『Apex Legends』新開発スタジオ設立。『CoD』シリーズに携わったベテランと共に“『Apex』はあと10年、15年以上続く”と信じて
Respawn Entertainmentは現地時間3月20日、『Apex Legends』の開発を担う新たなスタジオを設立したことを発表した。Raven Softwareにて『Call of Duty』シリーズなどに携わったRyan Burnett氏がスタジオを率いるという。
『Apex Legends』はRespawn Entertainmentが手がけるオンラインFPS。2019年2月5日より基本プレイ無料で配信されている。本作でプレイヤーは、レジェンドと呼ばれる個性豊かなキャラたちを選択して戦う。メインとなる3人部隊のバトルロイヤルモードでは、20部隊60人で広大なマップに降り立ち、勝ち残りを目指す。シーズン制の大型アップデートが実施されており、約3か月ごとに新シーズンが実装され新たな要素が追加されてきた。
今回、Respawn Entertainment(以下、Respawn)は、本作の開発に携わる新たなスタジオを設立したことを明かした。新スタジオの拠点はアメリカ・ウィスコンシン州マディソンになるといい、同社にとって第3のスタジオになる。スタジオを率いるのはRyan Burnett氏。同氏はRaven Softwareに14年間勤め『Call of Duty』シリーズなどに携わったのち、Epic Gamesでエンジン開発部門のディレクターを担当した業界のベテランだ。
なお今回の発表に際し、GamesIndustry.bizはBurnett氏を含むRespawnスタッフたちへのインタビューを実施した。ウィスコンシン州のスタジオ(以下、Respawn Wisconsin)は、『Apex Legends』のライブサービス向け開発に特化することが明かされている。Burnett氏によるとRespawn Wisconsinは単に運営にまつわる遠隔スタジオといった存在ではなく、『Apex Legends』開発チームの中核をなすスタジオのひとつになるとのこと。約3か月ごとに新シーズンを迎える本作の開発態勢を支えるのに不可欠な存在になるそうだ。
またインタビューでは本作のゲームディレクターを務めるSteven Ferreira氏が、新シーズンに向けたコンテンツの開発期間について言及している。たとえば新レジェンドであれば1年から1年半の開発期間が必要になるそうで、コンテンツによっては2年以上かかることもあるという。同氏は、長期的な視点で開発を進めるにあたってチームの健康は最優先事項であると強調。同氏は『Apex Legends』は10年、15年、あるいはそれ以上続くフランチャイズになると信じているそうで、それを実現するためには長期目線でのペースを守った開発が重要との見解を示している。
さらにFerreira氏は、カナダ・バンクーバーに拠点を置くRespawnの第2スタジオ(以下、Respawn Vancouver)設立時を振り返っている。Respawn Vancouverも『Apex Legends』の開発に向けたスタジオであり、2019年よりチームの編成がおこなわれ2020年にスタジオ開設が発表された。同氏は、『Apex Legends』開発チームの成長にあたって、Respawn Vancouverの設立は大きな成功を収めたと述べている。
なお当初はカリフォルニア州のRespawn本社スタジオとRespawn Vancouverは、別々のチームとして独立して運営される方針が想定されていたとのこと。一方で新型コロナウイルスの流行により在宅勤務が必要になり、結果的には地理的に離れた複数チームがひとつのチームとして運営されることになったそうだ。チームがひとつになることでアウトプットの質も高まったといい、『Apex Legends』ではリモート体制で開発されリリースされたシーズンの方が多くの割合を占めているとのこと。
今回設立されたRespawn Wisconsinも地理的には離れているものの、これまでの『Apex Legends』開発チームの延長線上にあるような存在として想定されているそうだ。独立して運営されるスタジオではなく、従来の開発チームとリモートで密接な連携をとりながら『Apex Legends』の開発に携わっていくのだろう。
先月でリリースから4周年を迎えた『Apex Legends』。2019会計年度第2四半期決算においては、Electronic ArtsのCFO兼COO・Blake Jorgensen氏が本作を「1、2年ではなく10年規模のビジネス」として想定していることを述べていた。またFerreira氏も第2スタジオ設立の際に、本作を10年間続くゲームにしたいとの旨を語っていた。今回、本作リリース初期から想定されていた10年以上のサービス展開実現に向けて、さらに開発チームの規模が拡大されたかたちだ。新たなスタジオを加えて開発の続く本作の、今後の展開も注目されるところだろう。