Google Stadia終了とともに消える独占ゲーム、開発元が“続編に無理やり押し込む”ことで救済図る。苦肉の荒業

『Hyper Gunsport』

デベロッパーのNecrosoft Gamesは1月18日、Google Stadia向けに配信していたゲーム作品『Gunsport』について告知。Stadiaのサービス終了に伴い消失の危機に瀕した同作を「続編『Hyper Gunsport』のベータ版として配信する」と伝えた。

※『Gunsport』トレイラー

『Gunsport』は、サイバーパンクな世界観で展開される対戦スポーツゲームだ。本作の基本ルールは、バレーボールを踏襲している。プレイヤーたちは2v2のタッグマッチをベースとして、銃を構えて敵チームと対峙する。ただし、撃っていいのはボールだけ。近未来世界を背景に、シューティングとバレーボールが融合した白熱のスポーツが展開されるわけだ。本作はStadia独占配信作品として、2020年にリリース。2022年には続編となる『Hype Gunsport』が、PC(Steam/itch.io)や海外コンソール向けに配信されている。

そして『Gunsport』については、実をいえば消滅の危機に瀕していた。というのも、同作が独占配信されていたStadiaは、Googleが昨年9月30日に突如としてサービス終了予定を告知。今年2023年1月18日をもって配信ゲームのプレイが不可能になると明かしたのだ。この事態に、同プラットフォームにゲームを配信していたり、配信予定だった開発元らは大きな影響と衝撃を受けた(関連記事)。Stadia独占配信の『Gunsport』についても、Stadiaの終了とともに消失への運命を辿りつつあったのだ。

『Hyper Gunsport』


ところが、開発元Necrosoft Gamesは諦めなかった。消えゆく『Gunsport』を、プレイヤーの手の届くところに、動作可能なかたちで保存しようと試みたのだ。そのために同スタジオが選んだのは、「続編『Hyper Gunsport』のベータ版として無理矢理『Gunsport』を配信する」という変則的な荒業であった。

ベータ版としての配信とは、いったいどのような仕組みなのか。まず、『Gunsport』が新たに配信されたのはSteam版『Hyper Gunsport』上。Steamには、正式リリース版ではないベータ版やテスト版のゲームファイルを、開発元がユーザーに向けて配信できる機能がある。不安定なテスト版を、一部のテスターに向けて先行配信する場合などに利用される仕組みだ。Necrosoft Gamesはこの機能を利用して、Steam版『Hyper Gunsport』のベータ版という枠のなかで、前作『Gunsport』ゲームファイルを配信したのである。続編の配信枠のなかに前作を入れ込んでしまうという、かなり変則的な手法なわけだ。

なお、“Steam版”『Gunsport』は、Stadia版の同作をオフライン向けに改修。Stadiaのための実装部分などを整理して移植したかたちとのことだ。同作はSteamにて『Hyper Gunsport』を所有しているユーザー全員が入手可能とされる。ダウンロードの手順としては、Steamにて『Hyper Gunsport』のプロパティを開いて、ベータ版タブでコード「OriginalGunsport」を入力すると、ベータ版として選択可能になる。

『Hyper Gunsport』


なお、Stadiaは事前の告知通り、現地時間1月18日をもってサービスを終了した。「続編に前作を放り込む」という荒業は、消滅の危機に瀕した作品を存続させるための苦肉の策でもあっただろう。『Gunsport』が今後『Hyper Gunsport』への“間借り保存”で良しとされるのか、それとも別の配信方法が模索されるのかも気になる点だ。

Hyper Gunsport』はPC(Steam/itch.io)およびXbox Series X|Sと、海外PS4/PS5/Nintendo Switch向けに配信中。『Gunsport』が変則配信されているのはSteam版となる。また、Necrosoft Gamesは現在新作『Demonschool』をPC(Steam/Epic Gamesストア)および各コンソール向けに開発中だ。