Steam版『CHAOS;HEAD NOAH』の発売中止を受けて、抗議のオンライン署名活動が始まる。Valveゲイブに“直メ”の呼びかけも
スパイク・チュンソフトは10月3日、Steam版『CHAOS;HEAD NOAH』の発売中止について、国内向けにも発表した。同社は、10月1日に海外向けに発売中止を告知していた。
本作のSteam版は、もともと10月8日に配信予定だったため、わずか1週間前という配信直前のタイミングで発売中止が決定したかたち。その理由として同社は、Steamのガイドライン(規定)の存在を挙げている。その発表を受けて、海外を中心としてValveに対する抗議活動が開始されているようだ。
『CHAOS;HEAD NOAH』は、5pb.(現MAGES.)が手がけたアドベンチャーゲームだ。2008年発売の『CHAOS;HEAD』に新要素を導入し、同社が展開する科学アドベンチャーシリーズの第1弾として、2009年にXbox 360向けに発売。その後多数の機種に移植され、直近では今年2月にNintendo Switch版が国内リリースされている。そして今回発売中止となったSteam版、および海外Nintendo Switch版では、初めて英語対応がおこなわれた。
海外Nintendo Switch版が10月7日発売予定のまま変わらないなか、Steam版のみ発売中止となった。その理由についてスパイク・チュンソフトは、「Steamガイドライン(規定)ではゲームオリジナルの状態で発売することができず、規定に沿って修正した場合には、本作のゲーム性が著しく損なわれることとなるため、最終的に判断したものとなります」と述べている。
本作では、主人公の高校生・西條拓巳が、連続猟奇殺人事件に遭遇する物語が描かれる。美少女キャラがさまざま登場する一方で、凄惨な殺害現場も描写。そのため、Xbox 360版やNintendo Switch版はCERO:Z(18才以上のみ対象)にレーティングされ、ほかのバージョンでは表現内容が一部変更されている。本作は、Steamガイドラインのどの項目に抵触したのかはっきりしないが、そうした残酷描写に子供(高校生)が絡む展開が問題となったのでは、という見方があるようだ(関連記事)。
今回のSteam版発売中止を受けて、科学アドベンチャーシリーズの海外ファンが「Project: Save Chaos;Head」なるオンライン署名キャンペーンをChange.orgにて開始した。署名の送り先にはSteamを運営するValveが指定されており、『CHAOS;HEAD NOAH』をオリジナルの表現のままSteamでリリースできるよう、“Valveの判断を覆させること”が目的とされている。
同キャンペーンでは、アニメスタイルのビジュアルノベルに対するValveの基準が一貫していないことは悪い意味でよく知られており、『CHAOS;HEAD NOAH』はその最新の犠牲者であると主張。同様の表現をもつ作品であっても、ビジュアルノベルは不当に扱われているとも述べている。さらに、本作のNintendo Switch版が北米や欧州にて問題なくレーティングを取得し、ニンテンドーeショップや小売店で発売予定であることにも触れ、Valveがいかに特異な存在であるかも指摘している。
また、オンライン署名と同時並行し、Valve社長のGabe Newell氏に直接嘆願しようという呼びかけもおこなわれている。Newell氏はメールアドレスを公開しており、時折ファンに返信することで知られる。
Steamでは、『CHAOS;HEAD NOAH』と同程度の表現を含む後継作『CHAOS;CHILD』が、2019年にリリース済みである。にもかかわらず、『CHAOS;HEAD NOAH』の発売は叶わなかった。本作だけの特定の表現が問題となった可能性はあるものの、ファンからすると“Valveの基準が一貫していない”と感じるのは無理もないだろう。本稿執筆時点で、上述したオンライン署名には約3000人が賛同している。はたしてValveのガイドラインや判断方針を変えさせることに繋がるだろうか。
なお、スパイク・チュンソフトは今回のSteam版発売中止後の展開として、PC版『CHAOS;HEAD NOAH』をほかのプラットフォームで販売することについて、検討を進めているとのこと。準備が整い次第案内するとしている。
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