『桃太郎電鉄 教育版』発表、2023年より学校教育機関に無償提供へ。貧乏神なし、情報充実の教育特化な桃鉄

 

コナミデジタルエンタテインメントは9月15日、『桃太郎電鉄』を教育分野で活用する取り組みを発表。ブラウザ版『桃太郎電鉄 教育版Lite ~日本っておもしろい!~』(以下、桃太郎電鉄 教育版)を制作し、2023年より学校教育機関への無償での提供を開始することを明らかにした。

『桃太郎電鉄』シリーズは、第1作目が発売された1988年から30年以上にわたって展開されている、ボードゲームをモチーフにした作品だ。プレーヤーは鉄道会社の社長となり、鉄道で日本全国を巡って物件を買い集めながら資産額日本一を目指す。

*福岡教育大学附属福岡小学校での試験活用の模様(2022年1月撮影)。

コナミによると『桃太郎電鉄』シリーズに対しては、先述したゲーム性が、地理や経済に興味をもつきっかけとなったという声が数多く寄せられていたという。そこで同社は、学校などの授業で活用できるように、WEBブラウザやタブレットなどでプレイ可能な『桃太郎電鉄 教育版』の制作を決定。できるかぎり多くの教育機関が導入できるよう、無償での提供を予定しているとのことだ。

『桃太郎電鉄 教育版』は、教育現場での利用を前提としていることから、通常のシリーズ作品とは異なる特徴がある。具体的には以下の3点が挙げられている。

1:授業にあわせて、対象地域やプレイ時間の設定が可能
通常の「日本全国」のほかに、授業のカリキュラムに合わせ、「北海道」から「九州・沖縄」まで7つの地域が選択可能。一般的な授業時間で完了できる短い期間の設定や、対象地域を絞った学習ができます。

2:楽しみながら学べる、地理情報表示機能
駅に止まると、その駅や都道府県の基本情報を表示。さらにマップ上の建物や食べ物などのアイコンに虫メガネを合わせると、実際の建物や特産品、観光地、史跡などの情報を知ることができます。

3:教育現場での活用を想定したゲームバランスの再調整
誰かを指定して攻撃カードを使用する事ができないなど、子ども同志のトラブルに発展する可能性のある要素を排除。また、相手のプレーを妨害する「貧乏神」を非搭載とするなど、過度に持ち金(資金)が変動しすぎないように調整されています。


本作の制作においては、Global Teacher Prize 2019 Top10に選ばれた小学校教諭・正頭英和氏が、アドバイザーとして監修を担当している。今回の『桃太郎電鉄 教育版』の発表に際して、正頭氏は以下のようにコメントしている。

満たされた現代社会において、子どもたちは学びの意欲を維持し続けることが難しくなっています。今の時代に重要なのは「頑張って勉強しよう!」ではなく「いつの間にか学んでいた」という環境を作ることです。エンターテイメントには人の心を惹きつける魅力があります。それを教育(エデュケーション)の世界で活用することは今とても注目を集めています。これを「エデュテイメント(エンターテイメント+エデュケーション)」と言います。

「桃太郎電鉄」は、まさにエデュテイメントの先駆けです。『桃太郎電鉄 教育版』を通して子どもたちの「笑顔」と「いつの間にか学んでいた」の総量が増えて、エデュテイメントがもっと浸透していけばいいなと思っています。

また、『桃太郎電鉄』シリーズの原作者であるさくまあきら氏も、本作の制作にあたり以下のコメントを寄せた。

昔から、「桃鉄」を学校教材にならないかな?と思って、作っていました。
今回の『桃太郎電鉄 教育版』の話は長年の夢が叶った気がします。
みんなで、地理で満点を取って、先生方を困らせてください。

『桃太郎電鉄 教育版』には、教職員が管理ツールからゲームをコントロールできる仕様も盛り込まれる。

『桃太郎電鉄 教育版』は、2023年より全国の学校教育機関に無償提供予定。本作のティザーサイトでは、本作に興味のある教育関係者向けの問い合わせ窓口が開設されている。



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