ベヨネッタ英語版元声優、「金目的の嘘つき」との指摘に反論。しかし最初の声明とは内容食い違い総ツッコミ受ける

『ベヨネッタ』シリーズの主人公ベヨネッタの英語版声優をかつて務めた俳優のHellena Taylor氏は10月24日、自身のTwitterアカウントを通じて新たな声明を発表した。しかし最初の声明とは内容が食い違っているようだ。

『ベヨネッタ』シリーズの主人公ベヨネッタの英語版声優をかつて務めた俳優のHellena Taylor氏は10月24日、自身のTwitterアカウントを通じて新たな声明を発表した。同氏は先日、新作『ベヨネッタ3』に参加しないことになった背景を説明。そのなかで、新作での報酬について言及し波紋を呼んだ。


まず、これまでの経緯を簡単に振り返っておこう。Hellena Taylor氏は、プラチナゲームズの『ベヨネッタ』『ベヨネッタ2』の主人公ベヨネッタや、彼女の母親ローサの英語版ボイスを担当してきた人物だ。しかし『ベヨネッタ3』では同氏に代わって、俳優のJennifer Hale氏がベヨネッタの英語版声優を担当することとなった。

Taylor氏は10月15日に声明を発表。ベヨネッタの声優を降板した理由について、『ベヨネッタ3』のベヨネッタ役の報酬として4000ドル(約60万円)を提示されたと主張し、侮辱的な金額であったためであると説明した。また同時に、ファンに対して新作のボイコットを呼びかけ大きな注目を集めた。

一方で、その後一部海外メディアが、プラチナゲームズはTaylor氏に対し、報酬総額にして約1万5000ドル(約220万円)ほどを提示していたと報じた。また報道では、Taylor氏が“6ケタ”の報酬と、ゲーム発売後の収益に応じた報酬を要求した結果、プラチナゲームズは新声優を迎える決断をしたと指摘。また、同スタジオはTaylor氏にカメオ出演を代わりに依頼したものの、断られたとも報じられていた(関連記事)。

Hellena Taylor氏の最初の声明のあと、プラチナゲームズやその関係者に対して、出演声優に十分な報酬を提示しなかったとみなしての批判が相次ぐこととなった。そして上述した報道が出たあとには、逆にTaylor氏に対する批判的な声が上がることに。今回Taylor氏は、自身が“金目的の嘘つき”呼ばわりされているとし、自身と業界内での評価を守る必要があるとして新たな声明を出した。

声明のなかでTaylor氏は、『ベヨネッタ3』のベヨネッタ役の報酬として提示された金額の詳細を明かした。それによると、最初は総額で1万ドル(約150万円・ゲームの収益に応じた報酬は含まず)が提示されたという。同氏は、『ベヨネッタ』シリーズが4億5000万ドル規模の収益を上げていることを考えれば、その金額では低すぎると考え、本作のエグゼクティブディレクターを務める神谷英樹氏に、自身の“価値”について尋ねたそうだ。すると、さらに5万ドル増額されることになったという(記載されたカンマの位置から、5000ドルとするところを誤記載した可能性もある)。

最終的に、合わせて6万ドル(約900万円)の報酬が提示され(上述した誤記載であれば1万5000ドル・約225万円)、結果としてTaylor氏はオファーを断ったとのこと。その後しばらくして、プラチナゲームズは同氏に、4000ドル(約60万円)の報酬でいくつかのセリフを収録するオファーを出したそうだ。このオファーへの返答については述べられていないが、同氏は『ベヨネッタ3』には参加しないとしていることから、おそらくこちらも断ったのだろう。
【UPDATE 2022/10/24 17:47】
増額されたオファーの5万ドルが誤記載である可能性を追記

また同氏は、一部報道で伝えられた内容について捏造であると否定。今回プラチナゲームズに対しては、自身が作品にもたらす価値や生活費を考慮した、フェアな報酬金額を求めただけであるとした。

今回の声明では、Taylor氏が提示されたという報酬金額の詳細が明らかになったものの、同氏の最初の声明からはかなり印象の異なる話になっている。最初の声明で同氏は、『ベヨネッタ3』全体に携わる報酬として4000ドルを提示されたとだけ述べていた(The final offer to do the whole game, as a buyout, flat rate, was 4,000 US dollars)。

しかし今回の説明では、実際には6万ドル(あるいは1万5000ドル)というはるかに高い金額が提示されていた模様。4000ドルへの言及部分から察するに、そちらは一度オファーを断ったあとに参加を求められた、小さな仕事についてのことだったのかもしれないが、同氏の最初の説明からそのように受け取ることは困難だ。だからこそ、当初プラチナゲームズなどに批判の声が寄せられることとなったのだろう。

Taylor氏の新たな声明を受けて、ファンのあいだでは不可解な説明に困惑が広がると共に、同氏に対して呆れたとするようなコメントが寄せられている。それでもTaylor氏は、“堕落した強欲な人々”から『ベヨネッタ3』を購入する代わりに、チャリティに寄付をするよう呼びかけ。改めて本作のボイコットを呼びかけた。しかし引用RTなどを見るに、今回のボイコット呼びかけには辛辣な言葉が寄せられている印象だ。

『ベヨネッタ3』は、Nintendo Switch向けに10月28日発売予定だ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

記事本文: 6874