Google Stadiaサービス終了は、ゲームを出す予定の会社にも知らされていなかった。寝耳に水だと困惑する開発者達

Googleは9月30日、クラウドゲームサービス「Stadia」のサービスを終了すると発表した。一方で今回の発表は、ゲーム開発元や販売元にとって寝耳に水であったようだ。

Googleは9月30日、クラウドゲームサービス「Stadia」のサービスを終了すると発表した。一方で今回の発表は、ゲーム開発元や販売元にとって寝耳に水であったようだ。


Stadiaは、Googleが提供するクラウドゲームサービスだ。サーバー側でゲームを実行し、ユーザーはGoogleのスマホPixelシリーズやchrome OSタブレット、Chromecast Ultraなどでストリーミングゲームプレイが可能。2019年11月に欧米14か国にてローンチし、大手メーカーのタイトルからインディーゲームまで幅広いゲームを提供してきた。

今回の発表にてGoogleはStadiaについて、期待したほど支持が得られなかったことで、サービス終了の決断を下すことに至ったと説明した。今後、加入者は2023年1月18日までゲームをプレイ可能。そして、Google Storeで購入されたすべてのStadia用ハードウェア、および購入されたすべてのゲームおよびアドオンコンテンツについて、ユーザーに払い戻しされるとのこと。2023年1月中旬には、大半の払い戻しが完了する見込みだそうだ。

一方Stadiaのサービス終了については、ゲーム開発者にも知らされていなかったようだ。インディーゲームスタジオSFB GamesのTom Vian氏もその一人。同スタジオの手がける『Tangle Tower』は、現地時間の2日後にStadiaでリリースされる予定だったという。しかし同氏はStadiaのサービス終了について知らされておらず、海外メディアThe Vergeの記事にて初めてその発表を知ることになったそうだ。

Vian氏のツイートには数多くのユーザーが同情を示すリプライを寄せている。また中にはStadiaでの作品リリースを控えていた別の開発者が、同じくサービス終了を知らされていなかったとする報告もある。インディーゲーム会社Olde SküülのCEOを務めるRebecca Heineman氏によれば、同社の新作はStadiaで11月1日のリリースを控えていたという。しかしながらやはり、同社にはStadiaのサービス終了について通達されていなかったようだ。

また小規模なゲームスタジオだけでなく、大手のゲーム会社にもStadia終了について知らされていなかった可能性はある。今月9月7日に発表された『サイバーパンク2077』の新たなDLC「仮初めの自由」はPS4/Xbox One版には対応しない一方で、Stadiaには対応する旨が告知されていた。そのほか『Dead Island 2』についても、8月24日に発売日が2023年2月3日と発表された際、Stadiaが対応プラットフォームとして告知されていた。それぞれのスタジオの状況は不明ながら、発表前にサービス終了の噂が立つのを防ぐため、ゲーム開発・販売元に前もって知らせていなかった可能性はあるだろう。

なお、先述のVian氏のもとに寄せられたリプライには、サービス終了が開発者に与える影響を懸念する声もある。インディーゲームスタジオRed Nexus Gamesの創設者であるDylan Gedig氏いわく、Stadiaでは開発者に対してゲームのプレイ時間に対する堅実な支払いがおこなわれていたとのこと。そのためStadiaのサービス終了は、多くの開発者の収入見積もりを狂わせるだろうとの自身の見解を示している。

またパブリッシャーのNo More Robots共同創設者のMike Rose氏もStadiaサービス終了に驚きを示し、Stadiaからの収入が途絶える点に懸念を示している。No More Robotsにも11月にStadiaでリリース予定の作品があったようだ。同氏は続くツイートで、“これ”がStadiaへの対応に乗り気でなかった理由であると投稿。さらに続けて、Stadia側からの連絡が一向になく、今後の対応が不明瞭な点を指摘している。Googleの一方的な対応に、うんざりしている様子だ。

https://twitter.com/RaveofRavendale/status/1575561019807584257

さらに国内のゲーム会社ワンダーランドカザキリ公式アカウントも、今回のStadiaサービス終了が突然の知らせであったと表明。同社の手がける『ダンジョンに捧ぐ墓標』Stadia版はまもなくリリース予定であったそうだ。同社は2か月近くStadia版への移植、および書類提出などの対応に追われてきたとのこと。Stadia版開発にかかったコストを回収できるかどうかも現状では不明瞭であり、不安な胸中を語っている。

【UPDATE 2022/9/30 14:23】
国内開発元のStadiaサービス終了に対する反応について追記

ゲーム開発元だけでなく、販売元にも寝耳に水であったと思われるStadiaのサービス終了。特にStadiaへのリリースおよび収益の見込みをつけていた小規模スタジオにとっては、少なからぬ痛手となることだろう。Googleが開発元・販売元に対して何らかの対応を示すことはあるのだろうか。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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