マーベルDCG『MARVEL SNAP』の1試合が速いのは“開発者の友人がトイレで転んで骨折った”から。便座で長丁場の悲劇

基本プレイ無料の対戦カードゲーム『MARVEL SNAP(マーベル・スナップ)』の開発者Ben Brode氏が、本作の試合がスピーディに終わる設計意図を説明。そこには同氏がかつて開発に携わった『ハースストーン』のせいで、“トイレで転んで骨折してしまった友人”の存在があるという。

基本プレイ無料の対戦カードゲーム『MARVEL SNAP(マーベル・スナップ)』の開発者Ben Brode氏が、本作の試合がスピーディに終わる設計意図を説明。そこには同氏がかつて開発に携わった『ハースストーン』のせいで、“トイレで転んで骨折してしまった友人”の存在があるという。The Washington Postが伝えている。


『MARVEL SNAP』は、「マーベル」作品をテーマとするオンライン対戦カードゲームだ。PC/iOS/Android向けに基本プレイ無料で配信中。本作では2人のプレイヤーが、フィールド上の3つのロケーション(陣地)にカードを配置して戦う。プレイヤーは通常6ターンにわたっていずれかのロケーションにカードを配置。カードにはパワーや効果が設定されている。最終ターン終了時に、配置されたカードのパワーの合計値が勝っているプレイヤーがそのロケーションを獲得。2つ以上のロケーションを獲得したプレイヤーが勝利となる。

カードの配置にはエネルギーが必要で、使えるエネルギーは1からスタート。エネルギーは1ターンごとに1ずつ増加していくため、ターンを重ねれば強力なカードや複数枚のカードを配置できるようになる。相手がどのロケーションにカードを配置するかの読み合い。そして、限られたエネルギーでどのカードを配置するかといった戦略性が特徴だ。またロケーションにも試合ごとにランダムな特殊効果が存在し、これも本作の戦略性を高めている。


本作を手がけるのは米国に拠点を置くSecond Dinner。Ben Brode氏やHamilton Chu氏が2018年に共同設立したスタジオだ。Chu氏はBlizzard Entertainmentにて、『ハースストーン』のシニア・バイスプレジデント兼エグゼクティブプロデューサーを担当していた。そしてBrode氏は同作を誕生期から運営し、ゲームディレクターも務めた人物である。つまり、『ハースストーン』の元中枢スタッフによって設立されたスタジオというわけだ。

そんなBrode氏が The Washington Postに語ったところによると、同氏が『MARVEL SNAP』の1戦をスピーディに終わるようにデザインした理由には、『ハースストーン』の1戦の長さが関係しているという。かつて同氏の友人がトイレで『ハースストーン』を遊んでいたときのこと。同氏の友人はコントロールウォリアーデッキを使用しており、対戦相手もまた同様のデッキを使用していた。

『ハースストーン』

コントロールウォリアーデッキとは、クラス「ウォリアー」のコントロール型デッキだ。コントロール型デッキは、序盤は相手ミニオンの除去などを駆使して攻撃をしのぎ、終盤に強力なカードで決着をつける防御型の戦法をとる。つまり時間をかけてじっくり勝つデッキとなるわけだ。

そんなコントロールウォリアーデッキ同士の死闘は40分にもわたって続けられた。トイレで。そして決着をつけたBrode氏の友人の身に、大きな不幸が降りかかった。便座から立ち上がるときに、足がしびれて力が入らなかったのである。そのまま転倒してしまった同氏の友人は、足を骨折。助けを求めて叫ぶ羽目になり、その後ギプスをはめての治療を余儀なくされたそうだ。トイレでのけがにしては、かなりの大けがといえるだろう。Brode氏はこの出来事に対し、いくらか責任を感じたという。

Brode氏によれば、『ハースストーン』の試合時間は7分程度に想定されていたとのこと。しかし、同氏の友人の試合のように長引く場合もあった。結果として発生してしまった悲劇もあってか、Brode氏とChu氏はさらに試合が短く終わるカードゲームを追求したいと考え、最終的に『MARVEL SNAP』にその設計思想が導入されたそうだ。

『MARVEL SNAP』は通常6ターンという短いターン数に加え、各ターン3つのロケーションにどのカードを配置するかを決めるのみ。序盤のターンでは配置できる最大カード数も少ないため、非常にスピーディに1戦が終わるわけだ。連戦しなければ、便座に座って遊んでも足がしびれる心配はないはずだ。


なお本作はSteamユーザーレビューにおいては8155件中90%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得。マーベル作品のキャラの魅力だけでなく、ゲーム部分も好評だ。スピーディでシンプル、かつ環境理解や状況判断力が勝負に関わるカードゲームの持ち味をしっかり備えている点が評価されている。またiOS/Android向けにも展開されている本作は、「The Game Awards 2022」ではBEST MOBILE GAMEを勝ち取った(関連記事)。

マーベルキャラの魅力に加え、スピーディなゲームデザインも本作に高い評価と人気をもたらしているわけだ。そうした設計の一因に“開発者の友人のトイレでの骨折”があるのは興味深い。なおThe Washington Postによれば、長時間便座に座り続けると痔になりやすくなるという。『MARVEL SNAP』をトイレで遊ぶ際も、連戦はほどほどに。『ハースストーン』にせよ、じっくり楽しむ際には場所や姿勢に気を配りたい。

『MARVEL SNAP』は、PC/iOS/Android向けに基本プレイ無料で配信中だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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