国内のゲーム開発会社ポケットペアは11月4日、『AIアートインポスター』を早期アクセス配信開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)/iOS/Android。リリース間もない本作にて、本作の根幹をなすAIが「えっちな画像」を生成してしまう不具合が発生。現在は緩和されているものの、開発元が悲鳴をあげる一幕があった。
『AIアートインポスター』は、AIにイラストを描かせて仲間外れを探す、お絵描きパーティーゲームである。本作の世界では、AIで絵を描くアーティストたちが、展示会に向けて共通のテーマに沿ったイラストを準備していた。しかし参加アーティストたちの中には、1人テーマを知らないアーティストが紛れ込んでいる。本作でプレイヤーは、展示会の参加アーティストの1人としてゲームに参加。ほかのアーティストたちが描いたイラストを見て、偽物のアーティスト(インポスター)を探し出すことになる。
実際の大まかなマッチの流れとしては、開始時にまずお題が決定。偽物であるインポスターを除く、3人のアーティストだけに通知される。アーティストたちはインポスターをあぶり出すため、お題に沿ったアートをAIに言葉で発注。インポスターはお題を推測しつつ、アーティストのふりをする。プレイヤーたちはそれぞれ2枚のアートを提示。その後、投票にてインポスターを指名できればアーティスト側の勝ち。ただし、インポスターを指名しそこねたり、指名に成功したりしてもインポスターがお題を推察して的中させれば、インポスター側の逆転勝利となる。
そうしたルールのため、アーティスト側においては、お題を知っている仲間にだけ伝わるような、絶妙な画像の生成が勝利の鍵となるわけだ。しかし、そんな重要な画像生成にまつわる問題が、本作にて先日より発生していた。開発元によれば、AIが「えっちな画像」をやたらと生成してしまうようになったという。
本作でプレイヤーは、AIに言葉でアートを発注。AIが複数枚提示してくれる結果から、ひとつを選んでほかのプレイヤーに見せることになる。ただし、AIは時折処理に時間がかかったり、はたまたNSFW(職場閲覧注意)な性的な画像を生成してしまったりすることもある。そうした画像については、プレイヤーに提示される段階でモザイクがかかり、本作キャラが「これは見せられない」とばかりに身を挺して隠してくれる。ただし、プレイヤーがそのモザイクの向こう側を見ることはかなわず、本当に「えっちな画像」が潜んでいるかは未知数。ゲームかAI側がなんらかの基準で「性的である」と判定した画像が、NSFW判定となるのだろう。
そして開発元のTwitter投稿によれば、本作では一時「すべての画像がえっちな画像として生成するバグ」が発生していたとのこと。その直前には「サーバー負荷の急激な増加により、うっかりNSFW画像が生成される頻度が高くなっている」とも伝えられている。また同開発元は、一時1500枚を超える画像が生成待ちとなり、計算のためのGPUが足りず、クラウドのGPU資源も枯渇したと悲鳴をあげていた。熱にうかされたAIが実際に「えっちな画像」を量産し始めたのか、それとも不具合で画像がNSFW扱いになってしまったのかは不透明だ。しかし仕組みはどうあれ、この不具合が本作に与える影響は大きい。
『AIアートインポスター』は生成した絵を見せあい、その内容を吟味し推理することで成り立つゲームだ。そのため、モザイクにすべてが覆い隠されてしまっては勝負にならない。実際に「画像が全部NSFWになった」とするユーザー報告なども投稿されているほか、Steamユーザーレビューでは「生成画像がすべて18禁になる」とする不評意見も寄せられている。AIの暴走は本作にとって死活問題なわけだ。
ただし、筆者が本日午前中にゲーム内で確認したところ、少なくとも同時間帯において「全部18禁状態」は改善ないし緩和されていたようだった。マッチは問題なく楽しめたものの、「膨らむ玉」などのキーワードでAIに発注した場合、NSFW画像の生成が目立った。しかし、これはワードチョイスや仕様の範疇かもしれない。
本作は11月4日に配信されたばかりであり、早々にトラブルに見舞われることとなった。AIによる画像生成を盛り込んだ作品ということもあり、計算資源の問題など、今後も開発元が取り組む要素は多いことだろう。本作は早期アクセス配信中でもあり、今後の改善が期待される。
『AIアートインポスター』はPC(Steam)向けに、税込520円で早期アクセス配信中。iOS/Android版は現在招待制となっており、基本プレイ料金は無料となっている。