Steamにて『Postal III』が販売停止に。シリーズ“本家開発元”が口汚くお祝い
デベロッパーのRunning With Scissors(以下、RWS)は11月21日、『Postal III』のSteam版が販売取り下げとなったことについて報告。その理由をDRM(デジタル著作権管理)、いわゆるコピーガードの問題であると伝えた。しかし『Postal III』の特殊な背景ゆえか、同スタジオは販売取り下げに喜びをあらわにしている。
『Postal III』は2011年に発売された、残虐アクションゲームシリーズ『Postal』の第3作だ。『Postal』シリーズは、初作『Postal』および『POSTAL 2』そして『POSTAL 4: No Regrets』を、アメリカを拠点とするRWSが手がけている。本作の生みの親であり、本家開発スタジオといえる存在だ。スピンオフ作品としては、別スタジオが開発する『POSTAL: Brain Damaged』が今年6月にリリースされ、Steamにて大好評を博している。初期作品については、残虐表現が問題とされ、各地域での発売禁止処分などの騒動もあった。一方で、下劣なユーモアや過激な内容はゲームファンの心も掴み、ややカルト的な根強い人気をもつシリーズだ。
そして、同シリーズ作品のなかでも『Postal III』だけが、立ち位置が特殊なのである。率直にいえば、ファンやRWSから冷遇されている。まず、同作はナンバリング作品でありつつ、RWSは開発の一部のみに関わったとされる。同作はロシアを拠点とするパブリッシャーのAkellaと、関連企業のTrashmastersがメインとなり開発された作品となる。RWSはゲーム全体のデザインや監修などを担当したようだ。
しかし『Postal III』には、発売直後からユーザーより不具合に対する指摘を中心とした不評が寄せられた。本稿執筆現在、同作はSteamユーザーレビューでは約2150件中62%が不評を投じる「やや不評」ステータス。Metacriticでも、メタスコア24点(100点満点中)ユーザースコア3.2点(10点満点中)という酷評ぶりである。そして当のRWSも、後に自社ストアから『Postal III』を取り下げるなど同作を冷遇していた。『Postal III』は、多くのファンからも、RWSからも“あれは『Postal』ではない”とばかりに扱われているわけだ。
前述のRWSのツイートによれば、今回の『Postal III』販売取り下げの原因のひとつは、DRMの問題だという。また同作は、DRMソフトAce Controlの不具合により、そもそも購入してもプレイ不可能な状態のままSteamで販売されていた様子だ。また、RWSは「Steamページの管理権をもっていなかった」とも伝えている。『Postal III』はシリーズの名を関したまま、RWSのコントロールできない状態でSteamに存在していたのだろう。なお、同社の口ぶりからすると、今回の販売取り下げはSteam運営元Valve側による措置と見られる。
また、RWSは「『Postal III』ゲーム自体の全体的なクソさ」を取り下げの原因のひとつとしているほか、「みんながあんなゴミを買わずに済む!」と口汚くコメント。さらには「『Postal III』の死を祝おう」としてDiscordサーバーイベントを実施するほどだ。RWS自体が破天荒なゲームデベロッパーである点を加味しても、同スタジオの『Postal III』への憎しみが伝わってくる。自社看板シリーズの名を冠した作品が、メンテナンスもされないまま放置されている状況への、苦々しい思いもあっただろう。
『Postal III』は現在Steamにて販売取り下げ中。再開の目処はなく、一抹の残念さもある。一方でRWSからは、シリーズナンバリング最新作『POSTAL 4: No Regrets』が発売中だ。また、スピンオフ作品『POSTAL: Brain Damaged』もSteamにて好評販売中だ。