『原神』コラボグッズ目当ての“食べ残し”に飲食チェーンが厳重注意。一方で食べ残しを生みかねないビジネス構造も

 

飲食チェーンのスイーツパラダイスは9月30日、公式Twitterアカウント上で、『原神』のコラボグッズ目当ての食べ残しが発生している件について厳重注意した。「コラボご利用のお客様」と名指しした上で「食べきれない量でのご注文はご遠慮下さい」とコメント。「万が一多くの食べ残しがあった場合、特典をご返却いただく場合がございます」とも警告している。


『原神』においては、9月28日よりスイーツパラダイスとのコラボカフェ第三弾「原神×SWEETS PARADISE -櫻舞万雷-」が展開中。稲妻地方をテーマとし、稲妻の世界観やキャラクターイメージに合わせ、作中でおなじみの料理を再現したメニュー・ノベルティ・オリジナルグッズが提供されている。定食やおでん、うどんなどが登場し、稲妻らしいメニューが並んでいる。そのほかグッズやキャンペーンなども揃えられており、10店舗にてコラボカフェが体験できる。しかしながら、このカフェの利用の仕方については一部で問題視されていた。というのも、利用客の食べ残しが指摘されていたのである。

Twitterユーザーのログボー氏は9月28日、スイーツパラダイスの店舗にて大量の食べ残しをするユーザーがいることを報告。証拠写真を投稿しながら指摘していた。またそのテーブル客が“帰った後にくる注文”もあったことや、現場にいる店員も困っていたとも語っていた。ログボー氏はその後の報告でも、同写真はたまたま席を外したタイミングで撮ったものではないとも言及していた。この食べ残し行為がフードロスでありマナーの悪い行為であるとして、SNSで注目されていたわけだ。

https://twitter.com/sumasumagengen/status/1575037735374843904


本件については、スイパラ名古屋スパイラルタワーズ店でおこなわれていたとのこと。同店の店長はJ-CASTの取材に対して、そうしたことがあったことを認識しているとの旨をコメント。またほとんどの客のマナーはいいものの、大量に食べ残す人はたまにいるといい、そうしたことはやめてほしいと言及。また今後チェック体制を強化するとも語られていた。

スイーツパラダイス自体は、頻繁にコラボカフェを開催しているということで、こうしたコラボ展開にはノウハウあり。それゆえに、さまざまなレギュレーションを設定している。たとえば今回の『原神』コラボメニューは、フード・デザートは8品まで、ドリンクは8品までに注文を制限。またグッズ購入についても制限があり、客1名1来店につき1会計のみ。それぞれのグッズについても上限が設定されている。


とはいえ、今回のコラボでは“ガチャ”めいた仕組みも導入されている。というのも、コラボメニュー注文でひとつ手に入るペーパーランチョンマット、コラボフード&デザートメニュー1品注文“ごとに”1枚手に入る等身キャラコースター、コラボドリンクメニューを1品注文“ごとに”1枚手に入るちびキャラコースターは、いずれも複数種あるなかからランダムでの配布となる。ペーパーランチョンマットこそ全2種類であるが、等身キャラコースターは全16種、ちびキャラコースターは全17種となっている。


今回のコラボカフェは実施期間は1か月以上あるものの、数に限りがあるとされており、コースターは種類も多い。お目当てのキャラのものを手に入れるために、食べ物/飲み物をおろそかにし大量に注文する人が出てくるのは想像に易い。こうしたグッズは転売が横行しがち。グッズの入手難易度の高さゆえに、グッズ目当てのメニュー注文が増えやすく、構造として食べ残しが生まれやすいシステムになっているのだ。

“コラボメニューを注文するとランダムで手に入る”仕組みは、スイーツパラダイスの他IPのコラボでも頻繁に導入されている。直近のスイーツパラダイスコラボでは、ほぼすべてに同様のランダム配布グッズが用意されている。また他チェーンにおいても同様のキャンペーンはよく見ることだろう。『原神』コラボやスイーツパラダイスに限った話ではない。今回はユーザーが現場写真を投稿したがゆえに大きな問題として注目が集められただけで、氷山の一角にすぎないのだ。

“ガチャ”的システムは、ゲーム内アイテムやグッズといった個人完結するものならともかく、食べ物が関連すればフードロスという社会問題にもつながってくる。コラボカフェによっては店員に食事を譲ることでロスを防ぐシステムを導入するお店も存在する(コラボカフェまとめ)。再発防止をするにあたっては、個人のモラル向上や店側の対策に加えて、社会全体として食べ物や飲み物の破棄を誘発しかねない商業構造について問題提起していく必要があるだろう。

「原神×SWEETS PARADISE -櫻舞万雷-」は10月31日まで実施中だ。実施店舗については、公式サイトを参照してほしい。


※ The English version of this article is available here


国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)