「桜井政博のゲーム作るには」が、授業で学生に向けて流される。国内外で信頼されるスマート解説

英語版「桜井政博のゲーム作るには」の動画が、海外の学生向けゲーム開発講義にて用いられたことが注目を集めている。ゲームクリエイター・桜井政博氏によるスマートな解説は、国内外を問わず人気を集め、重宝されはじめているようだ。

英語版「桜井政博のゲーム作るには」の動画が、海外の学生向けゲーム開発講義にて用いられたことが注目を集めている。ゲームクリエイター・桜井政博氏によるスマートな解説は、国内外を問わず人気を集め、重宝されはじめているようだ。

桜井政博氏は、『星のカービィ』シリーズや『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズを手がけてきたゲームクリエイターだ。現在は有限会社ソラの代表取締役を務め、直近では『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』のディレクターを務めていた。下の動画は2022年現在で、同氏がディレクターとして携わってきた作品をまとめたものだ。

「桜井政博のゲーム作るには」は、桜井政博氏が8月24日に開設したYouTubeチャンネル。ゲームの面白さを底上げしたい、という桜井氏の意図のもと、 ゲーム内の仕組みや仕様について同氏がわかりやすく解説していくチャンネルである。投稿されている動画は仕事の姿勢・ゲーム性といったカテゴリ分類がなされており、知りたい情報を素早く見つけ出すことができるだろう。また英語版チャンネルとして、「Masahiro Sakurai on Creating Games」も用意されている。

そしてこのたび桜井氏のチャンネルの動画が、ゲーム制作を学ぶ講義内にて利用されていたことを海外の学生が報告。その講義の様子を収めた写真を投稿し、多くのユーザーの関心を集めている。

投稿された写真では、確かに桜井氏のYouTube動画が奥のモニターに映し出されている。この講義で利用された動画は「Draw the Light, Not the Asset(素材を描かず、光を描く)」のようだ。グラフィックカテゴリとされる本動画では、ゲーム内のアセットや背景を描くにあたって、3Dモデルやテクスチャ自体のみならず、反射する光の意識が重要となることが解説されている。単にモデルを制作するのではなく、シェーディング・ライティングなど込みでの最終的な見え方を意識することで、見た目の深みや、処理の軽減に繋がるといった旨の内容だ。

この写真を投稿した学生いわく、授業が2時間45分続いた中で動画が利用されたのは冒頭5分間だったとのこと。当然ながら、授業全体を通じて桜井氏の動画が用いられていたわけではないようだ。一方で、そうした長時間授業のデモンストレーションとして桜井氏の動画が用いられたことには注目したい。授業をおこなった講師には学生たちの興味を引きつつ、理解を深める下地を作る狙いがあったのかもしれない。また同ツイートには、「(桜井氏の動画は)授業で見るべき」といった旨の肯定的な反応も、ユーザーらより寄せられている。

国内においても、桜井氏の動画はゲーム開発者などを中心に解説動画としての完成度が注目されつつある様子。ゲーム開発に詳しくない視聴者なども想定し、必要な説明を的確かつ簡潔におこなっている点が評価を受けているようだ。

なお、桜井氏の英語版チャンネルである「Masahiro Sakurai on Creating Games」も人気は高い。発足後1か月足らずとなる本稿執筆時点で、チャンネル登録者数は約45万人。かなりの勢いで登録者数を伸ばしているようだ。さらに、国内向けの「桜井政博のゲーム作るには」は現時点でチャンネル登録者数約39万人。日本語のみのチャンネルながら、英語向けチャンネルに迫る勢いで登録者数を延ばしているわけだ。また日本語版は動画の再生回数は、英語版と比べて軒並み10万回程度多い。投稿された動画を欠かさず、あるいは繰り返し見ている国内登録者も多いのかもしれない。いずれにせよ、実績のある桜井氏によるゲームデザインの紹介・解説は、日本語・英語問わず視聴者からの高い需要があるのだろう。

桜井氏は本チャンネルの方針について「ゲーム開発・ゲームの面白さなどに則した話をしたい」「頭の中に入りやすいように2分から5分程度の短さにする」と、チャンネル説明動画のなかで伝えている。また、ゲーム開発においては非常に初歩的なことも解説していくという方向性を示しており、まったくのゲーム開発初心者でもわかりやすい動画づくりを目指しているとのこと。教育用途で効果を発揮するのは、まさに目指したコンテンツに仕上がっている証拠ともいえそうだ。また同氏は「世界中のゲームの面白さを少しだけ底上げすること」を目指しているとも述べている。同チャンネルの人気を見るに、目的達成に向けて順調に成果が表れているようだ。

曖昧で掴みどころのないゲームデザインやシステムの仕組みを、スピーディにわかりやすく解説してくれる桜井氏のチャンネル。同氏の動画はさっそく教育の場やゲーム開発者にとって活用され始めているようだ。今後も「桜井政博のゲーム作るには」の、国内外を問わない活躍に注目していきたい。ちなみに、同氏はこのチャンネルの運営について、企業ではなく桜井氏個人の活動であり、営利目的ではないと明かしている。動画時間を長くしたり、広告を設定したり、チャンネル登録を促すことはしないとのことだ。


※ The English version of this article is available here

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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