『ポケモンSV』のクワッスは「カモか鳥か」議論(?)が突然始まる。意外とあいまいなポケモン世界の“鳥”定義

『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』のクワッスがduck(カモ/アヒル)なのかbird(鳥)なのかを巡る議論(?)が巻き起こり、海外ユーザーの注目を集めている。

ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(以下、ポケモンSV)のクワッスがduck(カモ/アヒル)なのかbird(鳥)なのかを巡る議論(?)が巻き起こり、海外ユーザーの注目を集めている。発端はあるユーザーが親切心からか但し書きした、“余計なひとこと”であった。


『ポケモンSV』は、2022年11月に発売された『ポケットモンスター』(以下、ポケモン)シリーズの最新作。ゲームフリークが開発を手がける。本作ではオープンワールドにて、境目なくシームレスに広がる街や大自然が楽しめる。また舞台となるパルデア地方には、新ポケモンも多数登場。物語のはじまりに選ぶ3匹、いわゆる御三家ポケモンも新たな顔ぶれとなっている。

海外掲示板Redditにて一風変わった注目を集めているのが、御三家ポケモンのうちみずタイプのこがもポケモン・クワッス(英語名・Quaxly)だ。あるユーザーが海外掲示板Reddit上に、ミーム画像を用いて「クワッスがカモか鳥か」の議論をもちかけるスレッドを投稿。このスレッドにはクワッスの分類、あるいは“カモか鳥かの定義”を巡って本稿執筆時点で400件以上のコメントが寄せられている。

スレッド内の反応はさまざま。あるユーザーは、「あらゆるカモは鳥だが、あらゆる鳥はカモとはいえない」との論理から、なぜかクワッスはカモであると結論付け。「“鳥”(という特定の生物)は実在しない」とするひねくれた指摘や、「果物です、リンゴ」とふざけるユーザーもみられる。

スレッド内は混沌とした様相を見せているものの、当然ながらユーザーたちは「カモは鳥の一種である」という点を踏まえてやりとりをおこなっている様子。そもそも「カモか鳥かは互いに排反ではない」と正論をぶつけるユーザーもおり、議論というより大喜利といえる状態だ。

「クワッスがカモか鳥か」が問われる発端となったのは、「パルデア地方を代表する鳥が何か」をユーザーに訊いたスレッドとみられる。投稿には例として複数の画像が添付されており、タイカイデン、イキリンコ、ウェーニバル、そしてラウドボーンの姿も。スレッド投稿者はそうしたパルデア地方の“鳥”の中から、ユーザーらに思い思いのポケモンを挙げてほしかったのだろう。

しかし多くのユーザーたちの視線は、スレッドタイトルの「カモ/アヒルも鳥とみなします(Also yes ducks are considered as birds)」とする但し書きに注がれることになった。スレッド内には、分かりきった事実をわざわざ明記した点へのツッコミが多数寄せられる結果に。カモ/アヒルが鳥に含まれない前提があるかのような書き方に違和感を覚えたのだろう。

「カモ/アヒルも鳥と見なす」とわざわざ但し書きされているのは奇妙に感じられる一方で、たしかにカモ/アヒルモチーフのポケモンには鳥らしくないポケモンも存在する。たとえばあひるポケモンのコダックやゴルダックは、鳥らしい特徴といえばくちばしのみ。こがもポケモン・クワッスの進化形ウェーニバルも人型をしており、鳥らしさは控えめなポケモンといえるだろう。スレッド投稿者があえて但し書きをした背景には、パルデア地方の鳥としてカモ/アヒルモチーフのポケモンを気兼ねなく選んでほしいという意図があるのかもしれない。

なおスレッド投稿者の挙げた画像には、ほのおワニポケモン・ホゲータの進化形であるラウドボーンも含まれている。ラウドボーン自体はワニとみられるものの、頭部には火の玉に魂が宿ったとされる“炎の鳥”が乗っている(ポケモンずかん)。かなり強引ながら、これもパルデア地方の鳥ともみなせるわけだ。


ちなみにRedditでは過去に、亀がモチーフのポケモンに何を含めるかを巡るスレッドが注目を浴びたことも。当時のスレッドの投稿者はカメックスやコータスとともに、メタグロスを亀としてラインナップ。多数のユーザーたちから亀とは思えないとのツッコミが寄せられた。メタグロスと亀の共通点といえば4足歩行ということくらいで、たしかに亀とは考えにくい。一方でシルエットは亀らしくもあり、投稿者は亀を大きくデフォルメしたデザインと考えたのかもしれない。ちなみにスレッド内ではツボツボを亀ポケモンに含めるべきとの意見もあり、亀ポケモンの定義もユーザーによってまちまちな様子が見られる。

そもそもとして、一部ポケモンは現実の生物にたとえにくい側面もあるだろう。ゴルダックのようにポケモンずかんの分類上鳥がモチーフとされていても、鳥らしくないポケモンも存在する。また『ポケモン』シリーズのゲーム内でも、とりつかい/とりポケモンなる呼称はあるものの、厳密にとりポケモンが何を指すかは完全には分類されていない。今回“余計なひとこと”として注目を集めた「カモ/アヒルを鳥に含む」との但し書きが生まれた背景には、ポケモン世界で鳥を定義する難しさが背景にあるのかもしれない。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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