『フォートナイト』向けゲーム開発ツール、便利すぎてとにかくいろいろ作られまくる。チャプター1シーズン3のマップごと生み出す猛者も

Epic Gamesは3月23日、『フォートナイト』向けのコンテンツ制作ツール「Unreal Editor for Fortnite（以下、UEFN）」をパブリックベータとして配信開始した。さっそく国内外のユーザーが本ツールを活用。『フォートナイト』チャプター1のマップ再現や、フォトグラメトリデータを利用した日本の街並み再現など、さまざまなコンテンツを生み出している。

「UEFN」は、Unreal Engine（以下、UE）の本格的な機能や開発ワークフローを利用して『フォートナイト』向けコンテンツを開発できるツールだ。同ツールはUE 5の広範な機能を、手軽な操作で利用可能とする。将来的には、同エンジンの機能の大部分が利用可能となる見込み。

また「UEFN」では、新たにプログラミング言語Verseが導入されている。ユーザーは従来の『フォートナイト』クリエイティブ ツールセットを拡張するかたちで、さらに自由に、さらに複雑な独自のゲーム体験を作り上げることが可能となる。本作ではそうしたユーザー制作のゲーム体験は「島」と呼ばれる。かねてよりユーザーによる島の制作は盛んであり、そこに新たな自由度が足されたかたちだ（関連記事）。

ユーザーは「UEFN」を用いてさっそくさまざまな島を作成している。その中でも注目を集めているのが、『フォートナイト』チャプター1のマップを再現した島「Atlas OG Battle Royale」だ。開発チームAtlas Creativeによって制作され、同チームの公式Discordチャンネル上で島コードが公開されている。

本作ではチャプター2への移行時にマップが刷新され、以前のマップでは遊べなくなった。「Atras OG Battle Royale」では、そんな『フォートナイト』チャプター1のマップが再現されている。グリーシー・グローブ、プレザント・パーク、リテイル・ロー、フェイタル・フィールドといった懐かしいロケーションにて、在りし日を懐かしみながら遊べるわけだ。各ロケーションはかなりの再現度であり、当時のプレイヤーはしみじみとした気分に浸れることだろう。

なおそれでも「Atlas OG Battle Royale」では、当時のマップを完全再現するには至っていないという。開発中にメモリ使用量を超過してしまったそうで、データ量は想定の4分の1に縮小されているそうだ。マップ上の特定の場所や、草木、落ちているアイテムの数などが削られているという。今後の「UEFN」のアップグレードにあわせて、時間をかけて最適化がおこなわれていくとのこと。その先駆けとなるversion 1.1アップデートでは、容量節約のために削られていたポンプショットガンが実装予定。現在確認されているバグについても修正される見込みだという。

ちなみに「Atlas OG Battle Royale」のほかにも、別のチームによるチャプター1のマップの再現を試みるプロジェクトは存在。そちらでは「Reboot Royale」とされる島が現在準備中とのこと。実際のゲームプレイを収めたという動画が公開されており、こちらも高い完成度でチャプター1マップが再現されていることが確認できる。

そのほか「UEFN」にてフォトグラメトリデータを利用して、日本の町並みを作り上げたユーザーも登場。フォトグラメトリとは、被写体をさまざまなアングルから撮影した写真から3DCGを生成する技術だ。Twitterユーザーのmasanaga氏は自作のフォトグラメトリデータを盛り込んでマップを作成したそうで、ゲーム内には建物や電車のほか、スケール感の狂ったブドウなどが混在。混沌とした様相ながら、部分的には日本らしい町並みが構築されている様子が確認できる。

ほかにも国内外のユーザーがさまざまなコンテンツを制作し、SNS上で共有する様子が見られる。中には『フォートナイト』とは趣が大きく異なる、ホラーテイストの島を作り出したユーザーも。ユーザーはこの島を“バックルーム”と紹介しており、無限に続くかのような不気味な空間が構築されている。

「UEFN」の配信開始時には、Epic Games自らが機能性を示すために同ツールで制作した「島」を公開した。それらについても、オマージュ元の再現度やゲームプレイの幅広さに注目が集まっていた（関連記事）。今回はユーザーの手でさまざまなコンテンツが作成され、「UEFN」の機能性が改めて示されたといえる。

なお『フォートナイト』開発チームは本日3月24日、クリエイター向けに公式ニュースを投稿。「UEFN」やクリエイティブ ツールセットにて、他人の知的財産を許可なく使用することが規約違反となる点を強調している。また『フォートナイト』でのバトルロイヤルのマップについてもEpic Gamesの知的財産であり、例外ではない点にも言及されている。

一方で今回ユーザーらが制作している本作チャプター1のマップ再現の試みについては、開発チームも喜びを感じているという。そのため唯一の例外として、チャプター1のマップ再現のみは作成・公開を許可することが決定されたそうだ。ただし、マネタイズの対象にはならないそうなので留意されたい。

「Unreal Editor For Fortnite」はPC（Epic Gamesストア）向けに、現在配信中だ。