オープンワールドサバイバルMMO『The Day Before』、本当に作ってるのか疑われる。関係者が「ゲームプレイを見たことがない」と言い出したため


デベロッパーのFntasticは1月25日、開発中のオープンワールドMMO『The Day Before』について、発売日やゲームプレイ映像公開の延期を発表した。期待寄せられる本作だけに落胆が広がるなか、本作の公式Discordチャンネルにてヘッドモデレーターを務める人物がさらに懸念呼ぶ発言をして、注目を集めている。

『The Day Before』はパンデミック後のアメリカを舞台とするオープンワールドサバイバルMMOだ。高層ビルが建ち並ぶ都会から自然広がる田舎まで、さまざまな環境を擁する広大なマップが用意され、そのなかではゾンビが徘徊。プレイヤーは仲間とともに探索し、食料や武器などの物資を獲得しながら、またゾンビや敵対するほかのプレイヤーと戦いながらサバイバルをおこなうこととなる。さらにプレイヤーらは、特定の場所にコロニーを作ることが可能。コミュニティ内で交流したり、戦利品を売買したりできるという。

本作は3月1日発売予定とされ、先日には最新トレイラーが公開されたばかりだった。ただ、1月25日に本作のSteamストアページが突如削除。当初開発元Fntasticはバグであると説明していたが、実際には米国での「The Day Before」との商標所有者からの要求を受けてValveがおこなった措置だったという(関連記事)。同スタジオは、まずはこの商標問題を解決させる必要があるとして、本作の発売日を11月10日に延期すると発表。また、今月中に予定していたゲームプレイ映像の公開についても延期すると告知した。

そうした状況のなか投じられた、本作の公式Discordチャンネルにてヘッドモデレーターを務める人物の発言が注目を集めている。モデレーターとは、コミュニティの自治を担う役割であり、開発元から信任を受けたコミュニティメンバーといえる。上述の発売およびトレイラー公開延期発表を受けて同チャンネルでは、ゲームが実在し、本当に開発されているのか疑義を唱えるユーザーが続出。これを受けてヘッドモデレーターのWHOLF氏が「ゲームは存在する(Game Exists)」と反論した。しかしその後同氏からは、「私もゲームが実在するのか疑問を感じている」「誰もゲームプレイを見たことがない」とする発言が飛び出したのだ。前者の発言は本稿執筆時点では削除されているものの、人気ゲームYouTubeチャンネルSkill UpのTwitterアカウントが当時の発言と見られるスクリーンショットを投稿している。

一方でWHOLF氏はゲームの開発状況に関する情報を知らされていないという点で、ユーザーと変わらない立場にあることを示してもいる。現在同氏のもとには、発表を受けた一部ユーザーたちから攻撃的なダイレクトメッセージが寄せられている状況にあるという。Discordチャンネル内のユーザーたちに対し「自分は開発者ではない」と繰り返しており、開発元において“高いポジション”の役職でもないと強調している。

実際、WHOLF氏は現在無給で公式Discordチャンネルのヘッドモデレーターを担当しているそうだ(関連記事)。過去にはLead of Volunteersなる役職として雇用され給料が出ていた時期もあったそうだが、現在は個人的な理由からその役職を離れ、無給に戻っているとのこと。すなわち、現在はボランティア的に本作に協力しているスタッフといった立ち位置になるようだ。立場上、開発元の内部情報を知らされていない可能性はあるだろう。


WHOLF氏は、自身はあくまで開発チームから離れたスタッフだと強調。しかしながら、公式Discordチャンネルの自治を務める関係者が本作について「ゲームプレイを見たことがない」とする発言は、ファンの懸念を呼ぶには十分だろう。3月に発売を控えていた『The Day Before』の開発状況について、不安を強めたユーザーもいることだろう。本作はこれまでにいくつかの映像が公開されてきたものの、本格的なゲームプレイを捉えたものは少なかった。また公開された映像においても、ゲームプレイとしての不自然さが指摘されていた(関連記事)。また、今回問題にされているのは商標だ。「ゲームプレイ映像だけなら、商標問題に抵触せず、何らかのかたちで公開できるのではないか」との素朴な疑問も湧く。

公開延期となったゲームプレイ映像では、そうしたユーザーの不安を払拭することが期待されていただろう。Fntasticはゲームプレイ映像について、弁護士と相談したうえで、なるべく早く公開したいとしている。ユーザーの疑念を晴らすためにも、早急な対応が望まれる。