少女と魔物のRPG『メグとばけもの』開発者、 好評率98%に驚く。届けるべき人に届いた結実の評価

Odencatは3月2日、『メグとばけもの』を発売した。同スタジオの代表者であるDaigo氏に話をうかがったところ、ゲームの評価の高さと売れ行きに驚いているようだ。『メグとばけもの』は、アドベンチャーRPGと公称されている。

ゲームスタジオOdencatは3月2日、『メグとばけもの』を発売した。同スタジオの代表者であるDaigo氏に話をうかがったところ、ゲームの評価の高さと売れ行きに驚いているようだ。

『メグとばけもの』は、アドベンチャーRPGだ。対応プラットフォームはPC(Steam)/Xbox One/Xbox Series X|S/Nintendo Switch。発売日は3月2日で、価格は1650円。本作では、泣き虫な少女メグと、メグを泣かせまいとする魔物のロイの旅路が描かれる。町外れに住む変わり者の魔物ロイは、魔界に迷い込んだメグと遭遇。ロイはメグに迫るが、「メグが泣くと世界が滅びる」現象に気づく。紆余曲折を経て、メグを保護することになった魔物ロイは、メグを母の元へ送り届けるべく各地を冒険することになる。
【UPDATE 2023/3/15 19:40】
ロイがメグを食べようとしていたという記述を修正


『メグとばけもの』は、アドベンチャーRPGと公称されている。フィールド移動や戦闘、成長といったRPG要素があるものの、戦闘機会は限られており、あくまで軸はリニア型のアドベンチャーゲームだ。ゲームのボリュームはコンパクトめで、5時間程度でクリア可能。短編アドベンチャーRPGという紹介がしっくりくるだろう。

そんな『メグとばけもの』は、非常に高い評価を受けている。Steamでは3月14日16時時点で329件のレビューを集め、レビューステータスは「非常に好評」。好評率は実に98%である。完成度の高いストーリーと、そのストーリーを盛り上げる演出とサウンド、そしてゲームとして冗長な部分がなく体験密度が高いところも評価を受けている。ユーザーレビューには「泣いた」報告が数多く寄せられている。


Odencatは、もともとはモバイルゲームを中心に展開していたが、同社のヒット作『くまのレストラン』からはPC/コンソール向けにもゲームを展開。これまでの作品も高い評価を獲得してきたが、『メグとばけもの』は特に好調なローンチを記録している印象だ。開発者はどのように感じているのだろうか。Odencat代表のDaigo氏に話を聞いた。

届けたい人に届いた

Daigo氏は発売直後の反響や好評率98%については、「すごいことですよね」とコメント。また評価が高い一因として「届けたい方々にちゃんとゲームが届いているおかげなんじゃないかなとも感じます」と語る。また配信者やメディアに取り上げられたおかげでもあると考察した。一方で評価が高い別の要因としては、ゲーム自体の品質が一定の水準に達していることであるとコメント。ゲームにほぼバグがなかったり、パフォーマンス問題がないという点も重要だと強調。技術面で妥協しなかったことが功を奏したと振り返った。

売上についても、好調であるとコメント。新作開発を考えられる程度には資金に余裕ができる見込みが立っており、Odencatの過去作について触れるユーザーが増えることで、さらに余裕が出るであろうと期待を寄せた。プラットフォーム別の売上については、Steam版とNintendo Switch版が同じぐらい売れているとコメント。またXbox One/Xbox Series X|S版については、日本ではあまり売れないかもしれないと不安をもっていたが、熱量の高いプレイヤーのおかげで想像以上に売れていると言及。Daigo氏自身がXboxユーザーということもあり採算度外視でプラットフォーム対応をしたが、最終的にやってよかったと振り返った。


評価点と苦労と

どの点が評価されたと感じるか聞いたところ、「ゲームならではのストーリー体験を、わかりやすいコンセプトでコンパクトにまとめあげたという点ではないでしょうか」とコメント。「シナリオも相当練ってはいるのですが、やはりゲームシステムとシナリオが密に関わっているからこその感動があると思います。そして、音楽が本作の持つポテンシャルを最大限に引き出してくれたと思います」と、各要素がしっかりつながっている点も重要ポイントとしてあげた。


なお『メグとばけもの』は、Odencatにとって初の試みとなるPC/コンソール向け新作だ。苦労した点について聞いたところ、モバイル作品開発に慣れていたこともあり、何が期待されているのか見極めるのに時間がかかったとのこと。またゲームのクオリティを上げる段階の期間がかなり長く、終りが見えないため苦労したとのこと。本作ではコンソール対応と販売、10言語対応なども実施。Odencatは開発と販売の両方をおこなっていることから、諸々の手続きも苦労したとのことである。しかしそうした苦労があったからこそ、新作は間口が広くされており、さまざまな言語/コンソールユーザーが本作を遊べることだろう。

地続きにあった道

以上がDaigo氏によるコメントである。『メグとばけもの』は、確かなクオリティとぎゅっと詰められた中身によって、堂々のスタートを飾った。しかしながら、これはあくまでOdencatがこれまで地道に良いゲームを作ってきた積み重ねからだろう。そもそもとして、同スタジオのゲームはユーザー評価が非常に高い。Steam向けに出ている作品では『くまのレストラン』も好評率97%。『フィッシング・パラダイス』も92%が好評である。Daigo氏はかねてからクオリティの高いゲームを作ることを掲げている。Ebitengineを用いて、短期間でさまざまなゲームを生み出してきた(WIREDインタビュー)。いかにプレイヤーに価値ある物語体験を届けるかについて向き合い続けており、そうした試みが『メグとばけもの』および過去作の評価につながっているのは、疑いの余地はないだろう。


メグとばけもの』はPC(Steam)/Xbox One/Xbox Series X|S/Nintendo Switch向けに発売中。PC/コンソール向け過去作としては『くまのレストラン(完全版)』がPC(Steam)/Nintendo Switch向けに、『フィッシング・パラダイス(完全版)』もPC(Steam)/Nintendo Switchで発売中。『メグとばけもの』を遊んで興味が湧いた方は、過去作をプレイすると、Odencatの活動の支えになるかもしれない。



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Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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