Epic Gamesが米連邦取引委に約700億円の和解金を支払いへ。『フォートナイト』の“ユーザーを騙すUI”などを巡り
Epic Gamesは12月19日、米連邦取引委員会(FTC)に対して5億2000万ドル(約714億円)を支払うと発表した。『フォートナイト』に関する、FTCの訴訟に対する和解金とのこと。
今回のEpic GamesのFTCに対する支払いのうち、2億7500万ドルは児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)違反に対する支払い。そして2億4500万ドルは、ユーザーを騙して意図しない購入を促すようなUI(ダークパターン)を設定していた点に対する支払いとのこと。こちらの支払い金については、FTCより消費者に向けて分配されるとのことだ。
COPPA違反についてFTCは連邦裁判所にて訴訟を提起。Epic Gamesが13歳未満のユーザーから、保護者の同意を得ることなく個人情報を収集していると主張していた。さらに子どもの個人情報の削除を要求した保護者に対し、不当な手続きを踏むように要求し、場合によっては削除の要求に応じなかったとしていた。
さらにFTCは、Epic Gamesにおいてデフォルト設定でテキストおよびボイスチャットが有効になっている点も問題として指摘。『フォートナイト』において10代のユーザーが見知らぬ人とマッチングし、いじめ・嫌がらせ・脅迫といった問題にさらされていたと主張した。Epic Gamesはそうした違反や問題に対する和解金として、2億7500万ドルを支払う格好だ。
そしてFTCは別の告発として、Epic Gamesがユーザーを騙すようなUIを設定して不要な購入を促していたと主張していた。FTCは『フォートナイト』におけるUIが、直感に反し、一貫性がなく、紛らわしいインターフェースであったと説明。1つのボタンを押すだけで不要な料金の請求が発生していたとした。こうしたUIによって数億ドル規模の不正請求が引き起こされていたとしている。
また『フォートナイト』におけるゲーム内通貨V-Bucksが2018年まで、親やカード所有者の同意を必要とせず、子どもがボタンを押すだけで購入できた点も問題点として指摘。さらにEpic Gamesは、そうした請求に異議を唱えたユーザーのアカウントを停止処分にすることもあったという。FTCによると、この問題に対してはユーザーからの苦情が100万件以上の寄せられていたとのこと。さらにFTCは、Epic Gamesはキャンセルや払い戻し機能をユーザーから見つけにくくするなど、問題を悪化させるだけであったと主張している。
Epic Gamesは、そうしたFTCの申し立てに対する和解金として、さらに2億4500万ドルを支払うかたち。FTCはこの和解金を利用して、条件にあてはまる米国内の『フォートナイト』ユーザーに対して払い戻しをおこなうとのことだ。
Epic Gamesは今回のFTCの発表に先駆けて、12月7日より若年ユーザー向けの「機能限定アカウント(Cabined Accounts)」機能を導入している。Epic GamesストアやEpic Games提供のゲームにログインする際に、年齢確認が表示。年齢が若いユーザーは機能限定アカウントとなり、保護者の同意手続きを開始するために両親または保護者のメールアドレスの提示が求められるとのこと。特定の機能を利用するためにはペアレンタルコントロールの設定が必要となるそうだ。和解金の支払いだけでなく、問題となった仕組みの改善も実施されているようである。
FTCの申し立てに対し、計5億2000万ドルもの和解金を支払うことになったEpic Games。なおFTCはAmazonやApple、Googleなどに対しても、子どもによる親の同意なしのアプリ内購入による請求が不当であると主張。いずれも払い戻しに至ったことが発表されている。今後も米国においては、若年ユーザーやその保護者に害を及ぼす仕組みに対して、FTCが監視の目を光らせることだろう。