Appleは9月13日、iOS 16を対応端末に向けて配信した。本バージョンにて追加されたとある新機能が、一部ゲームやアプリを利用する際の妨げになっているようだ。Kotakuなどが伝えている。
iOS 16は、iPhone 8/iPhone 8 Plus/iPhone X以降に発売されたiPhoneを対象に配信中。ロック画面のカスタマイズ機能の大幅な追加されたほか、集中モードが使いやすくなるなどさまざまな変更がなされている。しかし、便利な機能が数多く追加された一方で、とある機能はiOS端末にてゲームなどを遊ぶ際の妨げになっているようだ。特に音ゲーや楽器系のアプリに影響を及ぼしているようである。
上の動画では、プレビュー版と見られるiOS 16にてソフトシンセサイザーアプリ「bs-16i」を利用している様子が確認できる。投稿者は、同アプリの開発者であるbismark氏だ。画面上部に注目してみると、演奏の最中に黒いツールバーが表示されていることがわかるだろう。わずか4秒間の動画のうち、ツールバーは2回も表示されている。これはアプリ内の機能ではなく、iOSのシステム上の機能である。
iOS 16においては、3本指で画面をタップ、あるいは長押しした後指を離したときにツールバーが表示される。取り消す/やり直す/切り取り/コピー/貼り付けといった、テキスト編集の際には便利な機能が備わっている。しかしながら、ゲームなどを遊んでいる際にそうした機能は基本的に必要とならない。一方で、リズムゲームやシューター系のゲームにおいては2ボタンを同時押ししながらさらにボタンを押す場面が多い。つまり使うことのないツールバーを意図せず表示させてしまうタイミングが多々あるわけだ。
一方で従来のほとんどのバージョンのiOSにおいては、3本指操作のツールバー表示はテキストカーソルとなっているときのみ。ゲーム中にツールバーが表示されることはなかった。それがiOS 16になって、ゲーム中でもお構いなしに表示されるようになったのである。Twitter上でも、この変化への不満の声は多い。主にリズムゲームを遊びにくくなったと感じるユーザーが多い様子だ。操作の邪魔になるだけでなく、ちらちらと黒いバーが表示され続けるのは気が散ってしまうことだろう。
また、アプリ開発側もこの状況への対応に苦慮している。上述のbismark氏も、ツールバーの出現への対処を試みているとコメント。解決法を知っている人は教えてほしいと呼びかけている。また、リズムゲーム『Arcaea』や『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』では、公式TwitterアカウントがiOS 16への更新をおこなわないよう注意を促している。ユーザーだけでなく、開発・運営元もiOS 16によるゲームへの影響を認識している様子。一方で、オペレーティングシステムの仕様変更による影響は、アプリ開発元では対応がきわめて困難なようだ。
iOS 16では、画像や動画内の言語をテキストとして認識する機能が実装された。そのため今までテキスト入力に関わらなかったような画面においても、ツールバーが表示されるように変更された可能性もある。なお同様の現象は2019年のiOS 13配信の際にも問題となったことがある。その際にも『フォートナイト』や『PUBGモバイル』などのゲームが遊びづらくなったとの不満が噴出。iOS 13.1への更新時に、すぐさま修正されたようだ。今回再びゲーマーを苦しめつつある3本指ツールバー表示についても、何らかの対応がなされることはあるのだろうか。今後の動向が注目される。