Paradox Interactive(以下、Paradox)は11月30日、『Victoria 3』の売上が50万本を突破したと発表した。本作は同社の過去の人気作と比べても、快調な売れ行きを見せている。
『Victoria 3』はストラテジーゲームだ。高い評価を受けた『Victoria 2』の後継作として10月25日にリリースされた。舞台となるのは19世紀から20世紀にかけての近代世界。プレイヤーはこの時代の任意の国を選択し、国家を運営する。非戦を貫き伝統を守り続けるのもよし、産業化を推し進め拡大を目指すもよし。国家の運営方針はプレイヤー次第だ。
国家の運営においては、経済の維持・発展がもちろん重要となる。課税や輸出入を上手くコントロールすれば、国力を高められるだろう。また産業の発展には労働力が不可欠。労働者のニーズも踏まえた、バランスのよい国内運営を心掛ける必要がある。
そしてParadoxは本日、本作の売上が発売後1か月足らずで50万本を突破していたことを告知。同社いわく、これはParadox史上もっとも成功したローンチのひとつだという。たとえば同社のほかの人気タイトル『Hearts of Iron IV』は、発売後約8か月後に売上50万本を突破。初日で20万本以上を売り上げたという『Stellaris』でも、売上50万本の突破には1か月以上を要していた 。過去の同社の人気タイトルと比べてもかなり好調な売上だ。なお2020年発売の『Crusader Kings III』は、約1か月で100万本の売上を記録。『Crusader Kings III』には及ばないながらも、初動は好調のようだ。
本作は発売後まもなくSteamの同時接続プレイヤー数がピーク時7万人を記録。その後も数週間にわたって数万人のプレイヤー数を維持しており、直近でも1万人前後を推移している(SteamDB)。同時接続プレイヤー数の好調な滑り出しは、売上にも反映されていたわけだ。
一方でSteamユーザーレビューでは約1万6000件中、好評が66%の「賛否両論」ステータス。本作は現状、荒削りなゲームバランス、戦争・軍事システムの単調さやAIの拙さなど、気になる部分もある。一方でシリーズの持ち味である内政面、特に経済システムは奥深く作り込まれている。長く遊べるゲームだからこそ、粗さは気になってくるのだろう。
開発元はアップデートによる今後の開発方針を明かしている。本作を手がけるParadox Development Studio内のPDS Redチームは11月2日、開発者日記を更新。年内に予定されている最初の大型無料アップデートPatch 1.1での調整方針を明かした。具体的には軍事システムは部分を絞って改良し、プレイヤーがコントロール可能な要素を増加させるそうだ。そのほかにも没入感を高めるような歴史イベントの改良や、外交システムのさらなる深化が計画されているとのこと。またPatch 1.1で予定されている変更の詳細は、その後も順次公開中。政府の正当性や、石油産出に関するAIの改良など、フィードバックを受けたバランス調整が検討されているとのことだ。
破格の売れ行きを見せた『Victoria 3』。課題は残るものの、持ち味となる内政システムはユーザーから一定の評価を受けている。開発元いわく、軍事や外交といったほかのシステムも中核部分は機能しており、大幅な再設計ではなく部分を絞った改良・拡張を続ける方針とのこと。いずれにせよ、まずは年内に配信予定のPatch 1.1アップデートでの調整を楽しみにしておこう。
『Victoria 3』はPC(Steam/公式サイト)向けに発売中だ。