個人ゲーム制作者のおいし水氏は1月24日、『ファミレスを享受せよ』をフリーゲームとして公開した。対応プラットフォームはPC(itch.io/ふりーむ!)。itch.ioではブラウザからプレイでき、寄付も受け付けられている。
『ファミレスを享受せよ』は、永遠のファミレスで長い時間を過ごす、ポイント&クリック型の短編アドベンチャーゲームである。本作の舞台は、永遠の時間が流れるファミリーレストラン「ムーンパレス」。主人公は、何らかの試験を目前に控えた人物だ。ある夜、主人公は気分転換のために、近所のファミレス「ムーンパレス」を訪れる。しかし主人公は、気がつくと最初に入ったファミレスとは異なるファミレスへとやってきていた。店名は同じムーンパレスであるが、対応してくれた店員の姿は見当たず、注文したソフトクリームもやってこない。永遠のファミレス「ムーンパレス」へ迷い込んだ主人公は、同様にムーンパレスへ囚われた先客たちと、長い時間を過ごすことになる。ムーンパレスでの時間と、奇妙なファミレスの謎が描かれていく。
ムーンパレスには、エントランスらしき場所こそあるものの、扉が開く構造になっていない。先客の中には脱出方法を探したモノもいるが、見つからなかったという。主人公は、永遠のファミレス「ムーンパレス」に囚われてしまったのだ。
幸いにも、ムーンパレスには老いも死も存在せず、永い時間だけが流れている。本作で主人公は、話相手になってくれる何人かの先客と会話。脱出手段を探りながら、ファミレスでの長い時間を過ごしていく。具体的には、本作では画面内の気になる箇所や人物をクリックすると、調査や会話ができる。奇妙なドリンクバーから怪しい飲み物を調達したり、店内のポスターを調べたりなど、画面をクリックして調査を進める。
また店内の先客としては、数千年前からムーンパレスにいるというガラスパン、ムーンパレスに来たばかりだというセロニカ、フォースプーン王国の王というR・スパイク、奥の部屋から出てこないツェネズなどが登場する。最初は話せる話題が限られているが、本作では会話や調査を進めていくと、会話時の選択肢となる「話題」が入手可能。新しい話題を使って新たな会話を繰り広げると、徐々に彼らの素性や事情が明かされ、ムーンパレスでの物語自体も進んでいく。公称プレイ時間は30分以上。結末としては2種類のエンディングが存在。味のあるイラストによって、ムーンパレスや先客たちの姿が表現されている。ムーンパレスに囚われた先客たちと過ごす、永い時間が心地よい作品だった。
本作を開発しているのは、個人ゲーム制作者のおいし水氏だ。同氏による個人サイト「月刊湿地帯」によれば、過去作としてはノンフィールドRPG『湖』と、2Dアクション『LongOne』をフリーゲームとしてリリース。本作が3作目となるようだ。また本作『ファミレスを享受せよ』については、2022年9月頃より開発が進められてきた。次回作としては、プレイ時間5時間から7時間ほどの、これまでより大きな作品に挑戦するそうだ。
『ファミレスを享受せよ』は、PC(itch.io/ふりーむ!)向けにフリーゲームとして配信中だ。