『ホグワーツ・レガシー』の“ファストトラベルマダム”、一部ホグワーツ生から猛烈に嫌われる。下手すりゃヴォルデモートより嫌われる
「ハリー・ポッター」を題材としたオープンワールドアクションRPG『ホグワーツ・レガシー』において、ファストトラベル機能を司る「煙突飛行粉」を発明した偉人が一部ユーザーに猛烈に嫌われている。
『ホグワーツ・レガシー』は人気小説・映画「ハリー・ポッター」シリーズを題材としたゲームだ。プレイヤーは5年生として、ホグワーツ魔法魔術学校に入学。授業や探索に励みつつ、世界をめぐる大きなしがらみに巻き込まれていく。本作では、小説・映画に登場したさまざまな設定やロケーションが再現されている。
たとえば、炎に振りかけることで煙突のネットワークを瞬間移動する「煙突飛行粉」は、ファストトラベル機能として本作に盛り込まれている。各所に設置された移動先ポイントには、煙突飛行粉の発明者であるイグナチア・ワイルドスミスの肖像が飾られている。この肖像は、煙突飛行粉という偉大な発明したのが誰なのかを示すだけでなく、イグナチアとして会話までする。プレイヤーに気さくに声をかけてくれたり、煙突飛行粉がなかった当時の移動の大変さを説いてくれるのだ。
本作におけるイグナチアは、移動に革命を起こした偉人でありながら、気さくに話しかけてくれる顔なじみ的存在でもある。当然、『ホグワーツ・レガシー』プレイヤーみんなから愛されている……かと思いきや、そうでもないようなのだ。それどころか、イグナチアについて「原作シリーズの悪役より嫌い」と語る意見さえWeb上に投じられているのである。
たとえば、Redditの本作コミュニティではでは「シリーズでもっとも嫌われているキャラ」を問う形式でとあるユーザーが画像を投稿。ハリー・ポッターの最大の敵であるヴォルデモートや、嫌われ役代表のアンブリッジ先生もなんのその、イグナチアがもっとも嫌われているキャラであるとしている。こちらの投稿には、「イグナチアを壁からひっぺがしてやりたい」と荒ぶる声も寄せられている。そうした反応を見るかぎり、イグナチアはヴォルデモートよりもはるかに嫌われていそうである。
気さくでおしゃべりなイグナチアがここまで嫌われる理由はおそらくおしゃべりなせいだろう。というのも、イグナチアはやや喋りすぎるのである。ファストトラベル場所をプレイヤーに知らせるためか、近くを通りかかれば「どこへ行くの?」「今度はなにをするの?」とよく通る声で語りかけ、昔話などを織り交ぜ存在感をアピールしてくる。しかも、イグナチアはどこにでもいるのである。ホグワーツ校内などでは、豊富にファストトラベルポイントが用意。すなわち、イヌも歩けばイグナチアにあたるというほどイグナチア天国なわけだ。悪意がないのは理解していても、度重なる会話が億劫になることはあるだろう。
また、イグナチアは気さくではあるものの、よくよく話を聞くと自分の業績の自慢や、若い主人公への小言が多い。たとえば、「フィールドガイドは本当に便利」とアドバイスを装いつつ「私も載せてもらえて嬉しいわ」と鮮やかに自慢。「私が煙突飛行粉を発明するまで、移動はとても不便だった」とかつての苦労を語ってくれる言葉も、何度も投げかけられると「恩を着せたいのだろうか」と勘ぐってしまう。こうした小言のバリエーションが少ないのも、しんどさを上乗せしているだろう。そして「旅は見識を広めてくれる」とのアドバイスは「何度も言ってるけど」との前置きがある。自分の小言がループしているのを自覚して、小言をいっているのだ。イグナチアの一方的なトークに気が滅入る者がいても、不思議ではない。
そうしたプレイヤーの思いを反映するかのように、とあるユーザー制作Modも人気を博している。Nexus Modsにて公開されている「Silencio – Floo Lady Silencer」だ。このModは、導入するとイグナチアが黙る。いたって無駄のないModである。しかし、このModは本稿執筆現在で4万件以上のユニークダウンロード数を誇っており、同サイトの『ホグワーツ・レガシー』Mod全体でも人気上位となっている。ほかには「Madam please be quiet」も同じくただイグナチアを黙らせるModだ。また、頻出ボイスラインを静かにするMod「Silence」でもイグナチアは沈黙する。イグナチアを静かにさせたいホグワーツ生の多さを物語っている。
イグナチアは、たしかにやかましい。しかし、彼女が開発してくれたファストトラベルのお陰で、プレイヤーは快適に学業に励み、スムーズに冒険に出発できるのだ。その事だけしっかり忘れないようにしつつ、お好みにあわせてイグナチアを黙らせるとよいだろう。