『ブルーアーカイブ』海外版が“18禁”と“表現調整版”のダブル展開へ。レーティングに対応するため、表現調整版作成
NEXONは10月4日、基本プレイ無料のモバイル向けRPG『ブルーアーカイブ』について、「ゲームアプリを2バージョンに分ける」と英語ユーザー向けに告知した。本作が開発される韓国のゲームレーティングシステムに対応するためだという。
『ブルーアーカイブ』は、韓国のNEXON Gamesが開発するiOS/Android向けの「学園×青春×物語RPG」だ。国内ではYostarが運営を担当している。本作の舞台となるのは、多数の学園が集まり構成された学園都市「キヴォトス」だ。プレイヤーは、都市を統括する連邦生徒会長の任命により、連邦捜査部「シャーレ」の顧問すなわち“先生”として、キヴォトスに赴任することになる。 しかし、肝心の生徒会長は行方不明。そんななか、プレイヤーは生徒たちと交流を深め、青春あり、バトルありの思い出のページを重ねていく。
そんな本作の魅力のひとつが、上述の生徒たちとの交流だ。プレイヤーは学園間にてトラブルシューターとして奔走し、多くの女子生徒たちと出会っていく。メインストーリーでは、この世界の様相と謎が描かれるほか、生徒たちとの絆を深めれば、キャラ能力の強化とともにショートストーリーも閲覧可能に。そうしたコンテンツなどでは、キャラがかなりあられもない姿で描かれることもある。物語やゲームプレイとあわせて、そうした要素も本作のファンの心を掴む部分となっているだろう。
そんな本作がいわば“大人向け版”と“表現調整版”に分かれることを、本作プロデューサーのキム・ヨンハ氏が明らかにした。NEXONの公式フォーラムにて10月4日、英語によるキム氏の声明が公開されている。同氏によれば、『ブルーアーカイブ』は今年9月、韓国のゲーム審査機関GRAC(Game Rating and Administration Committee/ゲーム物管理委員会)にガイドラインを突きつけられたという。具体的には「ゲーム内アートを調整するか、さもなければ本作のレーティング対象年齢を上昇させることになる」と告げられたのだという。ようするに、前述のような刺激的な表現を回避しなければ、より高い年齢向けと認定せざるを得ないとの指摘だろう。
キム氏によれば、開発陣としてもっとも楽なのは、GRACにいわれるがままに表現を調整することだったという。しかし、開発陣が選んだのは「新たに表現をマイルドにした表現調整版と、レーティングを上げた大人向けのオリジナル版両方を展開する」という道だったようだ。キム氏によれば、こうした決断に至った背景として、本作キャラのアリスにまつわる表現規制騒ぎも理由となったとのこと。そちらのケースでは、アリスがほぼ全裸で描かれるシーンについて、地域によって表現が違うとの指摘がされていた。具体的には、日本および韓国では、(髪の毛で部分的に隠れた)乳房を含む上半身が描写。一方で、グローバル版での同シーンは、アートこそ同じなものの顔のアップとして描写され、体は画面外になる表現となっていたのだ。
キム氏は、こうした表現の変更を重ねてしまうと、本作のプレイヤーたる“先生”たちの体験を損ねる懸念があるとコメント。そのため、潔くレーティング年齢を上げ、そのかわりに表現調整版も展開しようとの決断に至ったようだ。
『ブルーアーカイブ』の開発陣がこうした決断に至った背景には、韓国でのレーティングの厳しさもあるかもしれない。本作はモバイルゲームということで、国内版も海外向けのESRB/IARCといったレーティングでチェックされている。それでいうと本作の国内向けAndroid版はIARCにてレーティングが7+ (7歳以上対象)となっている。そしてアメリカ向けにはNEXONが展開し、こちらはESRBにてTEEN(13歳以上対象)だ。
一方で、韓国向けには本作は現状でGRAC により「15+」レーティングと定められている。そしてこのレーティングの上には「18+」つまり、18歳未満禁止しかない。さらには、GRACのレーティングは法的拘束力をもっている。販売店の裁量などに任せるケースが多い他地域のレーティングとちがい、レーティングを適切に取得しない韓国国内でのゲーム販売や、対象年齢以下への作品の販売には法的罰則が設けられているのだ。こうした背景も、『ブルーアーカイブ』開発陣が作品をダブル展開する決断の裏にあると考えられるだろう。
そうしたわけで、キム氏が「先生たちに本来の体験を届ける」とする現行の『ブルーアーカイブ』は、韓国にて18禁となり、新たに表現調整版が登場する見込みだ。一方で、日本国内含むほかの国々にて、どのような展開となるかは今のところ不透明。とはいえ、キム氏は「今回のダブル展開は、プレイヤーのアカウントにはどのような変化も与えない」と明言している。少なくとも、今までのゲームプレイ進捗に影響があるような変更はなされないということだろう。また、本作がレーティングを気にする必要がなくなったあかつきには、より自由で赤裸々な表現がなされるかもしれない。
『ブルーアーカイブ』は、iOS/Android向けに配信中だ。
【UPDATE 2022/10/6 22:40】
記事公開時に「全年齢」としていた部分を、原文の表現に合わせ「表現調整版」と修正
【UPDATE2 2022/10/6 22:56】
情報を正しく伝えるため、記事タイトルを
『ブルーアーカイブ』海外版が“18禁”と“表現調整版”のダブル展開へ。プロデューサーが「先生たちのため」に決断
から
『ブルーアーカイブ』海外版が“18禁”と“表現調整版”のダブル展開へ。レーティングに対応するため、表現調整版作成
へと変更
【UPDATE3 2022/10/7 0:23】
国内版レーティングについて修正