『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』大手ユーザーコミュニティでさっそく「禁止ポケモン」4匹が指定される。“強すぎ”認定されたのはどれ

海外ユーザーコミュニティSmogonにて、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の新ポケモンがさっそく“禁止ポケモン”として設定された。なお本稿にはゲーム終盤で手に入るポケモンについても言及しているので、留意されたい。

海外ユーザーコミュニティSmogonにて、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の新ポケモンがさっそく“禁止ポケモン”として設定された。4体の新ポケモンがコミュニティ内の大会などにおいて禁止された旨が伝えられている。

なお本稿ではゲーム終盤で手に入るポケモンについても言及しているので、留意されたい。





Smogonは『ポケットモンスター』シリーズの対戦系ユーザーコミュニティ。2004年に開設され、メンバーは45万人を超えるという大手コミュニティだ。公式大会とは異なる独自のルールを設定し、メンバー間での大会やオンライン対戦が活発におこなわれている。Smogonではポケモンたちの特性やわざなどを取り決めた独自の階級が設定されており、それぞれの階級にルールを決定・調整する評議会(the tiering council)が存在。今回禁止ポケモンを発表したのは、各OverUsed(以下、OU)階級の評議会だ。

今回 “禁止ポケモン”として発表された新ポケモンは「ハカドッグ」と「ハバタクカミ」。こちらはパルデア図鑑内のポケモンを対象とするルールである、SV OUのルールにて禁止が発表された。そして過去作のポケモンも含めたNational Dex OUルールにおいては上記2体に加え「トドロクツキ」「イルカマン」も禁止ポケモンとして指定されている

まずハカドッグはボチの進化形。タイプはゴーストのみとなる。攻撃・防御・特防のステータスが高めに設定されているものの、突出した能力値は有していない。一方で現状ハカドッグだけが覚えるゴーストタイプわざ「おはかまいり」は強力だ。パーティのポケモンが1体ひんしになるごとに威力が50ずつ上昇し、初期値の50から最大300まで威力を上げられる。

SV OU評議会は、威力の上がったおはかまいりは対処が難しいと指摘。OUルールでは、公式のオンライン対戦とは違って、6対6のバトルとなる。そのため必然的にひんしになるポケモンの数も増え、おはかまいりが公式のオンライン対戦よりも強力になるわけだ。ハカドッグの禁止指定はSmogonのOUルールならではの判断といえるだろう。

また同評議会は、おはかまいりが今作の新システムであるテラスタルとの組み合わせでさらに強力になる点も指摘。テラスタルを使うと、ポケモンのタイプが対応するタイプに変化。対応タイプのわざの威力が上昇する。つまり、ゴーストタイプのテラスタルでは、おはかまいりもさらに強力になる。ゴーストタイプわざは半減や無効化できるタイプが少なく、対処も難しいわけだ。なお同評議会はおはかまいりについて、オンラインポケモン預かりサービス「Pokémon HOME」への連携後にハカドッグ以外のポケモンが習得する可能性にも言及。おはかまいりを禁止わざとして設定する予定を伝えている。


ハカドッグと共に両評議会で禁止ポケモンとされたのがハバタクカミだ。ハバタクカミは、『ポケットモンスター スカーレット』にて3つのルートクリア後以降に入手できる、古代の“パラドックスポケモン”の1体。ムウマに似た姿ながら、タイプやステータスは異なっている。タイプとしては、ゴーストにくわえてフェアリータイプを備える。そして、ステータスは特攻・特防・素早さが極めて高い。弱点が少ないうえ無効の多い複合タイプにくわえて高い素早さと特攻により、SV OU評議会はシリーズ史上もっとも“壊れた”ポケモンの1体(one of the most broken presences)と評している。

National Dex OU評議会では上記のポケモンに続いて、トドロクツキとイルカマンの禁止も発表されている。トドロクツキはハバタクカミと同様、古代の“パラドックスポケモン”の1体。こちらもボーマンダに似た姿ながら、タイプやステータスは異なっている。タイプはドラゴン・あくとなり、高い攻撃と素早さになかなかのHPと特防を兼ね備える。

同評議会がトドロクツキを禁止した理由は、テラスタルとの組み合わせが強力すぎると判断されたためだ。多彩で強力なわざを覚えるため、複数のタイプのテラスタルで運用が可能。対戦相手はどのテラスタルを使うか判断できないわけだ。中でもひこうタイプのテラスタルは強力とされ、ひこうタイプわざアクロバットとの組み合わせが凶悪だと指摘されている。

アクロバットは、ポケモンがもちものを持たない際に威力が55から110に倍増するわざだ。そして、トドロクツキは古代のパラドックスポケモンの固有特性こだいかっせいを有している。こだいかっせいは、天候が晴れのとき、または持たせたブーストエナジーを消費した際に一番高い能力を上昇させる特性である。ブーストエナジーの消費と能力上昇が、アクロバットとの強力なコンボになるわけだ。


禁止ポケモンの最後となるのは、イルカマン。ナミイルカの進化形となる、みずタイプポケモン。手持ちに戻ると「マイティフォルム」に変化する独自の特性をもつ。マイティフォルムではステータスも変化し、なかなかの素早さと絶大な攻撃力を有している。さらにみずタイプわざクイックターンにて、相手を攻撃しつつ手持ちに戻ることが可能。また威力60のみずタイプ先制わざであるジェットパンチも習得する。高い火力を備えながら、器用な立ち回りもできるわけだ。

イルカマンがNational Dex OU評議会にて禁止ポケモンに認定された理由も、きわめて高い攻撃力と先制わざによる対処の難しさだ。攻撃力が1.5倍となるアイテムこだわりハチマキを持たせたり、天候を雨にしてみずタイプわざを強化したりといった火力の底上げも可能。さらにイルカマンは、ちょうはつやビルドアップといったわざを習得するため、攻撃一辺倒というわけでもない。イルカマンが同評議会で禁止ポケモンとされたのは、そうした点からも対策が難しいとの判断からだ。

今回両OU評議会が“禁止ポケモン”として発表したのは、タイプや火力・素早さの優秀さや、現状での専用わざなど、さまざまな特長をもつポケモンたちだ。また新システムであるテラスタルとの組み合わせで凶悪さを増したポケモンたちがリストアップされた点も興味深い。一方で、今回の禁止ポケモンはあくまでSmogonコミュニティ内でのローカルルールだ。公式のオンライン対戦や大会において禁止されたわけではない点には留意されたい。とはいえ、現時点でどのポケモンが強いかを判別する点では、興味深い裁定といえる。こうしたポケモンについては、対策が練られていくことも予想される。

発売後約1週間となる本作。本編ややり込みを終え、対人戦に足を踏み入れているユーザーもいることだろう。実際の対戦環境でSmogonが禁止したポケモンたちが猛威を振るうのかにも注目していきたい。なお本作では2023年春より、「Pokémon HOME」と連携予定であると告知されている。対戦環境は目まぐるしく変わっていくことだろう。

【UPDATE 2022/11/25 14:33】
トドロクツキのタイプについて修正

【UPDATE2 2022/11/25 17:08】
クイックターンについての記述を修正

【UPDATE3 2022/11/25 23:53】
OverUsed階級におけるSV OUルールとNational Dex OUルールについて明確化

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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