『スプラトゥーン』シリーズの架空文字の解読がじわじわ進む。読めそうで読めない、でもちょっと読めるようになったイカ文字

『スプラトゥーン』シリーズには、あちこちに本作独自の文字が登場する。プレイヤーたちの長きにわたる解読作業が続けられているようだ。

『スプラトゥーン』シリーズには、あちこちに本作独自の文字が登場する。一部のプレイヤーの間では、これらの架空文字を解読しようとする試みが進められているようだ。海外ゲームメディアPolygonが、プレイヤーたちの長きにわたる解読作業の様子を伝えている。それによると解読作業の結果、いくつかの情報が明らかになったという。


『スプラトゥーン3』には、ステージやアイテム、キャラクターの服などいたるところに架空の文字表現が使われている。これら作中に登場する文字は「イカ文字」と呼ばれており、『スプラトゥーン』発売当初より散発的に解読が進められていた。『スプラトゥーン2』が発売された2017年ごろから解読結果の共有が活発になり、シリーズの海外WikiサイトInkipediaには、イカ文字とアルファベットとの対応を示した対応表が掲載されている。作中に登場する複数のフォントのそれぞれに対応表が作られていたりと、有志の研究がここに集められているかたちだ。

こちらはそのまま読める例。「ON AIR」と書かれたスタジオランプ


なお、こうした解読作業は「そのままでは読めない」イカ文字に対して進められている。ゲーム内には、見たままのアルファベットとして読める表記も登場するためだ。このような使用例はフォントこそイカ文字と共通だが、「Mimicked(まねた)」使用例として扱われている。もうひとつの例外は、日本語の漢字・かなを原型に作られた文字だ。これらはアルファベットのように一文字ずつ対応したかたちではなく、個別のグラフィックとしてゲーム内に用意されているとみられる。これら「なんとなく読める字」を除外した上で、読めない文字を読めるようにする解読作業が進められてきた。

日本語が原型になっている例。はっきり「いか」と読める


解読作業の結果、ゲーム内の多くのイカ文字が文章としての意味を成していないことも明らかになってきた。先述の通り、そのままで読めてしまうイカ文字の使用例も存在する。これらの結果をふまえると、『スプラトゥーン』シリーズのイカ文字は言語として成立しているのではなく、あくまでゲームのビジュアル的なテーマのひとつとしてデザインされた文字と考えるのが適切だろう。

左は「ahgfb edghs」右は「NHJXKO」となり、意味をなさない


しかし、解読作業によってちょっとした事実が発覚したケースも存在する。『スプラトゥーン2』に登場するフク屋「フエール・ボン・クレー」。店主のビゼンは、曜日ごとに服を着替えるというイカしたクラゲだ。Twitterのカイ氏は、ビゼンが火曜日に着ているTシャツのイカ文字が「FUCK YOU」と読めることを指摘した。健全なゲームに突然現れたFワードは意外性があったようで、該当のツイートは記事執筆時点で2.4万いいねを獲得している。さらにビゼンがこのシャツを着る毎週火曜日には、フク屋のスクリーンショットに「FUCK YOU TUESDAY」というフレーズを添えてツイートするアカウントまで現れた次第だ。このアカウントは今年2022年4月の開設以降、毎週火曜日に同様の内容を投稿している。この投稿は最新作『スプラトゥーン3』が発売された現在もなお続いている次第だ。


また、解読によって世界観が補完されたケースもあるようだ。『スプラトゥーン2』のヒーローモードでは、世界観を知る手がかりとなるアーカイブアイテム「ミステリーファイル」が入手できる。ミステリーファイルNo.24「戦略タコツボ兵器に関する論文」には、「タコ足を移植することで思うままに兵器を操る」との記述があった。画面左上の「タコ足の移植元」はその見た目からDJタコワサ将軍だと考えられていたが、解読の結果、実際に「DJ OCTAVIO」との記述があることが判明した。彼のタコ足をクローンして機械を融合させることで、強力な戦略タコツボ兵器が作られていたというのだ。


最新作『スプラトゥーン3』についても、発売直後よりこうした解読作業が進められている。中でもヒーローモードには、ミステリーファイルも含め多数の新しいイカ文字使用例が見つかった。国内ゲームメディアGame*Sparkは、これらヒーローモードに登場するイカ文字の解読に自力で挑戦する様子を掲載している。しかしこちらも解読不能な使用例が見つかるなど、苦戦しているようだ。

先述の通り、作中の架空文字の多くはデタラメな文章になっている。あくまでも世界観を演出するために、このような架空文字がゲーム内に配置されていると考えたほうが自然だろう。それでもなお、「解読できるものは解読したい」というユーザーの熱意によって、少しずつ解読が進んでいる。プレイヤーの飽くなき興味が、新たな事実を発見する日も近いかもしれない。

Aya Furukawa
Aya Furukawa

主にニュースを担当。ビジュアルや世界観にこだわりのあるゲームが好きです。

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