「頭痛のしないストラテジー」を目指して王国防衛ゲーム『Thronefall』開発中。『ISLANDERS』制作者が明かす、ドタバタすぎる開発劇

GrizzlyGamesは12月11日、『Thronefall』のSteamストアページを公開した。高評価ゲーム『ISLANDERS』に携わった開発者が手がける。本作のドタバタな開発経緯も明かされている。

ドイツのインディースタジオGrizzlyGamesは12月11日、『Thronefall』のSteamストアページを公開した。2023第2四半期に発売予定だ。本作は高評価ゲーム『ISLANDERS』に携わった開発者が手がける。本作の開発経緯も明かされており、失敗を経た方針転換から本作が生まれたそうだ。

『Thronefall』は、「頭痛のしないストラテジーゲーム」を標榜する作品だ。本作でプレイヤーは、小さな王国を作り上げ、防衛することになる。昼間には、王国に必要な設備や城壁、そして弓兵の配置など防衛体制を構築。そして夜には、全力で敵を迎え撃つことになる。この昼夜の繰り返しで、ゲームが進行していくようだ。


本作は古典的なストラテジーゲームから、不必要な複雑さを一切取り払った作品を目指しているという。一方で、ロングボウで遠距離から敵を足止めするか、あるいは騎馬を突撃させるかといった戦略的な選択も迫られるようだ。

本作開発の中心となっているのは、GrizzlyGamesのJonas Tyroller氏だ。Tyroller氏は同スタジオ作品『ISLANDERS』開発にも携わったほか、個人開発者として複数の作品を開発。今年3月にはAIがプレイヤーの行動を予測して追い詰めるアクションゲーム『Will You Snail?』をリリースし、Steamユーザーレビューにて「圧倒的好評」ステータスを得ている。また、Tyroller氏は自身のYouTubeチャンネルでゲーム開発についての動画を公開している。そのなかで、『Thronefall』が別企画の開発頓挫から誕生した作品であることや、「プロトタイプ状態から約22日間で完成に至った」との経緯などが明かされている。


Tyroller氏が先月公開した動画によれば、同氏は同じスタジオのPaul Schnepf氏と共に、まず「デッキ構築ゲーム」の開発に乗り出したという。コンセプトとしては、「中世を舞台にした王国運営ゲーム」だったそうだ。カードのデザインやシステムなどを吟味して開発を進めていくものの、出口が見えず開発は頓挫。開発チームで新しい方向性を模索することになったそうだ。そこで、メンバーらに一致する方向性として浮かび上がったのが「ミニマリストな王国運営ゲーム」だったとのこと。そして、タワーディフェンスゲームのような試作品から『Thronefall』のプロトタイプが生み出されることとなった。「デッキ構築ゲーム」の開発が始まり、頓挫し、『Thronefall』のプロトタイプが完成するまで41日がかかったという。

*『Thronefall』プロトタイプ
Image Credit: Jonas Tyroller on YouTube


Tyroller氏は42日目より、Schnepf氏と共に『Thronefall』の本格開発を始動。アートスタイルのブラッシュアップに取り掛かったという。満足のいくビジュアルを得たTyroller氏は、同スタジオ開発者のFriedemann Allmenröder氏に喜び勇んで見せたという。Allmenröder氏は渾身のゲーム画面を見るや「スタートとしては上出来」と評価したそうだ。完成品を見せたつもりのTyroller氏は愕然としつつも、Schnepf氏とさらなるブラッシュアップに取り組んだ。途中で別スタジオ作品『Mini Motorways』に見た目がそっくりになりかけるアクシデントなどもありつつ、最終的に現在のややアングルのついた見下ろし視点に落ち着いたそうだ。

*『Thronefall』の現在Steamストアで公開されているスクリーンショット


ほかには、名付けの問題もあったという。本作については仮題時点から「Thronefall」として開発が進められていた。しかし、正式タイトルを決めるにあたり「Castle Mania」「Tiny Knights」など、タイトルフォントの違いやレイアウトの違いを含めて複数のタイトル候補があがったそうだ。中にはユーモアを盛り込んだタイトルもあり、「Your Mom’s Castle(お前の母ちゃんの城)」や、別スタジオの王国防衛ストラテジー『Kingdom』ではないことをアピールする「Definitely Not Kingdom(まったく『Kingdom』ではありません)」などを検討したとのこと。しかし、最終的には気に入っている『Thronefall』に落ち着いたとのこと。

そして開発は本番に突入していく。Tyroller氏らは馬に乗った主人公を動かせるようにし、そこにほかユニットたちが追従するような仕組みを作った。敵味方AIユニットの行動を制御する「パスファインディング(経路探索)」と呼ばれるシステムの実装だ。続いてTyroller氏らは剣や弓矢での攻撃や、ステージの構築などの実装を順調に進行。デッキ構築ゲームとしての企画開始から64日、『Thronefall』としての本格開発始動から22日目にして、ゲームとしてしっかりと仕上がったとのこと。ただ、一部のユニットが壁の角などに引っかかる問題や、AIユニットが地形を無視して乗り込んでくるなどの問題は64日目にも発生したそうだ。Tyroller氏は気が狂いそうになりつつも、どうにか修正したという。


紆余曲折を経て、ゲームとして動作する『Thronefall』の基礎が完成した。ただし、本作の発売時期は来年となっている。今後、発売に向けてさらなるブラッシュアップが進められていくことだろう。高評価ゲームを数多く手がけるTyroller氏らGrizzlyGamesの新作とあって、期待も高まる。

『Thronefall』はPC(Steam)向けに、2023第2四半期に発売予定だ。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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