「世界一面白いアクションRPG」を掲げたゲーム『地罰上らば竜の降る』、体験版の反応を受けてクラファン中止。目標は変えず仕切り直し

講談社ゲームクリエイターズラボは4月7日、『地罰上らば竜の降る(Rise of Rebellion)』のクラウドファンディング中止決定を発表した。

講談社ゲームクリエイターズラボは4月7日、『地罰上らば竜の降る(Rise of Rebellion)』のクラウドファンディング中止決定を発表した。本作ではゲームシステムを大幅に見直すため、クラウドファンディングのプロジェクトページで宣言した内容と齟齬が生じる。開発者のHytacka氏との協議の結果、そうした理由からクラウドファンディングキャンペーンの中止が決断されたという。またクラウドファンディングキャンペーンで集まった資金は、CAMPFIREのシステムを通して支援者へ返金される。

『地罰上らば竜の降る』は、国内のゲーム開発者Hytacka氏が「世界一面白いアクションRPG」を目指して開発中の、ハイペースな3DアクションRPGである。本作の舞台は、大地にメイというエネルギーが溢れ、メイを扱う戦士メイナスたちが存在する世界。主人公は、侵略によって故郷を奪われたメイナスだ。本作で主人公は故郷を奪還するため、武器やメイを活用して島内で侵略者たちと戦いを繰り広げていく。

システムとしては、いわゆる魔法などに相当する「契技」が用意されている。契技は8種類存在し、大地エネルギー「メイ」を用いて発動。ただし契技が何度も発動されると、地罰というペナルティが発生してしまう。ペナルティを回避するためには、武器を地面に突き刺す地契というアクションが必要になる。また要素としては方向を指定する攻撃や、指定した方向の攻撃を弾ける弾きが存在。ほかにも装備の持ち替えなど、多彩なシステムが用意されている点も特徴だろう。Steamのストアページによれば、強敵との対峙や緊張感が描かれるという。


本作を手がけるHytacka氏は、ゲーム制作の状況を動画配信している。クラウドファンディングのキャンペーンページによれば、同氏は以前フロム・ソフトウェアに所属し、『DARK SOULS III』のDLC開発にプランナーとして参加していたという。退職後はフリーターとして働きながら、2019年頃よりYouTubeでのゲーム制作実況をスタート。本作の開発は、2020年から本格的に始まったという。2021年10月には「講談社ゲームクリエイターズラボ」の第1期ラボメンバーに選出され、同取り組みから1000万円が支給されている。

また2023年3月には、本作システムを体験できる戦闘体験版が公開された。同時にCAMPFIREではクラウドファンディングキャンペーンがスタート。キャラモデルや背景など、各分野の専門的アーティストを迎え入れるため、1億円を目標に資金が募られていた。同氏自身が「世界一面白いアクションRPG」を目指していると公言し、元フロム・ソフトウェア所属である点を明かしたこともあり、体験版の公開時にはプレイヤーから注目を集めていた。

しかし本作の戦闘体験版は、必ずしもプレイヤーの期待に応えられなかったようだ。公開された戦闘体験版に対するプレイヤーの反応としては、SNS上やYouTube、Steamのコミュニティ上などに多数のレビューや感想が挙げられている。筆者が確認した限りでは、アクションや操作が難しい、戦闘システムが多すぎるといった声が寄せられていた。一方で、体験版を遊びこんだプレイヤーからは、病みつきになるといった感想も見受けられた。Hytacka氏自身が4月5日に公開した動画「『地罰』体験版を開発者が振り返ります【反省会/切り抜き】」によれば、一部面白いという感想はあったものの、大多数はそうではなかったという。

そうしたプレイヤーの反応を受けて、同氏は、ゲームシステムの大幅な見直しを決断。同氏と講談社ゲームクリエイターズラボの協議の上で、クラウドファンディングキャンペーンも中止となったわけだ。講談社ゲームクリエイターズラボは発表内で、「修正すべき内容に関してあらかじめ予見できたものについて、事前に発見すべきであったと我々自身も猛省しております 」とも語っている。今後については、講談社ゲームクリエイターズラボによる支援は継続。どんなに時間がかかっても「世界一面白いアクションRPG」を作る目標は変わらず、プロダクトの見直しが進められるそうだ。


Hytacka氏は前述の反省会動画内で、戦闘体験版の出来が悪かったと語る。一方で、プレイヤーの注目は多く集められたため、ここからどんどんアップデートしていきたいと考えているそうだ。戦闘体験版の内容に対しては、説明不足や操作習熟時間の不足などを含めて問題がたくさんあると語る。具体的な今後のアップデートは、ゲームタイトルやゲーム内用語のシンプル化や、直感的な操作への変更が検討されている。弾きや回避の方向指定が難しかったとして、双方とも方向があっていなくとも成功するように変更予定。方向が合っていた場合には、さらに大きなリターンが得られるようになるようだ。動画内では、ほかにも多くの反省点や、今後についてが語られている。

『地罰上らば竜の降る』は、Hytacka氏により開発中。Steamでは、アップデートされた体験版が配信中となっている。

Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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