『スプラトゥーン3』代行業者の存在が続々と確認される。サーモンランだけじゃない、ゲーム内経済で儲ける“取引の場”

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スプラトゥーン3』のプレイ代行によってリアルマネーを得る業者や、そうした代行業の取引の場となっているサイトが確認されており、先週よりプレイヤーなどから問題視されているようだ。

そうした話題の発端となったのは、とあるTwitterユーザー投稿だ。投稿に映るスクリーンショットによると、『スプラトゥーン3』のサーモンラン代行をする業者がいるようだ。代行で業者が何をするのかというと、サーモンランのレーティング上げだ。たとえばたつじん+3までは10レート50円。でんせつからは10レート100円と、難易度によって値段が変化する。アカウントを借りてプレイヤー本人のかわりにレート上げをすることで、お金をもらおうという業者なのだ。


蔓延する代行/アカウント売買

『スプラトゥーン3』では、やりこみに応じてさまざまなリワードが用意されている。サーモンランについても、プレイ回数やレートに応じてバッジやネームプレートなどさまざまな報酬がもらえる。サーモンラン代行の利用者は、こうしたリワードがほしいのか、あるいは単にレートを上げて自慢したいのか。実力がレートに見合っていなければレートは維持できないとはいえ、代行には需要があるようだ。上述の募集については、応募するユーザーも確認されている。

こうした取引の場のひとつとなっているのは、ゲームトレードというサイトだ。同サイトは、「国内最大級のゲームアカウントデータ・RMTの売買サイト」を謳っている。そしてサーモンランだけでなくバンカラマッチからナワバトラーのレート上げ、さらにギア集めまで、多岐にわたるゲームプレイを代行すると呼びかける業者がいる。アカウントを貸しamiiboをかわりに読み込んでもらうamiibo代行なるビジネスも。さらにはそうした業者のもとに依頼が寄せられている(ように見える)のである。同作においては、ネームプレートや二つ名など含め他プレイヤーに見せられるコスメアイテムも多いことから、アイテム価値の高さが業者へと依頼を呼び込んでいる可能性はありそうだ。

ゲームトレードより


ちなみに弊誌はゲームトレードで代行依頼投稿をしているユーザー3名に取材を申し込んだが、返答は得られなかった。そのうち2名は、代行の依頼者側でありつつ、別のゲームのアカウント販売をしていた、すなわち業者側だった痕跡もあった。業者同士が協力するなどして、市場の盛り上がりを演出している可能性もあるかもしれない。

規約抵触のリスク

なお代行行為については、貸与するもしくはされる側が、ニンテンドーアカウントの利用規約に抵触する可能性がある。たとえばニンテンドーアカウントの利用規約の禁止事項には、「他のお客様のニンテンドーアカウントの利用」「当社が意図しない方法で、ニンテンドーアカウントサービスまたはショッピングコンテンツに関連して利益を得ることを目的とする行為(ショップ残高やゲーム内通貨等を現実の法定通貨で売買する行為を含みます。)」と記されている。幅広く解釈できる規約なので、どのように当てはめるかは任天堂の判断次第になりそうだが、アカウント貸与する者もしくはされる者にリスクはありそうだ。

ニンテンドーアカウントの利用規約ページより


さらに懸念すべきは、こうした代行行為が、上述したような売買サイトを営業の場所として堂々と提供されている点だ。今回代行業者が確認されたサイトであるゲームトレードは、大規模なRMTサイト。ユーザー同士のアカウント売買やプレイ代行をする場所を提供し、その手数料によって営利を得ている。たとえばアカウント売買の取引については、取引成立時に出品者から売上の8.8%が手数料としてサイト側に渡る。代行については、一律20%が手数料として、代行者からサイト側に渡るそうだ。また購入者向けには決済システム料として3.3%がかかる。

そもそも規約を破ることが前提のサービス

ゲームトレードでは、多岐にわたるタイトルがRMTの対象となっている。たとえば『モンスターストライク』や『Fate/Grand Order』、『Apex Legends』、そして任天堂タイトルも『あつまれ どうぶつの森』含め多岐にわたりRMT商品売買の対象になっている。ゲームトレードはあくまで売買の場を提供し手数料をとっているだけ、という体裁と見られる。しかしながら、サイト内で扱われている多くのゲームにおいては、アカウント売買やゲーム内コンテンツに関連したリアルマネーの売買行為はなんらかのかたちでゲーム個別の規約違反に該当するだろう。

ゲームトレードより


『モンスターストライク』公式サイトでも『Fate/Grand Order』公式サイトでも、あるいは『Apex Legends』を運営するElectronic Artsのユーザー規約でも、アカウントの譲渡や、リアルマネーでのバーチャル通貨の取引などが禁じられている。ゲームの個別規約に抵触しないケースがあるとしても、上述したようなタイトルを扱っている以上、ゲームトレードは、少なくとも「ユーザーの規約違反を前提として成り立っているサービス」であるといえる。

なおゲームトレードはサイトの利用規約にて、ゲーム個別の利用規約で第三者への譲渡などが禁止されている商品の出品について禁止している。ただ、同サイトを利用することが、利用者に適用される法令やゲーム利用規約などに違反するかどうかの調査は、あくまでも利用者側の義務とされている。ゲームトレード自身はそれぞれのゲームの利用規約に関わらない立場で、「場所を貸し利益を得ている」わけだ。


『スプラトゥーン3』を含めて、昨今では運営型ゲームがますます増えつつある。あわせて、ゲーム内経済が存在するゲームが増えている。経済があればゲーム内マネーやアイテムに価値が生まれる。ゲームトレードを含むRMT関連サイトは、そのゲーム内経済の価値に目をつけたビジネスだろう。『スプラトゥーン3』では現状ゲーム内通貨が手に入りづらい経済状態になっており、そうした状況が、代行やRMTの需要を高めているともいえる。

原因がゲーム内経済に起因しているとはいっても、RMT関連業者を擁護する理由にはなりえない。各ゲーム会社規約にRMT関連の禁止事項が盛り込まれているように、根本的には業者の行為自体に問題がある。取引の場を提供しているゲームトレードについては、安心・安全といった謳い文句を掲げている一方で、サイト内にはゲーム個別の規約に違反するリスクへの言及はほとんど見かけない。取引時に発生するリスクについては、あえて隠していると考えられる。

安心・安全を謳うが、利用者に利用規約を破らせるリスクには触れていない


幅広い層に人気の『スプラトゥーン3』には、低年齢層のユーザーも多いと見られる。ゲームトレードについては、利用規約にて「未成年者の場合は、親権者又は未成年後見人の承諾を得た上で、本サービスをご利用下さい」と書かれている。とはいえ、低年齢のユーザーが規約の内容について理解しないまま、なけなしのお金でこうした代行依頼をするパターンも考えられる。またそうしたケースが起こりうるのは『スプラトゥーン3』に限った話ではない。そもそもとして、前述したようにゲームによってはアカウントを“貸す行為自体”も処分の対象になることもある。お金を払って代行してもらい、そのアカウントが罰されるリスクもある。アカウント売買や代行は、関与しているすべての人物にリスクをもたらす危険な行為なのである。

弊誌は、任天堂にこうした代行行為およびサイトについてどのように認識しているかを問い合わせた。また株式会社ゲームトレードには、ユーザーのゲーム個別規約違反を前提として成り立っていると思わしきサービス形態について懸念はないかを問い合わせた。両社ともに、問い合わせから7営業日経過時点で返答はないが、返答があり次第追記する。



※ The English version of this article is available here

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