されているのだろう。

『地罰上らば竜の降る』戦闘体験版のスクリーンショット


大きな点としては、本作には成長システムが用意されている、スキルシステムをベースに、新しいアクション獲得やアクションのレベルアップが可能、チェックポイントやボス撃破時に獲得できるポイントで、スキルの獲得/強化をおこなっていくようだ。スキルシステムにより強化対象としては、力では近接戦闘のコンボ取得や防御行動の強化 、精神ではMP(メイ)を使用するアーツ(契技)の習得、知識では回復アイテムや矢の数増加などがおこなえるという。取得したスキルの数に応じて、力では攻撃力、精神ではアーツ威力、知識では体力スタミナも上昇するそうだ。また本作はステージ選択性となり、ステージ数は3つ。占領軍に支配された拠点を解放するべく、戦うことになるようだ。資料内には、ほかにも各要素の概要や方針が紹介されている。全文については、Google ドキュメントを確認してほしい。

「新生地罰」のゲーム概要は、Googleドキュメント上で公開中だ。また「新生地罰」は、Hytacka氏およびプログラマーの御津凪氏により開発中。開発状況については、Hytacka氏のYouTubeなどで公開されている。