Oculusの生みの親、“SAO事件”記念して「ゲームで死ぬと現実でも死ぬ」VRヘッドセット作る。3本の頭爆破モジュールで

Image Credit: Palmer Luckey
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Palmer Luckey氏は現地時間11月6日、一風変わったVRデバイス「OQPNVG」を作成したことを明かした。人気小説およびアニメ作品に触発された、「ゲームで死ぬと現実でも死ぬ」VRデバイスだという。

Luckey氏は、Oculus VRの共同創設者兼Oculus Riftのデザイナーである。Oculus といえば、Meta(旧Facebook)が展開するVR機器、Metaシリーズの前身にもなっている。同氏はOculus VRの立ち上げ後、Oculus RiftのKickstarterキャンペーンを開始。そうした経緯を経て世に出ることとなったVRヘッドセットは、世界的に話題となりVRの普及を押し広げる端緒ともなった。なおOculus VRは2014年に当時のFacebookに買収。現在はOculusと名を変え、Metaの子会社であるFacebook TechnologiesのVR部門となっている。Luckey氏については同社を離れ、別会社Andruril Industriesを立ち上げている。

*Oculus Rift


そんなLuckey氏は、現地時間11月6日に自身のブログにて、「ゲームで死ぬと現実でも死ぬ」VRデバイスOQPNVGを作成したと伝えている。まず同氏は、2022年11月6日が「SAO Incident(SAO事件)」が起きた日であると紹介。SAO事件とは、小説およびアニメで知られる「ソードアート・オンライン」における、架空の事件だ。

同作中では2022年11月6日、VR・MMORPG「ソードアート・オンライン」が正式サービスを開始。ゲーム内で死亡すると現実の肉体も死亡する、いわゆるデスゲームの開幕が宣言された。これが、SAO事件と作中で呼称されているのである。そしてLuckey氏はSAO事件の当日に、同作にちなんだ殺人VRデバイスを作成したわけだ。

Luckey氏はブログ内でまず、「ソードアート・オンライン」における殺人VRデバイスであるナーヴギア(NerveGear)の仕組みについて言及。作中のVRデバイスには、装着者を死に至らしめるほどの出力を備えたマイクロ波発生装置が搭載されている。同氏いわく、そうしたナーヴギアの機構を巨大な機器を付けずに完全再現するためには、途方もない年月がかかるという。現代の技術では、きわめて再現が難しいということだろう。

それでもナーヴギアの殺人機構をコンパクトに再現すべくLuckey氏が編み出したのは、3本の爆薬モジュールを使用するという手法だ。特定の周波数の光で画面が赤く点滅すると、狭帯域光センサーがそれを検出。爆薬がさく裂し、ユーザーの脳が即座に破壊されるとのこと。

ただ、Luckey氏はこのシステムを完璧だとは考えていないそうだ。本家ナーヴギアが備えているような、「ヘッドセットの取り外し」「殺人機能の無効化」などの“不正”を防止するための機能の搭載も検討されているという。しかしそうした機能が実装されたとしても、さまざまな不具合によってユーザーが誤って死亡してしまう可能性はあるという。“ゲームオーバー”については、ナーヴギアのように高度な知性を備えたプログラムによって判断されるべきであると、同氏は確信しているとのことだ。

なおブログ内では、Luckey氏の「ソードアート・オンライン」への思い入れも語られている。同氏は、Oculus RiftのKickstarter開始日がアニメ版「ソードアート・オンライン」第一期の放送と重なっていた点に言及。特に日本では、Oculusに対しての「オタクたちの大規模な熱狂(massive otaku enthusiasm)」を呼び起こしたとのこと。そして日本はすぐさま、Oculusにとって世界で2番目に大きな市場になったそうだ。一方で「ソードアート・オンライン」に対してもOculusは恩恵をもたらしたと同氏は考えており、Oculus Riftの登場が同作の現実味を強めていたとの見解が述べられている。

そしてLuckey氏は、「ソードアート・オンライン」の原作者である川原礫氏とも交流があるそうだ。ある年のAnime Expoでは、川原氏に対して個人的に、Oculus Riftの試作機であるDK2を披露することもあったという。「ソードアート・オンライン」に対してはブログの投稿として語れるようなエピソードが数十個もあるそうで、Luckey氏の同作への思い入れがうかがえる。

*川原氏がLuckey夫妻に贈った絵


Luckey氏が突如“SAO事件”の日に殺人VRデバイスを製作した背景には、そうした「ソードアート・オンライン」への思い入れもあるのだろう。なお同氏はOQPNVGについて、オフィスを飾るアートにすぎないと述べている。ひとまず“実用”する予定はないようなので、安心されたい。

なおLuckey氏はOQPNVGを、ユーザーを殺せるVRデバイスの再現としては、自身の知る限り初の例だとしている。一方で同氏はブログの最後に、「It won’t be the last(最後にはならないだろう)」とコメントを残している。この発言が本気か冗談かは定かではないものの、近い未来に、あるいは遠い未来でもナーヴギアのようなVRデバイスが現れないことを祈るばかりだ。

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