米連邦取引委がマイクロソフトのActivision Blizzard買収阻止に乗り出す。市場の競争阻害につながるとの主張


米連邦取引委員会(FTC)は現地時間12月8日、マイクロソフトによるActivision Blizzardの買収を阻止すると表明。マイクロソフトによる買収が、ゲーム業界の競争相手を抑圧すると主張し、法的手続きへの動きを見せている。

マイクロソフトは今年1月、Activision Blizzardを総額687億ドル(約9兆4000億円・現在のレート)で買収する方針を発表。現在は、反トラスト法(独占禁止法)違反の恐れがないかなどについて、各国の規制当局による審査が現在進められている。Activision Blizzardは、傘下のActivisionが手がける『Call of Duty』シリーズや、Blizzard Entertainmentの『オーバーウォッチ』『Diablo』シリーズ、またKingの『Candy Crush』など、多数の人気IPを抱えている。

今回FTCは、マイクロソフトが競争相手を市場において抑圧していると主張。Xboxコンソールや、サブスクリプションサービスであるGame Pass、クラウドゲーミングサービスにおいてのマイクロソフトの影響力を指摘した。発行された訴状内では、Bethesda Softworksの親会社であるZeniMaxの買収も、市場の競争阻害につながる例として挙げられている。

FTC競争局長のHolly Vedova氏は今回の発表に際し、マイクロソフトが主要な独立系ゲームスタジオを支配しているとコメント。それを利用して市場の競争を阻害していると述べている。

マイクロソフトの副会長兼プレジデントのBrad Smith氏はFTCの発表に対してコメント。これまで同社はFTCから提案された譲歩を承諾し、FTCが抱く市場競争に関する懸念に対処すると約束してきたと述べている。FTCによる今後の訴訟に際しては、マイクロソフトには「完全な自信」があるとして、法廷でそれを提示する機会を歓迎すると表明した。


またActivision BlizzardのCEO・Bobby Kotick氏も声明を発表。マイクロソフトによる同社の買収が市場の競争を阻害するというFTCの主張は、事実と異なるとの意見を述べている。またマイクロソフトによる同社買収は、ユーザーへの選択肢を増やすとして、業界にとっても良い影響をもたらすと主張。将来の訴訟にあたっては「勝利を信じている」とコメントしている。


マイクロソフトがActivision Blizzardを買収する方針を発表してから、各国・地域の規制当局では承認審査が進められている。英国においては、CMA(Competition and Markets Authority・競争市場庁)による審査がおこなわれている最中。各国における今後の動向が注目される。