「ゲームの階段のぼり描写」を紹介するTwitterアカウントが注目を集めている。climbing stairs in video gamingなるアカウントが、地道に投稿を続けた結果、根強い人気を博しているようだ。
ゲームにおいては、たびたび階段描写が存在する。プレイヤーとしてはフロアを上下する通路でしかないのだが、作り込み出すと奥が深い。たとえばキャラモデルの足を段に合わせるにあたっては、さまざまな技術が絡み、こだわればかなりの工数が要されるだろう。そういう意味では、階段描写を見ればその作品におけるテクノロジーの個性が見えるわけだ。そんな階段に着目して紹介するTwitterアカウントが、今回注目を集めるclimbing stairs in video gamingだ。
同アカウントは投稿頻度こそ高くないものの、人気タイトルをカバー。『スプラトゥーン3』や『Ghostwire: Tokyo』、『エルデンリング』などさまざまなゲームの階段描写を紹介。各作品の階段表現が把握できる。しかし一方で、こうした「ゲーム内の特定要素を紹介するアカウント」の中では、人気は地味め。以前弊誌でもセガゲームの階段表現の細かさについて紹介する際に引用したが、RTもシェア数も一桁の投稿が多かった印象だ。
そもそもこの手のゲーム内要素を紹介するアカウントは金字塔として「ゲーム内犬をなでられるかどうか」を特集するCan You Pet the Dog?アカウントが絶大な人気を誇っているが、追随したアカウントは次第に飽きられることが多い。しかしclimbing stairs in video gamingは、休憩を挟みながらも、定期的な投稿を続けている。同アカウントはゲームにおける階段描写は、描写のこだわりレベルにかかわらず記録する価値があり、関わったクリエイターに賛辞を贈ったり保存する意義もあると語っていた。階段表現に、並々ならぬ情熱があるわけだ。
同アカウントの人気がぐぐっと上がったのは昨年10月。夏先はフォロワーが7000人程度だったが、“あるゲームに対する投稿”から注目が集まった。『ベヨネッタ3』だ。建物の階段を歩くベヨネッタが映し出されているが、足がそれぞれの段に面しており、また歩くモーションものぼるモーションに絶妙に合っている。美しい階段のぼり表現であるとされ、500件以上RTされた。
その後もさまざまな人気ゲームの階段表現が投稿され人気を博し、今ではフォロワーは1万を超えている。直近では『ファイアーエムブレム エンゲージ』の階段表現に注目が集まっているようだ。
あくまで階段のぼりの表現は、ゲーム内演出のひとつ。それでいて、こだわりはじめると奥が深い。ゆえにほかの部分を優先的にブラッシュアップするために、階段のぼり表現を簡素にする決断を下す場合もあるだろう。階段のぼり表現がシンプルであることが、ゲームとして技術的に問題があるわけではない。そもそもほとんどのゲームにおいて階段表現は簡素なのだ。
一方で、階段のぼり表現がしっかりしているゲームについては、職人気質な精神を感じられる一面もある。階段表現に定評のあるセガからかつて発売されていた『ベヨネッタ』シリーズの新作が、その階段表現において称賛されたというのは、どこか縁を感じさせる。階段表現について気になる方は同アカウントをフォローしておくといいだろう。