Steam Deck公式動画に“Nintendo Switchエミュレーター”が映り込み物議醸す。Valveも思わず該当シーン削除

Valveは10月7日、ゲーミングデバイス「Steam Deck」の先行販売地域において、順番待ちせず同機が購入可能になった旨を発表。あわせて公開された動画内に「Nintendo Switchのエミュレーターアプリ」が映り込み、物議を醸したようだ。

Valveは10月7日、ゲーミングデバイス「Steam Deck」の先行販売地域において、順番待ちせず同機が購入可能になった旨を発表。あわせて周辺機器やSteam Deckソフトウェアアップデートを紹介する動画を公開した。そんななか、動画内に「Nintendo Switchのエミュレーターアプリ」が映り込み、物議を醸したようだ。

Steam Deckは、Valveが開発する携帯型ゲーミングデバイスだ。7インチディスプレイを中央に挟み、左右にスティック、ボタン、トラックパッドなどが配されている。Valveが独自開発したLinuxベースのOS「SteamOS」を標準搭載しており、同社が運営するSteamで配信中の多数PC向けゲームを楽しめるのが魅力だ。


Steam Deckは今年2月26日よりアメリカ、カナダ、EU、イギリス向けに、予約順番待ち(予約キュー)での注文受付および出荷がおこなわれていた。そしてこのたび10月7日、Valveは予約キューへの注文受付を完了したと報告。現在は予約注文数に対しての出荷数が上回り、在庫が確保されているとのこと。これに際してValveは「Steam Deck is available now, without reservation!(Steam Deckは予約なしで注文可能)」とする動画を投稿。しかし、動画内にとあるエミュレーターアプリが映り込み、物議を醸したようだ。現在当初の動画は非公開となり、該当シーンが差し替えられた動画が再投稿されている。

動画では、Steam Deckの通常販売開始に際して発売されたDocking Stationなどについて解説。ソフトウェアアップデートについても解説され、新たなキーボード機能などが紹介。そして問題となったのは1分40秒ごろ、Steam Deckにおけるホーム画面での操作をおさめたシーンであった。

https://twitter.com/Nibellion/status/1578384561037365251

TwitterユーザーのNibel氏は当初の動画のスクリーンショットを投稿し、「実に興味深いゲームアイコンが映し出されている」と指摘している。同氏は英語ユーザーを中心に、ゲーム関連ニュースの紹介で人気の人物だ。同氏によって投稿されたのは、現在非公開となった動画の一幕。Recent Games(最近のゲーム)一覧が映し出されたシーンを収めたスクリーンショットだ。画像からは、Nintendo Switch向けゲーム用エミュレーターである「Yuzu」が映り込んでいたことが確認できる。弊誌でも当初の動画について、同様の内容を確認している。

なお補足として、Steam DeckではデスクトップモードのDiscover(ストア機能などを含むソフトウェア管理アプリ)によって、Linux向けアプリを追加可能。そして、Discoverで追加できるアプリは原則としてValveによる管理提供下にはない。すなわちDiscoverにおける「Yuzu」などのエミュレーターは、Valveの承認のもとで配信されているわけではない点は留意されたい。また、画像左下に表示されているXboxのマークは、Xbox向けコントローラー利用時に表示されるアイコンである。

だからといって今回の映り込みが問題ないわけではないだろう。エミュレーターの利用には、ゲームソフトから「吸い出し」したゲームデータ、いわゆるROMデータが必要となる。オンライン上では、そうしたROMデータの違法配布が常態化。その不正利用にしばしば用いられるのが、ゲーム機のエミュレーターだ。Steam Deckの公式紹介動画において、そうした背景のあるNintendo Switch向けエミュレーターが映り込んだことは見過ごせない。

Nibel氏の投稿には多くのユーザーが反応。「海賊版利用行為を後押しするのか」といったValveへの批判意見を示すユーザーも見られる。ゲーム機のエミュレーションそのものは必ずしも違法とは限らない。しかしその一方で、海賊版利用と切り離せないエミュレーターアプリの映り込みは、Valveにとってあるまじき出来事だったろう。

Steam Deckの新たなニュースを届けるはずの今回の動画。その中の1秒にも満たないほんの一瞬のシーンが、ユーザーの物議を醸したようだ。ユーザーの指摘もあってかValveは当初の動画を非公開にし、該当シーンに調整を施した動画を再投稿。現在該当シーンにおける「Yuzu」は、Valveの手がける一人称パズルゲーム『Portal 2』に差し替えられている。

https://twitter.com/Nibellion/status/1578482101674180609

【UPDATE 2022/10/08 12:21】
該当シーンに関する記述、およびDiscoverに関する記述を修正

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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