テスラ、車載ゲームを求める際に「宣伝になるから報酬はなしで」と開発者に打診していた。無償要求

Tesla車の搭載ゲームとしての採用にあたり、Teslaから「露出(知名度向上)を加味して、無償で移植してほしい」との旨の打診を受けたとの報告が、ゲーム開発側よりあがっている。

米国のTesla(テスラ)が手がける電気自動車では、車載ゲームのプレイが可能だ。その車載ゲームとしての採用にあたり、Teslaから「露出(知名度向上)を加味して、無償で移植してほしい」との旨の打診を受けたとの報告が、ゲーム開発側よりあがっている。


米国のTesla(テスラ)は、電気自動車やクリーンエネルギー関連事業を手がける大手企業だ。CEOであるイーロン・マスク氏が顔役となり、Model Sなどの電気自動車を展開。Tesla車の搭載コンピューターでは、ゲームのプレイも可能となっている。提供タイトルとしてはテーブルゲームなどのほか、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』や『Stardew Valley』といった人気作品が存在。新型Model Sでは“PS5級”のゲーム処理能力により、『Cyberpunk 2077』が動作可能とされている。インディー作品やAAA級タイトルなど、幅広い作品をカバーしていく方針となっているわけだ。

しかし、そうした車載ゲームの採用にあたり、Teslaから「無償での移植を提案された」とする報告がなされた。伝えたのは、『Her Story』や『IMMORTALITY』などのゲームを手がけるSam Barlow氏だ。Barlow氏は10月31日、自身のTwitterアカウントにて、Teslaから『Her Story』の車載ゲーム化について打診を受けたことがあると明かした。Barlow氏は移植にあたり、その作業費用およびライセンス料などの対価について尋ねたという。するとTesla側は「車載化で得られる露出(exposure)を考えて、無償ではどうか」との旨を提案したそうだ。つまり、Tesla車に搭載されることで宣伝になり知名度が高まるのだから、それを対価にしてはどうかとの提案だろう。

さらに、別の業界関係者からも証言が出た。ゲームパブリッシャーであるPanicのCabel Sasser氏だ。同氏は『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!』に関して、同様の打診をTeslaから受けたとの旨を簡潔なツイートで伝えている。いずれも個人による証言であり、実際Teslaからどのような内容のオファーがあったのかは不明。しかし、名のある関係者らが「Teslaから、知名度向上を対価として移植を求めるような提案があった」と語っているわけだ。

そうした一連の証言を受けて、SNS上にはTeslaの打診内容を問題視する意見が多く寄せられている。「ゲーム移植の対価は“露出(知名度向上)”ではなく金銭で支払われるべき」との論調が中心のようだ。同種の提案については、国内でもクリエイターなどによる証言が時折見られる。PC Gamerなどの海外メディアも本件を報道。いずれもTeslaに批判的な姿勢を示している。

宣伝効果を報酬に代えるという打診そのものが、一種の詭弁といえる。また、すでに十分な知名度を誇る『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』などに対して、Teslaがどのようなオファーをしたかも気になる点だ。一方で、イーロン・マスク氏は今年7月にはTesla車にSteamを統合していく方針を明かしている。こちらがもし実現すれば、『Her Story』も『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!』もTesla車にて遊べることになるだろう。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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