日本語対応が予告されていた『A Plague Tale: Requiem』日本語が削られて発売。不可解な状況に不信感募る【UPDATE】

パブリッシャーのFocus Entertainmentは10月18日、Asobo Studioが手がけたアクション・アドベンチャーゲーム『A Plague Tale: Requiem』を発売した。本作については、日本語字幕に対応すると事前に公式発表されていたものの、実際には対応されていない。

パブリッシャーのFocus Entertainmentは10月18日、Asobo Studioが手がけたアクション・アドベンチャーゲーム『A Plague Tale: Requiem』を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store/GOG.com)/Nintendo Switch/Xbox Series X|Sおよび海外PS5。

本作については、日本語字幕に対応すると事前に公式発表されていたものの、実際には対応されず。これまでのところ販売元からは何の説明もなく、国内ファンから不満の声が上がっているようだ。

『A Plague Tale: Requiem』は、2019年にリリースされたアクション・アドベンチャーゲーム『A Plague Tale: Innocence(プレイグ テイル -イノセンス-)』の続編だ。黒死病が蔓延する1300年代のフランスを舞台にする作品である。主人公のアミシアは、異端審問官に狙われた前作での旅ののち、謎の病に侵されている弟のユーゴと共に、南方の都市での新たな生活を始めていた。しかし、ユーゴの呪いの力がふたたび目覚め、またも逃亡を余儀なくされる。そして、ユーゴを救うカギになるという予言の島を目指す。

Focus Entertainmentは今年9月7日、本作の対応言語を公表。そのなかで、本作は日本語字幕に対応することが明らかにされた。そして同日には、Steamのストアページの対応言語リストに、韓国語・アラビア語と共に日本語が追加。しかし9月13日になって、同ストアページの対応言語リストから、日本語だけが削除されたようだ(SteamDB)。このことについては、特に同社から説明はおこなわれていない。

そして本作は10月18日にローンチを迎えたが、先述したように日本語には対応していない。クラウド版として国内配信されたNintendo Switch版でも、ニンテンドーeショップには「本作は日本語に対応しておりません」との注意書きが記載されている。

ただ、SNS上でのユーザーからの報告によると、少なくともPC版においては、日本語字幕ファイルがゲームデータ内に存在しているようだ。YouTube上には、ゲーム内言語を日本語に設定し、本作を日本語でプレイするゲームプレイ映像も投稿されていた。つまり、本作は日本語ローカライズがすでに完了していたとみられるものの、何らかの理由で省かれたことになる。こうした状況に、SNS上では不満や不信感を述べるユーザーがみられる。

【UPDATE 2022/10/19 15:17】
日本語字幕ファイルに関する記述を修正

Image Credit: MsMinasTirith


実は、前作『A Plague Tale: Innocence』でも似たようなことがあった。前作では、日本語対応があらかじめ公式発表されたわけではなかったが、Steamのストアページの対応言語リストに日本語字幕対応が事前に掲載。しかしその後、日本語がリストから削除され、国内ゲーマーの注目を集めた。

販売元Focus Home Interactive(現Focus Entertainment)の担当者は当時、PC版については発売日(2019年5月14日)から日本語に対応し、コンソール版は後日対応する予定であると案内。ただ、PC版は日本語非対応でリリースされた。担当者は、ローカライズ品質に問題があったことを示唆し、PC版での日本語対応が遅れた理由として説明していた(関連記事)。

結果的に同作のPC版は、発売から約1か月後に日本語字幕が実装された。また、同時発売されたXbox One版は2020年3月になって日本語に対応。この間の2019年11月には、国内パブリッシャーのオーイズミ・アミュージオからPS4向け日本語版がリリースされている。


『A Plague Tale: Requiem』では、事前に日本語対応がアナウンスされ、PC版の予約受付が日本でもおこなわれながら(Xbox Series X|S版も一時期予約を受け付けていた模様)、なぜ日本語が削除されたのか、いまのところ理由ははっきりしない。

あるいは、販売元の事情が絡んでいる可能性も考えられる。過去には、国内パブリッシャーによるコンソール向け日本語版のリリースを待ってから、PC版なども日本語に対応するという例がいくつかあった。現時点では、本作についてそうしたコンソール向けリリースは予定されていないが、今後発表されるのかもしれない。そうした施策の背景にはビジネス上の狙いがあるものと推察されるが、仮に本件がそうだとしても、PCやほかのプラットフォームのユーザーにとっては関係のない話である。すでに日本語ローカライズ作業が完了しているとした場合、予告していた日本語字幕をあえてゲームから削除するという対応は、誠実とはいえないだろう。

弊誌では、こうした本作の日本語対応の状況などについて、販売元Focus Entertainmentに説明を求めているところだ。返答があれば本稿に追記する。

【UPDATE2 2022/10/19 19:30】
『A Plague Tale』公式Twitterアカウントは声明を発表。日本語は今後のアップデートで追加されるという。また、“ローカルパートナー”が日本のPSストアでの販売について発表するとのこと。PS版の販売開始にあわせて、ほかのプラットフォームでも日本語が実装されるようだ。

※ The English version of this article is available here

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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