OpenAIは3月1日、「ChatGPT API」と「Whisper API」を公開した。「ChatGPT」シリーズでは初のAPI公開となり、開発者によるChatGPTの活用が一気に進む可能性がある。
ChatGPTは、自然言語処理において非常に優れた性能を発揮する大規模言語モデルだ。特にチャット（対話）型のテキスト生成に適したモデルであり、人工知能による対話システムやチャットボットの開発に利用されることがある。
ChatGPTは無料でも一定の範囲で利用することが可能で、特別な知識がなくともアカウント登録からわずか数分で動かすことができる。その手軽さと応答精度の高さから大量のユーザーを獲得。リリースからわずか2か月となる2023年1月には、1億人以上の月間アクティブユーザー数を記録したという（Reuter）。非常に急速な成長をみせているサービスといえる。
今回公開されたのは、ChatGPTの言語モデルへのアクセスを提供する「ChatGPT API」。開発者はAPIを用いてChatGPTの機能をアプリ・サービスに組み込むことが可能になる。OpenAIが公開する既存のAPIではGPT3.5系の「text-davinci-003」が最先端だったが、ChatGPT APIでは「ChatGPT Plus」ユーザー向けに公開されてきた最新モデル「gpt-3.5-turbo」が利用可能だ。
懸念となっていた価格も非常に安価に抑えられている。システム全体の最適化により1000トークンあたり0.002ドルと、従来と比較して一割程度のコストで運用ができる。
なおChatGPT APIはすでに一部の開発者が先行して利用している。OpenAIの公開する記事ではSnapchatやQuizlet、Shopifyなどの先行例が動画とともに紹介されている。
あわせて公開された「Whisper」は音声認識に特化したモデルで、オープンソースで利用可能だ。今回公開された「Whisper API」は最先端のモデル「whisper-large-v2」へのアクセスを提供する。これまでもいくつかのステップを踏めば利用は可能だったが、公式が提供するAPIは存在しなかった。またWhisper APIは最適化された推論プロセスにより処理が高速化しているという。利用は毎分0.006ドルからとなっている。
また、APIの整備に伴いポリシーが更新されている。開発者向けのドキュメントを拡充するなど、より開発者にフォーカスしたサポートが充実していきそうだ。
「ChatGPT API」と「Whisper API」が同時に公開されたことで、音声アシスタントの応答高度化など、多くの可能性が開けてきた。安価に提供されたAPIを利用し、キャラクターの生成をおこなうユーザーもあらわれている（リンク1、リンク2）。
今後のゲーム開発にも大きな影響がありそうだ。既にChatGPTをゲームに組み込み利用する発想は存在しており、ユーザーにより導入される例もみられる（関連記事）。NPCと当たり前のように非定型のコミュニケーションをおこなったり、クエストやミッションが状況に合わせて自動生成されたりする世界が、もうすぐそこまで来ているのかもしれない。
