『スプラトゥーン3』を使った企画「AVスプラ」一部関係者が謝罪。アダルトビデオを流し批判されたユーザー企画
VTuber・息根とめる氏および所属団体の深層組は10月9日、公序良俗に反した10月8日のライブ配信について謝罪した。この謝罪するに至った10月8日の配信はSNSで話題に上がり、「AVスプラ」としてTwitterのトレンドにもなった。AVスプラに言及する多くは批判的な意見であり、その声を受けての謝罪である。
AVスプラとは、『スプラトゥーン3』を使用しておこなわれた企画だ。『スプラトゥーン』シリーズでは、味方と敵チームでそれぞれインクの色が分かれて戦うことになる。そこで配信者たちは、敵チームのインクの色がクロマキーで透過するようにそれぞれ設定し、ゲーム配信のバックグラウンドでアダルトビデオを再生。敵チームにインクを塗られてしまうと、映ってはいけないセンシティブな映像がライブ配信で流れてしまうわけだ。それによって、先に配信プラットフォームからBANされた方が負け、というルールだったようだ。
本企画の立案者は9月末に企画を立ち上げ、VTuber限定で参加者を募り始める。それに息根氏が参加を表明。『スプラトゥーン3』で2チーム分となる8名が揃い、企画が実行されることになる。参加者は、企画立案者と見られる木風公子氏をはじめとして、時雨氏、ひなちゅん氏、竜月くどあ氏、ソフィア・サファイア氏、てりてり坊主氏、RYOTARO氏、そして前出の息根氏だ。アダルトビデオについては、かつてひなちゅん氏が出演したものを採用したという。この企画は刺激的なテーマが話題になり、発案者の時雨氏が配信中にYouTubeのアカウントを削除されたこともあいまって、SNSではトレンド入りすることとなった。
このAVスプラに対し、SNS上では人気ゲームを使った売名行為という批判や、『スプラトゥーン』を用いることへの怒りの声が企画参加者たちへ集まっている。そもそもアダルト映像をYouTube配信にて流すことは、同プラットフォームの規約違反である。さらに、任天堂が定めた配信に関するガイドラインにも反している。規約や法的な問題、さらに倫理的な問題など、さまざまな理由からAVスプラ参加者たちは批判されることとなった。
批判を受けたVTuberの息根氏は10月9日、YouTubeにて「昨夜の配信について」という謝罪放送をライブ配信した。息根氏とする恐竜の着ぐるみを着た人物が、恐らく台本を読み上げるかたちにて謝罪を述べるという内容だ。
映像内では息根氏が、所属する深層組から何が違反行為なのかの説明を受けたこと、厳重注意を受けたことを報告。違反行為を深く反省しているとも語っている。さらに「利用規約違反を軽視し、企画の奇抜さ面白さに安易に飛びついてしまった」と話している。深層組からは、処分は追って通知されると伝えられているそうだ。最後に、関係各所に迷惑をかけたことを謝罪して配信は締められる。実質4分程度の謝罪配信だったが、気ぐるみを着るという絵面と息根氏の語り口からか、チャット欄を見る限り心からの謝罪だと受け止めている視聴者は少ないようだ。
さらに息根氏が所属する団体の深層組は、「ご報告」としてTwitterに本件についての対応を報告。内容は息根氏の説明と相違なく、息根氏に対する処分についても改めて実施すると発表している。ただし、本発表と謝罪配信の直後、息根氏は深層組の企画配信に早くも参加している。処分までは通常どおりに活動するようだ。
息根氏の謝罪では “規約違反にあたる行為”と述べており、誰に向けて謝罪をしているのか判然としない。一方、深層組の謝罪文では“動画プラットフォーム規約違反”と述べている。つまりはYouTubeに対しての謝罪および、この配信内容と話題に不快になった視聴者などへの謝罪ということだろう。一方で、任天堂に対する謝罪は見受けられない。
【UPDATE 2022/10/11 13:00】
任天堂の規約違反言及箇所について、主観的な表現が多くなったため一部削除
ここで任天堂が定めた配信に関するガイドラインとなる、ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドラインを見てみよう。そこには「任天堂は、違法または不適切な投稿や公序良俗に反する投稿、このガイドラインに従わない投稿に対して、法的措置を講じる権利を保持しています」と記載されている。今回の一件に関しては、明らかに公序良俗に反しているものと思われる。任天堂が法的措置を講じる可能性もあるだろう。
任天堂が手がける作品は、幅広いプレイヤーが遊んでいる。その中には当然低年齢層の子供も含まれるだろう。今回の企画には当然、そうしたユーザーが本来見てはいけない、不適切なコンテンツが届く被害リスクもある。過去には、ニンテンドー3DSの無料ソフト『いつの間に交換日記』を悪用した性犯罪事件が起き、任天堂はその対応としていくつかのサービスを停止している(ITmedia NEWS)。今回のような公序良俗に反した一件により、任天堂が配信や動画投稿に新たなレギュレーションを加える可能性もある。そうすれば任天堂を含めた多くの人々が不幸になりうる。
なお、今回の企画に参加した配信者の対応としては、謝罪した者もいればそうでない者もいる。たとえばソフィア・サファイア氏は明確な理由と相手を指して企画参加を謝罪。竜月くどあ氏は「すべての方々に謝罪」した上で、自身のアカウントを削除するとしている。てりてり坊主氏についても、自身のプロフィール欄で謝罪している。一方で、企画立案者と見られる木風公子氏や、時雨氏、ひなちゅん氏らは謝罪表明をしていない。
そもそもひなちゅん氏や木風氏を中心に、参加者はもともとアダルトコンテンツを普段から扱う配信者が多かった。仲間内でしている下品な遊びが、話題性やトレンド入りによって公衆の面前に晒されたことで大きな問題になったという側面もあるかもしれない。いずれにせよ、批判を含めた注目を楽しんでいる素振りを見せる配信者もおり、売名行為にも見える。
その人気の高さから、怪しげな企画に巻き込まれた『スプラトゥーン3』と任天堂。今回の件に限らず、メーカーや配信プラットフォームの規約に違反した配信を見つけた際には、粛々と通報をしてほしい。
【UPDATE2 2022/10/11 15:50】
企画立案者であり主催の木風公子氏が10月11日、Twitterに本企画に関する謝罪文を投稿した。配信プラットフォームおよびゲームガイドラインの規約違反にあたる配信内容について謝罪し、配信が各方面に与える影響について考えが及ばなかったと述べている。また、本件の責任は自身にあるとし、他参加者と関係者への追求を控えてほしいとのことだ。この謝罪文の投稿に合わせて、10月8日の配信に関するツイートもすべて削除したことも報告している。
【UPDATE3 2022/10/11 19:00】
任天堂は10月11日、企業広報・IRに関する情報を知らせるTwitterアカウントで、ネットワークサービスにおけるガイドラインについて再度告知した。 このツイートのツリーでは、公序良俗に反する利用やゲームのルールを誤解させる行為、ゲームやキャラクターの価値や世界を著しく損ねる行為などに、投稿の削除や法的措置を含めた対応をおこなうことがあると、既存のガイドラインを引用して改めて言及している。今回の「AVスプラ」の一件を鑑みての呼びかけかどうかは不明だが、こうした問題に気を揉んでいるのは確かなようだ。
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