ほぼ全部AI製ゲーム『Traveler – The AI Story』Steam向けに発売。背景・音楽・テキストを丸ごとAIが手がける
デベロッパーのYocat Gamesは2月21日、『Traveler – The AI Story』を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam)。ゲーム内は英語表示にのみ対応する。
『Traveler – The AI Story』はテキスト主体のアドベンチャーゲームだ。舞台となるのはWonderlandと呼ばれる領域。プレイヤーは旅人としてこの地をさまよい、善悪を問わず世界を変える力をもつという宝を探し求める。本作では、背景や登場キャラのイラスト、BGM、物語を綴るテキストにいたるまで、ほぼすべてAIによって生成されているという。
本作には発売時点で10本のシナリオが用意。シナリオ内に時おり選択肢も用意され、シナリオ中の展開が変化を見せる。各シナリオの舞台となるのは、Wonderlandのさまざまなロケーションだ。砂漠(Desert)や死の土地(Land of Dead)、機械世界(Machin World)など、多彩な世界が旅人を待ち受ける。
AIが生成したという背景イラストでは、それぞれの世界の幻想的な風景が表現されている。情景のほか書物の挿絵のようなアートスタイルで描き分けられたイラストもあり、物語に彩りをもたらしてくれるだろう。また同じくAIによる生成だという音楽もWonderlandでの旅路を彩る要素のひとつ。旅人が各地で出会う住人たちとの物語もまた、AIによって生成されているとのこと。
AIにより生成されたコンテンツを利用する作品はこれまでにも存在。2022年8月に登場した、画像生成AI「Midjourney」のイラストを用いたブラウザ向け無料ホラーノベル『壁夢』(関連記事)。同年11月にはAIにお題に沿ったイラストを生成させる人狼風ゲーム『AIアートインポスター』が登場した(関連記事)。そのほかゲーム以外でも、今年1月には「Midjourney」が生成した画像を用いたフルカラーコミック「サイバーパンク桃太郎」が発表。さまざまな媒体でAIが生成したコンテンツが活用されつつあるといえる。
本作『Traveler – The AI Story』では画像だけでなく、音楽やテキストもAIによって生成されている点が特徴だろう。ゲームプレイはかなりシンプルながら、AIを利用したゲーム作りの可能性を示すタイトルといえそうだ。なお本作に向けては「Coming Soon」とされる2つの未実装エピソードが存在する。今後のアップデートでWonderlandでの新たな旅路が追加されるのかもしれない。
『Traveler – The AI Story』はPC(Steam)向けに発売中だ。