『Halo』シリーズ開発スタジオのトップBonnie Ross氏が退職。スタジオは組織再編を実施
マイクロソフトの傘下スタジオ343 Industriesの代表Bonnie Ross氏は9月13日、同スタジオを退職する予定であることをTwitterにて報告した。家族に健康上の問題があり、その看護をおこなうためとのこと。
Bonnie Ross氏は、1994年にマイクロソフトに入社しマネジャー職などを歴任。ゲーム分野では、初代Xboxの頃からプロデューサーなどの立場で、ファーストパーティタイトルの開発に携わってきた人物だ。そして、傘下スタジオ群Microsoft Game Studios(現Xbox Game Studios)のゼネラルマネジャーを務めたのち、2007年に343 Industriesの設立に携わった。
343 Industriesは、『Halo』シリーズを専門に手がけるスタジオだ。『Halo 3』の発売後に、同シリーズの生みの親であるBungieがマイクロソフトから独立したことを受けて、IPを統括するスタジオとして設立された。そして『Halo 4』以降の新作や、過去作のリマスター版などを開発。Ross氏は、スタジオのボスとして『Halo』シリーズの各プロジェクトを率いてきた。また、多様性のある職場環境の実現に尽力してきたことでも知られ、2014年にはビジネス誌Fortuneにて、業界を代表する女性10人のひとりに選出されている。
今回Ross氏は、現在開発・運営中の『Halo Infinite』向けの「Winter Update」をリリースするまでは、スタジオに留まることを希望していたと述べている。家族の健康上の事情により、予定よりも早く退職せざるを得なかったのかもしれない。
そして、『Halo Infinite』や『Halo: The Master Chief Collection』、『Halo』のテレビシリーズなど、343 Industriesのスタッフたちが成し遂げてきた仕事をとても誇りに思うとし、同スタジオでの15年間を振り返った。また、『Halo』シリーズのコミュニティに対して感謝の言葉を述べつつ、同シリーズの未来は明るいとコメント。10月に開催されるeスポーツ大会「Halo World Championship」では、いちファンとして応援するとして声明を締めた。
*マイクロソフトのゲーム部門CEOでXbox事業を率いるPhil Spencer氏は、Xboxおよび『Halo』シリーズへのBonnie Ross氏の貢献を讃えた。
なお、Ross氏退職後の343 Industriesにおいては、組織再編が実施されるという。同氏が担ってきた仕事を3人の後任で分担するかたちとなり、まずスタジオのトップにはPierre Hintze氏がすでに就任。スクウェア・エニックスやSIEなどを渡り歩いてきた業界のベテランで、343 Industriesでは『Halo』シリーズ開発などにおける要職に就いてきた。今後Hintze氏は、『Halo Infinite』や『Halo: The Master Chief Collection』および今後の作品の開発を率いる。
そして、シニアリーダーシップチームを拡大し、Bryan Koski氏が同シリーズのゼネラルマネジャーに就任。またElizabeth Van Wyck氏が、同スタジオのビジネスや経営を監督する立場に就くそうだ(Windows Central)。
ちなみに、Bonnie Ross氏が言及した『Halo Infinite』の「Winter Update」は、今年11月8日から来年3月7日にかけて展開される。このなかでは、「Forge」モードのベータテストの実施や、新マップの追加、キャンペーンモードのオンライン協力プレイの実装などがおこなわれる。
このロードマップが発表された際には、画面分割でのローカル協力プレイの実装が中止されたことが明らかに。『Halo』シリーズの伝統的なモードのひとつであり、本作のローンチに実装が間に合わなかったことで一部批判を浴びていたところ、結局キャンセルとなってしまった。これを受けてSteam版では、いわゆるレビュー爆撃が発生。多数の不評レビューが投稿され、最近のレビューステータスは現時点で「やや不評」にまで下落している。新体制となった343 Industriesにおいては、まずはファンからの信頼を回復することが求められそうだ。