人気ダンジョンPvPvE『Dark and Darker』開発元に対し、ネクソンのコード等盗用の訴えにもとづき警察の捜査中との報道。開発元は盗用を否定
『Dark and Darker』開発元のIRONMACEに対し、韓国警察が不正競争防止法違反の疑いで捜査をおこなっていることが報じられている。同スタジオに対しては、ネクソンが自社のプロジェクトにおける開発リソースを盗用されていると主張しているとのこと。ネクソンの告訴状に基づいて今回の捜査がおこなわれているという。
『Dark and Darker』は、韓国のスタジオIRONMACEが手がけるダンジョンクロウラー型探索ゲーム。プレイヤーは1〜3人のパーティにて、敵NPCやほかのプレイヤーたちが蔓延るダンジョンに挑む。危険を退け、宝を回収しながら脱出用のポータルから帰還するのが目的となる。ファンタジー版『Escape from Tarkov』とも評される、ローグライクとPvPvE要素が特徴のゲームだ。
本作に向けては、2022年8月の第1回プレイテスト実施を皮切りに、これまでSteamにて4回のプレイテストが実施。国内外のストリーマーたちがプレイしていることもあってか、テストのたびに人気を増している。4回目のプレイテスト時には、最大同時接続ユーザー数が約10万8000人を記録(SteamDB)。プレイテスト段階ですでに大きな注目を集めている作品といえる。
そんな本作の開発元IRONMACEの代表者を含むスタッフに対し、韓国警察が不正競争防止法違反の疑いで捜査をおこなっていることが報じられている。韓国メディアYTNによると、捜査の引き金となったのは、ネクソンによる告訴状とのこと。告訴状では、IRONMACEがネクソンの未発売作品の情報を無断で抜き出し、本作『Dark and Darker』の開発に用いているとの主張がなされているという。なお本件の捜査は2022年8月に現地の検察に引き渡されたものの、先述のようにその後IRONMACEがさらなるプレイテストを実施。事情が変わったことで検察が追加の捜査を要求したとのこと。
また、別の韓国メディアThis Is Gameは、本件にネクソンの『Project P3』という過去の開発中プロジェクトが関係していると報じている。同誌によると、『Project P3』は2021年8月にメディアショーケースにて発表された作品だという。同プロジェクトはプレイヤーたちが協力しながら中世ファンタジー世界のダンジョンを攻略する、一人称視点のゲームとして計画されていたとのこと。
This Is Gameの調べによれば、当時の『Project P3』の開発者たちには、ゲームのコードや開発資料などを社外に持ち出そうとして懲戒処分を受けたスタッフがいたという。そうした開発者の一部はネクソンを退職し、IRONMACEにて『Dark and Darker』の開発に携わっているとされている。ネクソンは、彼らに対し秘密保持義務違反の疑いをかけていたとのことだ。
一方でこうした報道を受けて、IRONMACEの公式Discordサーバーでは、ユーザーに対し開発スタッフTerence氏が声明を発表している。同氏によると『Dark and Darker』の開発に盗用されたコードやリソースは一切使用されていないという。アセットやゲームデザインにおける資料はすべて社内で制作されており、すでに外部機関による監査を受けているとのことだ。また同氏は、現在発生している法的問題はIRONMACEではなく、スタッフ個人に向けられた訴えであると主張した。
好評を博した第4回プレイテストの後に、突如浮上したIRONMACEの疑惑。公式Discordサーバーでの開発元の声明は、ネクソンの主張や一部報道を真っ向から否定する主張となっている。韓国警察の捜査を含め、今後の動向が注目される。