Nintendo Switchの“Joy-Conドリフト”訴訟のひとつが棄却されていた。「規約により集団訴訟権は放棄されている」との裁判所判断
Nintendo Switchの「Joy-Conドリフト問題」を巡って米国で起こされていた訴訟が、昨年11月に裁判所によって棄却されていたという。その理由は「利用規約にて、集団訴訟権の放棄に合意していたから」とされている。Nintendo Everythingなどが伝えている。
Joy-Conドリフトとは、Joy-Conのアナログスティックに触れていないのに、勝手にスティック操作がおこなわれる上述の動画のような現象のことだ。この現象内部パーツのなんらかの不具合に起因するとも主張され、米国での複数の集団訴訟(クラスアクション)などにも発展していた。
AxiosをソースとしたNintendo Everything報道によれば、そうした複数の訴訟のひとつが裁判所により棄却されていたという。公開されている裁判資料によれば、米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所により、昨年11月22日に棄却命令が下されている(資料PDF)。棄却の理由としては、Nintendo Switch関連の米国向けEULA(利用規約)における、「集団訴訟の権利を放棄し、訴訟ではなく仲裁手続き(Arbitration)をもって解決する」との条項ゆえに、本訴訟が棄却されたとのこと。
なお、本訴訟は2人の子どもが原告となり、保護者を通じて提起されたもの。そのため、上述の利用規約の解釈を巡っては「子どもが訴えの主体となれるか・規約の内容を十分に把握できていたか」といった部分も争点とされた。最終的には、本件では子どもは原告になれないとし、保護者を主体と見なす判断が下されている。また裁判所はJoy-Conドリフトが賠償すべき不具合か否かについては結論を出しておらず、あくまでも「ユーザーが合意した規約に照らし合わせると、集団訴訟の権利については放棄することで合意しているはず」との判断が下されたかたちだ。
今回焦点となった集団訴訟の権利放棄(Class Action Waiver)条項については、任天堂のEULAに限らず広くさまざまな機器やサービスの利用規約に盛り込まれている。たとえばPlayStationのアプリケーションソフトウェア利用規約や、マイクロソフトのXbox関連アプリ利用規約にも、一部地域向けに同様の条項が盛り込まれている。
Joy-Conドリフトを巡っては、米国にて今回棄却された訴訟のほかにも係争が続いている。英国の消費者団体からの指摘を受けたり、“ドリフト対策済”を謳う非公式交換スティックパーツが登場するなどユーザーたちにとって身近な悩みのタネであり、関心も高い(関連記事1、関連記事2)。残る別の係争についても、動向が注視されるだろう。