『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』にて“ゴーストを交換してくれるNPC”が注目を集めている。一件なんの変哲もないポケモン交換が歓迎される背景には、シリーズ過去作品における「ゴースト交換」と「もちもの」にまつわる一幕があったようだ 。ポケモンに余計なもちものを持たせない、“誠実”なNPCだ。
『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(以下、スカーレット・バイオレット)は、『ポケットモンスター』シリーズの最新作。ゲームフリークが開発を手がける。本作の最大の特徴は、オープンワールドを舞台に、境目なくシームレスに広がる街や大自然が楽しめること。舞台となるパルデア地方の広大なフィールドで、新たな冒険が繰り広げられる。また本作には新ポケモンのほか、過去のシリーズにおけるポケモンも多数登場。シリーズファンは未知のポケモンを発見する驚きに加えて、お馴染みの顔ぶれへの懐かしさも味わえるだろう。
そんな本作には初代から登場してきたゴース・ゴースト・ゲンガーも登場。彼らにまつわる、とあるNPCとのポケモン交換イベントがユーザーの注目を集めている。そのNPCはパルデア地方有数の都市であるハッコウシティに存在。ゲーム内で人気動画配信者とされるナンジャモがジムリーダーを務める街だ。ハッコウシティの中心部、海上に建てられたモンスターボール状の回廊の南部に、そのNPCは佇んでいる。
該当NPCはサングラスをかけており、こちらを見かけるや否や「バチンウニ~」と呼びかけてくる。話しかけてみると、バチンウニとゴーストを交換してほしいという。バチンウニを所持していれば、そのまま交換が可能。ここで着目したいのは、ゴーストの進化条件がほかの人とのポケモン交換である点だ。このNPCとの交換でも、ゴーストはゲンガーに進化してくれるのだ。
これは一見、何の変哲もないNPCとのポケモン交換イベントだ。しかし、本イベントを紹介した海外ニュースアカウントのTwitter投稿は、約6万5000いいねと約4000RTを記録。なぜこのイベントが注目を集めているのか。その理由は『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』(以下、ダイヤモンド・パール)にあると見られる。
『ダイヤモンド・パール』でも、ゴーストの交換イベントが用意されていた。キッサキシティにて、チャーレムとゴーストを交換してくれるNPCが存在。チャーレムを用意して交換すれば、進化条件達成により誰かと通信交換することなくゲンガーを入手できる……かと思いきや、手元に届いたゴーストは進化しない結果となっていた。なぜなら同作でのNPC交換ゴーストは、かわらずのいし(英語名・Everstone)を持たされていたのだ。
かわらずのいしとは、ポケモンに持たせることで、そのポケモンの進化を防ぐことができるアイテムだ。早めに技を覚えさせたい場合などに、あえて進化を止めておくことができる。進化時にはBボタンでの進化キャンセルも可能ながら、かわらずのいしを持たせれば、レベルアップなどの進化条件を満たすたびにキャンセルする手間を省けるわけだ。それを保持したゴーストのポケモン交換によるゲンガーへの進化も、必然的に抑制されてしまう。
なお、『ポケットモンスター 青』では、NPCとのポケモン交換で、交換後に進化するかたちでゲンガーをもらうことができた。また、進化条件を知っているプレイヤーなら、ゴーストを交換すると言われればゲンガーに進化すると期待するはずである。『ダイヤモンド・パール』においての「かわらずのいし持ちゴースト」は、そんなプレイヤーの期待の裏をかくような存在だったわけだ。このNPCはリメイク版である『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』でも健在。オリジナル版・リメイク版にわたって、プレイヤーたちにほろ苦い思い出を植え付けていた 。
本作『スカーレット・バイオレット』にて用意された、「ちゃんとゲンガーに進化する」ゴーストとの交換は、“キッサキシティのトラウマ”を払しょくしてくれるイベントとなったわけだ。数多くのユーザーが注目したのは、過去作のやや意地悪なイベントとの対比からだろう。
以上のように、本作ではバチンウニを用意してハッコウシティに行けばゲンガーをゲットできる。独力でゲンガーが欲しい人は“誠実”なNPCに会いに行こう。なおNPCが求めるバチンウニが見つからない人は、“ウニ”という名前を踏まえて探してみるといいだろう。
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