『ニーア オートマタ』アニメ版と原作の比較が、海外で一部注目を集める。原作ムービー忠実再現なアニメシーン

『ニーア オートマタ(NieR:Automata)』アニメ版のトレイラー映像と原作のシーンが比較され、海外で一定の注目を集めているようだ。YouTubeに比較動画がアップロードされている。

ニーア オートマタ(NieR:Automata)』アニメ版のトレイラー映像と原作のシーンが比較され、海外で一定の注目を集めているようだ。YouTubeに比較動画がアップロードされている。


オリジナルの『ニーア オートマタ』は、ヨコオタロウ氏がディレクターを務め、2017年に発売されたアクションRPGである。本作の舞台は、地球が宇宙人によって支配された遙か未来の世界だ。戦いに破れ月へ逃れた人類は、地球を奪還するためアンドロイド兵士による部隊を組織。宇宙人の兵器である機械生命体とアンドロイド兵士の戦いが、地球上で繰り広げられてきた。本作のメインキャラクターである2Bは、新設された「ヨルハ」部隊に所属する、新型アンドロイドの一体である。2Bは、ほかのヨルハ部隊員たちと共に、作戦へ参加。アンドロイドと機械生命体の戦いと、不毛な土地で生きるものたちの姿、世界の秘密が描かれていく。

同作は国内向けには2017年2月、グローバルでは同年3月の発売後、同年4月には出荷を含めた全世界売上が100万本を突破。その後も売上を伸ばし続けており、2022年6月には出荷を含めた累計売上の650万本突破が発表されている。また売上が伸びているだけではなく、Steamではユーザーレビュー7万件以上の内86%以上の好評を得てステータス「非常に好評」を獲得。ヨコオタロウ氏による心揺さぶるストーリーや、プラチナゲームズによるアクションなどを中心に、プレイヤーからも支持を得てきた。


アニメ「NieR:Automata Ver1.1a」は、そんな『ニーア オートマタ』を原作としたアニメ作品である。制作は、「リコリス・リコイル」のほか、『ペルソナ』シリーズのアニメ版などを手がけてきたA-1 Pictures。監督は、益山亮司氏が務める。同氏は、「ブレンド・S」アニメ版の監督や「ダーリン・イン・ザ・フランキス」の演出など、多数のアニメ作品に関わってきた人物。またシリーズ構成は、ヨコオタロウ氏と監督の益山亮司氏が担当している。

海外で注目を集めている比較動画は、公開されたアニメ「NieR:Automata Ver1.1a」の一部シーンと、原作のシーンを比較したものである。動画を見る限りでは、原作の構図やカメラワーク、キャラクターの動きなどはほとんどそのまま。オリジナルでは3Dモデルを使って表現されていたムービーシーンが、アニメーションとして新たに描き直されている。原作を忠実に再現した作品になっていそうだ。

今月9月24日に開催されたAniplex Online Fest 2022では、映像内にヨコオタロウ氏と監督の益山亮司氏が、オブジェの姿で登場。本人に代わって現れた、お馴染みのエミールヘッドと、益の字をモチーフにしたアイコンによって、アニメ「NieR:Automata Ver1.1a」の情報が語られた。「どんな映像になっているのか」と題されたパートでは、ヨコオタロウ氏がアニメ版の絵コンテに対して、ゲームのイメージを継承しながら、アニメではカット割りやキャラクターの表情描写で、ゲームにはできなかったことをやっているのが印象的だとコメントしている。

一方監督の益山亮司氏は、「ゲームのプレイヤーにはゲームムービーの印象が強く、ムービー自体が美しく完成されているため、それをあまり強く変えたくない。それをアニメに置き換えつつ、間を埋めるではないものの、変更された箇所を含めてムービーシーンのように作品の中に組み込んでいければいい」などと語った。公開されたアニメーションの一部が、原作のムービーをそのままアニメ化したようになっているのは、ムービー自体が完成されており、それをあまり強く変えたくないという、制作の意図が反映された結果なのだろう。原作をリスペクトしたアニメ化となりそうだ。

一方Aniplex Online Fest 2022内の映像によると、ヨコオタロウ氏はストーリー変更を提案したそうだ。同氏曰く、『ニーア オートマタ』のストーリーはゲーム用のものであり、そのままアニメ化しても面白くはならない。そのため、アニメ用にストーリーの変更を提案したのだという。ヨコオタロウ氏のツイートによれば、原作とは異なる1話のあらすじを提出し、全ボツになったこともあったのだとか。しかし、アニプレックス側のプロデューサーと監督は、ストーリーをファンのためになるべく変えたくないというスタンス。結果的に、原作者ヨコオタロウ氏が原作を破壊しようとするのを、アニメ制作側が食い止めることになったそうだ。いずれにせよタイトルに「Ver1.1a」とついているように、少なくとも何らかのストーリー変更がおこなわれているのは、間違いなさそうだ。アニメーションとしては原作を尊重しつつ、ヨコオタロウ氏によって適度に破壊されたストーリーが展開されそうである。

アニメ「NieR:Automata Ver1.1a」は、2023年1月より放送開始予定だ。またゲーム版『ニーア オートマタ』は、PlayStation 4/Xbox One/PC(Steam/Microsoft Store)で発売中。Nintendo Switch版『ニーア オートマタ ジ エンド オブ ヨルハ エディション』は10月6日に発売予定となっている。



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Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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