Unity製ゲーム即席マルチプレイ化ツール「Gomps」近日Steam無料配信へ。簡易ながら、ひとり用ゲームでもみんなで交流

「Gomps」を導入した『Here Comes Niko!』

個人開発者のRaicuparta氏は3月23日、Unity製作品のマルチプレイ化ツール「Gomps」を正式お披露目した。配信プラットフォームはPC(Steam)で、近日中に早期アクセスとして配信予定。同ツールでは、ほとんどのUnity製ゲームを“ボタンを押すだけ”でマルチプレイ化できるという。

「Gomps」は、Unityで作られたいかなるゲームでも、一部を除き即座にマルチプレイに対応させられるというツールだ。シングルプレイのゲームであっても、複数人が同時に接続できる。“マルチプレイ化”についてもボタンひとつで可能となっているそうで、特別な調整は不要か、必要となっても少しの調整でマルチプレイが可能になるという。

ただし、マルチプレイ機能は限定的とのこと。プレイヤーはゲームの中に「オバケ」のような姿で入り込み、お互いの姿を視認可能。また、ゲームの世界のなかにメッセージを残したり、ほかのプレイヤーが残したメッセージを確認したりすることが可能だという。一方で、「オバケ」となったプレイヤーたちはゲーム自体に干渉することはできない。また、プレイヤーそれぞれが別々のシングルプレイゲームを起動するかたちになり、進捗などは共有されない。ゲームのマップを、幽霊となってみんなで散歩・メッセージ書き込みできるようなイメージだろう。

「Gomps」を導入した『Firewatch』


開発者は「Gomps」を利用した実際のマルチプレイの様子も公開している。Twitterに投稿された動画では、『Return of the Obra Dinn』『Firewatch』『Ynglet』といった作品でマルチプレイを実施。『Return of the Obra Dinn』ではオバケにシェーダーもしっかり適用され、特徴的なアートスタイルに馴染む姿となっている。また、一人称視点ゲームでも、見下ろし2D作品でもスムーズに適用できる様子もうかがえる。マルチ対戦や協力プレイができるわけではなくとも、本来ひとりでしか体験できない世界を複数人で散策できるのは魅力的だろう。

開発者による上述の動画ツイートは注目を集め、約400件のシェア数を記録。ユーザーからの反響も多く、「実際に触ってみたい」といった好奇心を示す声が中心となっているようだ。

「Gomps」を開発しているRaicuparta氏は、『Neon White』や『The Stanley Parable: Ultra Deluxe』といったゲームのユーザー制作VR化Modの開発で知られてる人物だ。「Gomps」についても、ゲーム本体を拡張する、Mod開発の知見が活かされていることだろう。「できれば(hopefully)将来的にはUnreal Engine対応もしたい」とのこと。

なお、同氏の懸念としては、「Gomps」が対戦や協力などの本格マルチプレイを実装するソフトと誤解されるかもしれないと考えているそうだ。Steamストアページなどでは誤解を防ぐべく丁寧に説明がされている。本稿でも、「Gomps」に協力/対戦プレイといったゲーム自体のマルチプレイ化機能がないことを、改めて申し伝えておく。

「Gomps」はPC(Steam)向けに、無料で近日リリース予定。早期アクセスとして配信され、正式リリースに向けて数か月をかけてさまざまなゲームとの互換性などを整備していくとのこと。また、プレイヤー同士の交流要素の充実なども見込まれるようだ。


貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。