米現地当局は現地時間3月14日、ニュージャージー州に住まう38歳の男を、殺害含む脅迫容疑で逮捕したと伝えた。同容疑者は、Webフォーラム上にて保安官への脅迫を投稿。その脅迫の最後に「マインクラフト内でな」と付け足して誤魔化していたものの、誤魔化しきれず逮捕に至ったようだ。Kotakuなど海外メディアが報じている。
『マインクラフト』は、人気サンドボックスゲームだ。同作でプレイヤーは、世界を冒険したり、クラフトやブロック配置を通じて拠点を作ったりとさまざまな体験ができる。ソロもしくはマルチプレイが可能で、PvP対戦も可能。カスタムサーバーでは、銃を使ったFPSゲームさながらの対戦を提供しているところもある。
そんな本作を逃げ口上にして殺害脅迫をしていたと見られる男が、逮捕されたという。現地警察発表によれば、容疑者はニュージャージー州モンマス・ジャンクションに住まう38歳の男Richard Golden容疑者だ(Nixle)。米メディアの報道によればこの容疑者は、Webフォーラムである4chan上に、フロリダはボルーシャ郡の保安官であるMike Chitwood氏の殺害について投稿していたそうだ(FOX 35 Orlando)。
Golden容疑者が実際に4chanに投稿していたとされる殺害脅迫の文面では、「Chitwoodの頭を撃てば問題解決」などといった言葉が含まれており、はっきり同氏の殺害を扇動する内容となっている。ただし、最後には「『マインクラフト』内でな(In Minecraft.)」と申し訳程度の逃げ口上が追記されている。要するに「現実ではなく、ゲーム内での話」などとして言い逃れるつもりだったのかもしれない。当然こうした言い訳が通用するはずもなく、今回あえなく逮捕にいたったわけだ。
YouTubeチャンネルLaw&Crime Networkが、実際のGolden容疑者の逮捕の様子を捉えた映像を公開している。警官が容疑者宅を訪れると、年老いた母親が出迎えた。困惑した様子ながらも、警官を招き入れる母親。母親が「警察が来ている」と上階にいるGolden容疑者を呼ぶと、意外にも素直に降りてきた。
事情をすべて察したのか、抵抗もせず素直に手錠をかけられるGolden容疑者。警官からの質問に対しても、容疑を認める旨の発言をしている。母親についても、意気消沈しつつどこか諦観も感じられる雰囲気が漂っている。警官とともにGolden容疑者の自室に入り、「臭くて申し訳ない」といった旨を語る様子が印象的である。
なぜChitwood氏が殺害脅迫の対象となったのだろうか。それは、先月同氏がユダヤ人差別に反対する姿勢を示し、Web上で極右グループなどから激しい中傷を受けていたためだ。発端としては、先月に実施された「デイトナ500」にて、ユダヤ人を差別するビラの配布や横断幕の掲示があったという。なかには、「ヒトラーは正しかった(Hitler was right.)」などといった人倫にもとる言葉さえ掲示されていたとされる(Independent)。この行為をChitwood氏は断固とした態度で批判。そのため、4chanといった極右グループなどに好まれるフォーラムにて、Chitwood氏への中傷が過熱していたわけだ。
「『マインクラフト』内で」と付け足そうと、個人の殺害を明白に扇動すれば、法は執行される。なお、Chitwood氏は引き続き自身のTwitterアカウントにて、差別行為に断固として反対する姿勢を示している。