終末短編ノベル『q.u.q.』日本語字幕に対応。砂漠をさまよう少女と、赤く黒く奇怪な世界の行く末

motijan(いぬ44)氏は3月8日、『q.u.q.』を日本語字幕に対応した。少女と異邦人と世界にまつわる、短編ビジュアルノベルゲームである。

個人開発者のmotijan(いめ44)氏は3月8日、『q.u.q.』を日本語字幕に対応した。本作はPC(Steam)向けに税込235円で配信中。ゲーム起動時に日本語を選ぶと、日本語字幕で本作がプレイできる。

『q.u.q.』は、少女と異邦人と世界にまつわる、短編ビジュアルノベルゲームである。本作の舞台は、砂と蜃気楼に覆われた終末世界だ。主人公の少女ハッチはある目的のため、巨大な銃を引きずりながら町を目指していた。しかし彼女は、何日も砂漠をさまよった末に、乾きと疲れに打ちのめされてしまう。

彼女は砂漠の焼ける砂に横たわり、(死の)運命を受け入れようとしていたが、そこへススのように真っ黒な異邦人が登場。奇怪な異邦人から水を差し出され、彼女は再び歩き出す。触れるものすべてを壊したというかつての友達。世界を救う英雄と、赤く染まった空。不気味な異邦人からの恩。死と静寂におおわれた町へ辿り着いた彼女は、何を目指すのか。口の悪い少女の嘆きと狂気が描かれる。


主人公ハッチの行く末は、選択肢によって決まっていく。本作は基本的に一般的なノベルゲームのフォーマットに則っている。文章と絵や音の演出によって、物語が展開、赤と黒を中心としたつグラフィックと、どこか寂しいBGMと共に、主人公の事情や赤い世界の情景が紡がれていくわけだ。また本作では異邦人とのシーンや、町で行く先を選ぶ状況などで選択肢が提示される。ハッチの選んだ道筋や回答によって、バッドエンドを含めて9種類の結末が待ち受けている。プレイ時間は1時間から2時間程度。短編ながらも、砂漠をさまよう少女の嘆きと願いや、取り残された奇怪な住人たち、神秘的な終末世界が描かれる。


本作を開発したのは、個人開発者のmotijan氏だ。同氏はいめ44(ime44)名義でも活動しており、オリジナル楽曲やイラストなどを制作してきたようだ。本作『q.u.q.』においても、同氏がグラフィックや音楽を含めてすべて手がけている。また本作は、『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk』開発者のNikita Kryukov氏のパブリッシングのもと、2023年2月27日にSteamにてリリース。Steamのユーザーレビューでは、記事執筆時点で118件中98%の好評を得てステータス「非常に好評」を獲得している。日本語のレビューでは、少女の罵詈雑言やグラフィックなどを中心に評価されているようだ。

また本作の日本語翻訳は、nicolith氏が手がけている。nicolith氏自身の記事によれば、同氏はmotijan氏のファンであり、より多くの人にプレイしてもらうため日本語翻訳を開始したという。なお筆者がプレイした限りでは、しっかり最後まで日本でプレイ可能となっていた。

『q.u.q.』は、PC(Steam)向けに税込235円で配信中だ。また本作のサウンドトラックが、YouTube上で公開中となっている。

Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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