『フォートナイト』内で先行き不安な『Dark and Darker』を作り出すユーザー現る。公開できるか怪しい丸ごと再現マップ

『フォートナイト』向けのコンテンツ制作ツール「Unreal Editor for Fortnite」を用いて、『Dark and Darker』を再現中だというユーザーが現れた。開発途中とする再現映像を投稿している。

『フォートナイト』向けのコンテンツ制作ツール「Unreal Editor for Fortnite」(以下、UEFN)を用いて、『Dark and Darker』を再現中だというユーザーが現れた。同ユーザーは海外掲示板Redditにて、開発途中とする『Dark and Darker』の再現映像を投稿している。米IGNが伝えている。

Image Credit: fermelon on Reddit


「UEFN」は、Unreal Engine(以下、UE)の本格的な機能や開発ワークフローを利用して『フォートナイト』向けコンテンツを開発できるツールだ。PC(Epic Gamesストア)向けに、パブリックベータとして無料配信中。同ツールはUE 5の広範な機能を、手軽な操作で利用可能。また同ツールでは、新たにプログラミング言語Verseが導入されている。ユーザーは従来の『フォートナイト』クリエイティブ ツールセットを拡張するかたちで、さらに自由に、さらに複雑な独自のゲーム体験を作り上げることが可能となる。

本作ではそうしたユーザー制作のゲーム体験は「島」と呼ばれる。かねてよりユーザーによる島の制作は盛んであり、そこに新たな自由度が足されたかたちだ。先月の配信以来、「UEFN」を用いてさまざまな島が制作されている。

今回、海外掲示板Reddit上のあるユーザーが、『Dark and Darker』をUEFNで再現していることを報告した。『Dark and Darker』は韓国のスタジオIRONMACEが手がける、一人称視点のダンジョンクロウラー型探索ゲームだ。これまで4回にわたってプレイテストが実施されており、最大同時接続プレイヤー数は約10万8000人を記録(SteamDB)。プレイテスト段階ですでに大きな注目を集めていた作品といえる。ユーザーが投稿した「Dark and Darker inside Fortnite」と題されたスレッドには、開発途中(WIP・Work in Progress)の短い映像が添えられている。

映像でのゲームプレイは『フォートナイト』と同じく三人称視点で展開。『Dark and Darker』のダンジョンと酷似したマップ内を、松明片手に移動する様子がみられる。右上のミニマップも同作にそっくりであり、制限時間や残り人数の表示まで再現されている。マップ内に敵は存在しない様子だ。

なぜまるごと再現する動きが出たのだろうか。それは『Dark and Darker』の先行きが怪しいことが関係してそうだ。同作の開発元IRONMACEの一部スタッフに対しては、不正競争防止法違反の疑いで韓国警察による捜査が実施されたことが報じられている。本捜査はネクソンの告訴状に基づいて実施。告訴状ではIRONMACEがネクソンの未発売作品の情報を無断で抜き出し、本作『Dark and Darker』の開発に用いているとの主張がなされていたという。そして3月25日には、IRONMACEがネクソンよりDMCA通告、および停止通告書(cease and desist letter)を受け取ったとの声明を公式Discordサーバー上で発表。これに伴い、『Dark and Darker』のSteamストアページが閲覧不能となった。

『Dark and Darker』


その後IRONMACEは公式Discordサーバーにて声明文を掲載し、ネクソンへの徹底抗戦の構えを見せた(関連記事)。一方で4月14日から実施されると告知されていた『Dark and Darker』の次回プレイテストについての続報は、いまだ明かされていない。本作Steamストアページは依然として閲覧できない状態にあり、予定どおりプレイテストが実施される見込みは薄そうだ。

プレイテスト段階で人気を博した『Dark and Darker』ながら、リリースやプレイテストの実施が危ぶまれる状況にあるわけだ。今回そんな同作は、ユーザーにより「UEFN」を用いての再現が試みられているかたちとなる。しかしながら「UEFN」やクリエイティブ ツールセットにて、他社の知的財産を無断で使用することは規約違反となる。「UEFN」配信直後にも『フォートナイト』開発チームはその点を強調していた。今回の「UEFN」での『Dark and Darker』再現も、たとえアセットなどが1から制作されていた場合でもEpic Gamesに承認されず日の目を見ない可能性はあるだろう。

なお作者はスレッド内のユーザーの質問に答えるかたちで、Epic Gamesが自分のクリエイター申請を承認したらすぐに島コードを共有するとしている。はたしてコードがお披露目される日はくるのだろうか。いずれにせよ、「UFEN」のすごさが垣間見える事例である。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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