ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社は10月12日、「NURO 光」に関する調査結果の報告と、今後の取り組みについて発表した。インターネットサービスプロパイダ「NURO 光」について、利用中のユーザーから寄せられていた事象に対して、公式の見解を示した内容を掲載している。
公式ページには「NURO 光 ネットワークに関する調査結果のご報告および今後の取り組みについて」というタイトルのお知らせが掲載。ネットワークの安定性に関する意見を受けて、調査を実施したと説明。その結果、発生事象を確認したこと、そして原因について判明したことを報告した。
発生事象については、限定されたエリアにて帯域がひっ迫している状況を確認したと説明。調査の結果、NURO網内における異常なトラフィックによる帯域の圧迫が判明したとしている。さらにこの事象は、9月20日から28日にかけて集中的に発生しており、その後も10月6日まで断続的に発生していたと報告した。
また、事象が発生した要因についても続けて説明している。要因の調査と対策を進める中で、NURO回線を複数エリアにて多数利用していた特定事業者が管理している端末から、異常なトラフィックが発生していたのだという。その後、特定事業者からの異常トラフィックを停止し、該当期間における本事象について解消済みであることが確認された。今後、同事象の発生を確認した回線については、通信を停止する旨を通知するとしている。
「NURO 光」はかねてより利用者から、回線速度やパケット損失率についてたびたび言及されてきた。通信のあまりの不安定さに、Twitterへのトレンド入りも定期的に起きてしまっている状況だ。また、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、FF14)では、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏が生放送内において、明言は避けているものの「とある日本のプロパイダ」に関して苦言を呈するといった出来事もあった(関連記事)。
ほかにも「NURO 光」では、『FF14』や『Apex Legends』といったオンラインタイトルの大型アップデート時に、「回線が混雑しつながりにくくなるなどの現象が発生する可能性がある」といったお知らせを、定期的におこなっている。一向に改善されない状況に対して、こうした同じ文言による対応は、かえってユーザーの不満が募る結果となってしまっている。
その後も、光回線としての品質に疑問を投げかける声が続出。9月末には「NURO 光」に対して、集団訴訟を検討するというユーザーも現れた。こちらのツイートは執筆時点で3万近くRTされており、多くのユーザーから不満の声が寄せられている。またこうした動きに呼応するように、公式Twitterアカウントの更新も3週間ほど止まっていた。そのほか公式の宣伝文言から一部が消えたことなども報告されていた。「NURO 光」に対する厳しい意見は、日を追うごとに増えている状態だ。
そうした中で公式からの声明が出たわけだ。「NURO 光」ユーザーとしては素直に嬉しい一報といえる。また、お知らせではサービス品質向上に向けた今後の取り組みについて、いくつかの説明がされている。具体的には、利用状況に関するアンケートを実施し、利用者の意見箱を設置すると報告した。アンケート調査は定期的に実施し、初回は10月12日から、ユーザーへ順次案内をおこなうと説明。ユーザーから寄せられた意見や要望に対しては、アンケートフォームを常設し、継続的に改善への取り組みを伝えるとしている。
インターネット回線は住んでいる地域や利用状況によっては、安定しないといったケースもあり得るだろう。しかし不安定な状況というのは、基本的には極めて一時的なものであるはずだ。ピークタイムに高頻度で発生してしまうというのは、オンラインゲームを遊ぶユーザーにとって、ストレスが溜まる原因となることは想像に難くない。
また、今回の声明において回線の異常が確認されたのは、9月末から10月にかけてのことと説明されている。しかし「NURO 光」の回線速度やパケット損失率については、今年に入ってから少しずつ表面化してきた問題だ。今回の調査では、問題のすべてが解決には至らない可能性がある。
しかし寄せられてきたユーザーからの声に対して、公式側が問題意識をもったというのは、問題解決への大きな一歩といえるだろう。今後の取り組みによって、「NURO 光」のユーザーが、一刻も早く安定してインターネット回線を利用できる日が訪れることを、切に願いたい。