ゲーム/アニメ作曲家上松範康氏が『うたプリ』作詞作曲を休止するとの投稿。女性アイドル企画『バクプリ』への批判を受けて

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うたの☆プリンスさまっ♪』(以下、『うたプリ』)の原案者でありコンテンツ内楽曲の作詞作曲を務める上松範康氏が、自身のTwitterアカウント上で綴った内容が波紋を呼んでいる。4月2日のツイートによると、同氏は『うたプリ』シリーズの作詞作曲を休止する意向のようだ。

上松氏が代表を務めるElements Gardenおよびブロッコリーは4月1日、『うたの☆プリンセスさまっ♪ BACK to the IDOL』(以下、『バクプリ』)を発表。「アイドル×タイムスリップ」がコンセプトの新時代新次元プロジェクトとして企画を始動させた。しかし、『うたプリ』ファンの総称を示す「プリンセス」という呼称がタイトルに使用されていることや、同名のパロディが『うたプリ』内に存在していることなどから、『うたプリ』ファンを中心に批判的な意見が相次いでいた。

この状況に上松氏は自身のTwitterで心情を吐露。「『うたプリ』公式としての発言でなく上松個人としての発言」と前置きしたうえで、『バクプリ』の名称を決めた背景などについてコメント。その中で「少し『うたプリ』の作曲や作詞をお休みをいただければと思っております」と投稿した。

『うたの☆プリンスさまっ♪』は2010年6月にPSP向けに発売された女性向け恋愛アドベンチャーゲームだ。プレイヤーは作曲家志望の少女・七海春歌となり、アーティストを養成する専門学校「早乙女学園」にて、個性豊かなアイドル志望の男子たちを陰ながら支え、彼らがアイドルへ至るまでの背中を押すこととなる。ゲーム展開だけでなくアニメやライブイベントなど、多くのメディアミックスがなされているシリーズである。

今回発表された『バクプリ』は4月1日のエイプリルフールに発表されたとはいえ、きちんとした運営の予定のあるプロジェクトのようだ。公式サイトによると、「St.早乙女女学園に通う女の子たちが時を超え、様々な時代を行き来しながら、アイドルとして活躍する姿を描いた青春物語」になるのだという。また、『うたの☆プリンセスさまっ♪』の名前を冠しているものの、上松氏によれば「『うたプリ』と『バクプリ』の世界線が交わることはない」とのこと。しかし、『うたプリ』ファンが『バクプリ』に難色を示している理由は単に「男性アイドルの世界に女性アイドルが混ざっていそうだから」というだけではないようだ。

『うたプリ』シリーズでは、ファンの総称として「プリンセス」という呼称が用いられている。男性アイドルたちがずっと呼びかけてきた大切な呼び名であり、その名前を新たな女性アイドルが冠しているのはファンにとって複雑な思いがあることだろう。加えて、「うたの☆プリンセスさまっ♪」というタイトルは2011年のエイプリルフールに公式が公開したエイプリルフールネタで、後にドラマCDやゲーム内の特別ストーリーとなった「うたの☆プリンセスさまっ♪ -まじかるイチコ-」を想起させるものだ。こちらも「本家のネタを奪われた」と感じてしまうファンがいたことは想像に難くない。

また、『うたプリ』最新作として開発中である『うたの☆プリンスさまっ♪Dolce Vita』は、2016年の発表以降、ほとんど音沙汰のない状態が続いている。プラットフォームをPSVitaからNintendo Switchに変更することは発表されたものの、発売日や開発状況などはまったくわからない状況だ。ほか近年の『うたプリ』ゲーム展開は移植作に留まっている。そんななかで新作を待ち望み、イベント参加やグッズ購入などを通じてて応援してきたファンとしては、『うたプリ』ではない新たなプロジェクトの設立に複雑な心境を抱くのも無理はないだろう。

Twitterの投稿によると、上松氏にとって『うたの☆プリンスさまっ♪』と『うたの☆プリンセスさまっ♪』はどちらも同じ時期に構想していたものだという。『プリンセスさまっ♪』の企画は何年もあたためていたものであり、ずっと発表したいと考えていたのだそうだ。しかし、その結果発表した『バクプリ』は多くの『うたプリ』ファンに複雑な印象を与えてしまい、そのことで心が折れてしまったのだという。また、同氏はファンに向けて、一連の出来事について謝罪の意を述べている。

この度の上松氏の表明はあくまで個人のTwitter上でなされたもので、『うたプリ』公式の発表ではない。上松氏が今後『うたプリ』にどう関わっていくかはわからないものの、原案者と『うたプリ』ファン、いずれも納得行くような運営方向が見つかることを祈っている。

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