レーシングシム『Assetto Corsa』PC版にて、車の代わりに“椅子”で爆走するMod登場。シュールだけど実在競技が元
レーシングシム『Assetto Corsa』PC版に、車両として“椅子”を追加するModが登場し、注目を集めているようだ。本Modは実在競技へのリスペクトを込めて制作されたという。
『Assetto Corsa』は2014年発売のレースシミュレーションゲーム。対応プラットフォームはPC /PS4/Xbox Oneで、開発はイタリアのデベロッパーKunos Simulazioniが手がけている。本作は高度な物理演算などによるリアルなドライビング体験が持ち味とされるタイトルだ。また、Modが比較的容易に導入可能な点もユーザーからの評価点となっている様子。本作はSteamユーザーレビューでは本稿執筆時点で約5万8000件のレビューを集め、「非常に好評」のステータスを獲得している。
そして、本作に向けて制作された一風変わったModが注目を集めているようだ。Modを制作したのは、YouTubeチャンネルtakeyoh’s AssettoCorsa Life。チャンネルにはMod導入時の様子が、動画として投稿されている。
動画はレーサーたちが席についてスタートを待つシーンから始まる。ただしそこに車輪はあれど車はない。なじみ深い、車輪付きのデスクチェアーがずらりと並んでいるのだ。レーサー兼エンジンたちは車両の都合上、みな一様にスタートラインに背を向けて、緊迫した様子でスタートを待っている。そして戦いの火ぶたが切って落とされ、彼らはみな両足をパタパタと忙しなく動かしながら発進。猛スピードでサーキットを駆け抜けていく。
その後も白熱の椅子レースは展開。目にもとまらぬ速さで足をバタつかせ、椅子レーサーたちは猛進を続ける。戦いの行方は明かされなかったものの、青い椅子が優勢だったような印象だ。なおTwitter上では本Modを導入したユーザーが、椅子と車がレースを繰り広げるクリップを投稿。車を追い抜くほどの速度を誇る椅子の登場に、ユーザーたちは大きな注目を寄せているようだ。
動画概要欄によれば本Modおよび動画は、日本発祥の競技「いす-1グランプリ」へのリスペクトを込めて制作されているとのこと。同競技は、2 時間の間に事務いすを使ってコースを何周走れるかを競う耐久レースだ。日本事務いすレース協会(JORA)が主催し、現在では日本国内 20 か所以上で開催されているという。海外SNS・メディアをはじめ、世界が注目する大会とされている。以下の動画では2019年開催の「いす-1グランプリ」の様子が確認できる。
この「いす-1グランプリ」大会は、日本全国各地の商店街などにコースが設けられ、開催されるようである。参加者たちはにこやかに競技をおこなっている一方で、動画内では「いすが壊れるか、己が壊れるか」との煽り文句も。椅子同士が接触して転げることも多々あるようで、競技はなかなか過酷な様子。なお、ヘルメット・手袋・膝パッド・肘パッドを各自で用意して必ず着用することが大会参加条件となっており、安全面での配慮はなされているようだ(いす-1グランプリ公式サイト)。また、最後まであきらめない熱い想いも大会の参加資格とされている。2時間耐久椅子レースの完走には強いメンタルも必要とされるようである。
なお「いす-1グランプリ」のレーサーたちの様子を見るに、『Assetto Corsa』の椅子Modでレーサーたちが進行方向にやや背を向けて椅子を走らせていたのも、実際の「いす-1グランプリ」からの影響なのだろう。車を追い抜く猛スピードは別として、本Modは「いす-1グランプリ」における一般的な椅子レーシングスタイルを忠実に再現していたわけだ。
ちなみに『Assetto Corsa』PC版では椅子のほかにも、さまざまな変わり種Modが存在する。椅子Modの制作者であるtakeyoh氏も、過去には三輪車Modなどを制作している。同氏は今年2022年5月ごろからMod作成などを始めたとのこと。今後もアイデアの続く限り、『Assetto Corsa』のMod制作を続けていくとのことだ。
『Assetto Corsa』はPC/PS4/Xbox One向けに発売中。PC版向けの椅子Modは動画の概要欄にて配布されている。