『Roblox』運営元、約200億円預けたシリコンバレー銀行破綻するも「定常業務に支障ない」と余裕見せる。猛烈に儲かっているから
ゲーミングプラットフォーム『Roblox』を運営するRoblox Corporationは現地時間3月10日、取引銀であるシリコンバレー銀行破綻にまつわる報告書を米国証券取引委員会に向けて提出。同社が約1億5000万ドル(約200億円)を同銀に預けていた一方、それでも支障なしとするほどの多額の資産が明らかにされている。
『Roblox』は、2006年にリリースされたゲーミングプラットフォームだ。同プラットフォームが軸としているのは、ユーザー制作によるゲームやアイテムといったコンテンツだ。ユーザーの手によって、3Dアクションゲームを中心とした幅広いジャンルの作品が生み出され、多くのユーザーらによって遊ばれている。また、そうしたゲームやスキンの制作者たちが、売上に応じた実際の収入を得られる仕組みもある。
また、『Roblox』は特に英語圏の若年層において絶大な人気を誇るプラットフォームでもある。同社の発表によれば、2022年Q4における日間アクティブユーザー数平均は5880万人を記録。そのうち実に2600万人が13歳以下のユーザーだという(資料PDF)。ただ本プラットフォームには、そうした利用者児童を搾取するような構造が存在する、といった指摘も見られる(関連記事)。その一方、圧倒的な人気ゆえにNIKEやGucciといった著名ブランドも公式コラボゲームを展開するほどだ。
そんな『Roblox』運営元Roblox Corporationと取引していたシリコンバレー銀行が、先日経営破綻した。現地時間3月10日に、カリフォルニア州金融保護革新局(DFPI)が同銀を閉鎖したのだ。同銀は昨年末時点で全米16位の総資産をもっており、大規模な米銀の破綻としては、2008年の金融危機で起きたワシントン・ミューチュアル以来になるという(Reuters)。そのため、多くの企業に影響が波及。米連邦預金保険公社(FDIC)を管財人として対応が続いている。Roblox Corporationも、その影響を受けた企業のひとつなわけだ。
しかし、同社によればシリコンバレー銀行破綻の同社への影響は少ないという。Roblox Corporationは同銀破綻後、米国証券取引委員会(SEC)に向けて速やかにFORM 8-K(財務状況などに影響しうる特別な事態の報告書)を提出した。
そちらの報告書では、まずRoblox Corporationが現金・有価証券で保持する総資産の額が明らかにされている。その額、約30億ドル。日本円にして約4000億円だ。そして、シリコンバレー銀行に同社が預けていた資産は、その約5%だという。そこから、冒頭でもお伝えした約1億5000万ドル(約200億円)との金額が導き出されるわけだ。
そしてRoblox Corporationは同報告書にて「最終的な結果とそのタイミングにもかかわらず、弊社の定常業務には差し支えありません」と平然と伝えている。大手銀行破綻に周囲が右往左往するなか「支障なし」を告げる報告書から、『Roblox』の圧倒的シェアに基づく資産力が垣間見える一幕だった。なお、シリコンバレー銀行へ預けられていた預金については、米国当局が補償する方針との報道もある(The Guardian)。
『Roblox』はPC/Xbox One/iOS/Android向けに配信中だ。